「蟻帝伝説クリスタニア 」著:白井英 原作:水野良 出版社:メディアファクトリー

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第1章 北からの使者

★1・2

「漂流伝説」からおよそ5年、"真紅の皇帝"レードンはスループ王国へ侵攻を始めました。

それから3年後にはスループの都は帝国の占領下となりました。

一連の戦争は皇帝戦争と呼ばれ、周期が失われたクリスタニアの歴史にも残る大事件でした。


今回のお話はそれから更に1年後、周期が失われておよそ9年ほど経った辺りの事件です。

「始まりの〜」から19年、「英雄伝説」でレードンが皇帝位についてから14年ですね。

この翌年に「封印伝説」の事件で混沌が解放されるのですが、それはまた別の話。

この頃には既にマリスは銀狼の部族の族長となり、レイルズは宰相を倒しダナーン王となっています。


今回の主人公達はダナーン王国・銀狼の部族の使者としてスループに書状を届けに来たのが縁で事件に巻き込まれていきます。

まぁ何人かはそれとは関係ない件で仲間に加わるんですけどね。

その辺の経緯はリプレイとも違ってきたりします、もちろん小説のがドラマチックです。

何しろこのクリスタニアはヘッポコなリプレイキャラが超絶にヒロイックな小説のキャラに生まれ変わる物語なのだから(笑)


今回も例によってレベルはよく分かりません、リプレイのそれもあまりアテになりませんしね。


フィランヌ 19歳

スラム生まれのラーダの司祭、クラスはもちろんプリースト(ラーダ)でダナーンからの使者。

リプレイでは魅力度18(最高値)を誇っていただけに小説でも美人ですね。

アデリシアもそうでしたが、ラーダの司祭は美人ばかりですね、それが売りなのか?(笑)

でもリプレイで「まじかぇ〜(巻き舌)」等の下品な発言が多かったのが尾を引いているのか、スラム生まれという設定も追加。

その設定も時折スラングを口走ったり、ラーダの信仰に目覚めたきっかけになったりと上手い事生かされています。

基本的に曲がった事が大嫌い的な性格で、リーダー的な決断力に恵まれています。


アンバース 27歳

銀狼の部族出身のスカウト/ビーストマスター、族長命令で使者に参加しました。

本来、神獣の民はスカウトにはなれないんですが彼の場合は才能に恵まれていたりと特別ですね、ゲーム的にも。

多分ベリーズ同様に交換留学的な機会に恵まれてスカウトになったんでしょう、ダナーンと銀狼の部族は盟友ですからね。

リプレイでは今一つ押しが弱かったけど、今回は寡黙で有能なスカウトとして大活躍です。

なにしろあまりに優秀でダナーン王国がヘッドハンティングしようとしたぐらいらしいし(苦笑)


ベリーズ 24歳

アンバースと同じく銀狼の部族出身、でも彼女はソーサラー/ビーストマスターです。

やっぱりダナーンに行って古代語魔法を修めたんでしょうね、神獣の民の間にも古代語魔法はあるけど学院の方が環境が良さそう。

アンバースに惚れているらしく結構乙女な所もありますが、戦闘中は導師級の魔法をビシバシ飛ばします(笑)

パーティーの中では一番目立たないかな、ちなみに発動体は金属のワンド。


ライアス 年齢不詳

"風に流れる木の実(ライアセントゥース)"という名を持つエルフ、勿論シャーマン。

その名の通り集落を出てから着の身着のままプラプラとしている寅さんエルフ(笑)

基本的にはクールで冷徹な印象を受けますが、結構お人よしだったりもする。

ロードスのエスタスに近いのかもしれない。エスタスよりも人間とは親しめると思いますけどね。


あとテューレなんてのもいますが、彼は速攻で"ぬか喜びの野"に旅立つので省略。彼の活躍は「黄金伝説クリスタニア」でね。

以上5名が北からの使者です、ダナーンと銀狼の部族の混成というのが両者の友好を主張していますね。


今回の冒険の舞台は古の民のフォレースルに始まり、真紅の部族のラブラドル地方にまで至ります。

時間的にはスループの都が帝国の占領下に入る前ですかね。

レードン率いる真紅の軍団とスループの騎士団が雌雄を決そうとしていたりしますね。

彼らがスループ王国のケレンスの村に寄ったことで事件に巻き込まれていくのです。


カルーア 18歳

古の民のウォリアー、実家が材木商で剣術は父親譲りの護民兵です。

護民兵というのは、どうやらこの国における村の駐在さんのようなものですね。

実際にはそれなりの実力があるのに、実戦ではどうしても恐怖を感じてしまうタイプです。

常に攻撃技能に−修正が入っているという感じですね、SWで言うなら毎ターン恐怖表を振っているかな?(笑)


猟師のルカノスというのが密猟を働いた事で村に真紅の民の戦士達が乗り込んできたときのことです、

カルーアは護民兵でありながらどうする事も出来ず、ただビビっているだけでした。

食料は徴収され、村はかつてない危機に陥りました。ちなみに領主はこの本の冒頭でレードンに討たれました


そして、真紅の民の砦に直談判しに行った長老を助けに行ったのが故テューレ達でした。

その戦闘でテューレは名前の頭に故がついてしまったので、一行はテューレを蘇生させようとスループの都に行きます。

その案内をしたのがカルーアです。まぁカルーアに関しては村から追い出されただけなんですが。


この物語はある意味ではカルーアの成長を描いてもいます。

とはいえ、実際それが目に見えるのは本当に最後の方なんですけどね(苦笑)

それまでは小市民的な感覚でどう考えても場違いな印象ばかり受けるのにね。


「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ」というノリでもないんですよね。

戦闘ではひたすら自分が生き残ろうとするあまり、そのまま一気に全身硬直ですね。

そしてビビリながらもその場その場で決断し、命ギリギリで踏ん張っていくという感じかな?


ちなみに故テューレ達が砦に侵入するという辺りはリプレイの方でちゃんとやってます。

砦とはいっても獣の牙のように木造の宿舎とか矢倉とかが組まれているような砦じゃありませんでしたね。

まさに蟻塚のように土を固めて地下に作られた砦でした。

あえて言うならアレクラスト大陸のザーンに近いかもしれない、エアーズロックのような一枚岩に作られた国ね。

小説でもそうだったのかは不明、後に出てくるラグワス大城塞は完全にザーンっぽい蟻塚でしたけどね。


★プロローグ

変則的ですが、文庫冒頭に入っていたプロローグです。


さて、レードンの方はというと冒頭の合戦でスループの遠征軍を破ったりしていました。

スループの都が占領されるのは紀元8年、でもフィランヌ達が使者として立ったのは紀元9年です。

このタイムラグは何なんでしょうね、最初の方のレードン視点とフィランヌ視点は時間的に食い違っているんでしょうか。

でもフィランヌ達がスループに着いた頃にはまだ都は占領されていなかったんですよね、何故だろう?


その冒頭の場面でスループに侵攻しようとしたレードンに対してミロンというミュルミドンが出てきました。

彼はウィング・ミュルミドンで、クラスは文筆家です。

かなり謎のクラスですよね、「ガイドブック」ではこうなってるんですが、多分ちゃんとしたファーストクラスがある。

ウィング・ミュルミドンは非生産的な文化の面を担います、だから彼は文筆家なんですね。

ちなみに今回は従軍書記として参加していました。


彼はレードンの信仰宣言に対し、わざわざ1レベルの"ハンドボイス"まで使って抗議していました。

このオタレントは手で触れた相手に自分の意思を伝えるタレントです。

多分口で説明するのがもどかしいほどだったんでしょうね。

ちなみに相手の意思を読み取る事は出来ないので、会話(ていうか念話?)は出来ません。

ていうかタレントが使えるんだからミロンもビーストマスターですよね。


ミロンはレードンの行いに憤りを覚えました。

それは何故かというと、それがクロイセの意思と教えに反する行いだと信じているからです。

しかし当のクロイセは何も言いません、レードンを誅する事はないし、ミロンの問いに答えることもない。

何故なら神獣達は最後の会合で民達の歴史には不介入の立場を取ったからです。

例え自分の教えに反しようと、それが民の望んだ事なら口は出さないのです。


この件に関してはレードンの理想とも被ってくる問題です。

そしてその理想がこの地で叶った時こそが、真紅の部族にとっての大いなる転機となるのです。

ではレードンの理想とは何か、それはおいおい分かってくる事です。


今回の事件ではレードンがマクロな主人公だとすると、カルーアはミクロな主人公ですね。

フィランヌやミロンもまた、今回の事件でそれぞれある種の答えに至ります。

クリスタニア・サーガは視点を変えてみると、実に主人公が多い作品ですね。


第2章 スループの和約

★2・3・4

舞台はスループの都に移ります。

フィランヌ達はテューレを生き返らせるために、カルーアは他に行く所もなくこのフォレースル最大の街にやって来ました、

テューレの方は現時点での蘇生は不可能という状況です、"リザレクション"が使える唯一の司祭が従軍中で留守なんですね。

その司祭はマーファの最高司祭ラハンスというらしい。ということは他の5柱の神の司祭は皆9レベル未満なんでしょう。


このフォレースルの信仰事情は「英雄伝説」の方で書きましたね、古の神の信仰です。

マーファ信仰はアレクラストやロードスでよく知られているマーファ信仰とは微妙に違っています。

大地母神としての神格は同じなんですが、この地のマーファ信仰は自衛を含むあらゆる戦を否定しています。


マーファと言えば婚姻・慈愛・調和等も守護していますが、この土地のマーファ信仰はそれらの性格も持っていません。

人間として自然な生き方という大ニースが言っていた言葉を説くこともありません。

ただただ産み・増やすという単純な生産・再生産こそがこの地のマーファ信仰における大地の法なのです。

ロードスでは大小のニースやレイリアなんかは自衛の為なら積極的に戦ってましたよね。


だから今回の戦でも最高司祭が直々に参加し、癒しに専念しているのです、あくまでも癒しに。

ロードスやアレクラストなら相手からの侵略となれば神官戦士団を派遣しそうなものですけどね。

少なくとも、信者に害が及ぶとなれば戦う事もやぶさかではないでしょう。

今回の戦では各教団の神官戦士はどうしたんでしょうね?

有志として参加した者もいたんでしょうが、教団は神官戦士団として派遣したんだろうか?


そこでフィランヌ達はテューレの遺体を「"白き谷"の氷穴」へ安置する事にしました。

つまりは最高司祭の都合が出来るまで冷凍保存しておこうというわけですね。

解答する時はやはりレンジでチン♪だろうか?(笑)


ていうか7レベルの"プリザーベイション"で保存じゃ駄目なんですかね、それすら使えないとか?

クリスタニアでは遺体さえ残っていれば蘇生可能なんですね、目標値や拡大という概念もないし。

SWだったらエライことになりますね、一体何日放置してから蘇生させたのやら(笑)


下手すればミンクスみたいに国を挙げての一大イベントとして儀式を執り行う事になりますし。

そうなれば莫大な借金も背負う事になります、しかもテューレは一人で残されるからトリオ・ザ・住専よりも厳しいです(笑)

まぁ莫大な借金を背負うという点ではクリスタニアRPGでも一緒なんですけどね。


こんな風に冷凍食品にしておくのは稀ではないらしいですね。

ある者は蘇生を期待し、又ある者は単純に埋葬手段として利用しているらしい。

ちなみに氷穴はこのフォレースル地方の北西に連なっている白と灰色の山脈にあります。

麓にはドワーフもいたりしますね、ダナーンを除けば唯一のクリスタニア産ドワーフかと思います。


フィランヌ達は母が再婚して本格的に行き場のないカルーアを加え、白き谷を目指します。

白き谷はその名の通り1年中氷雪に閉ざされた谷で、その冷えっぷりは他の土地の比ではないらしい。

運ぶ側としてはとんでもなく大変です、雪山登山並の覚悟がいりますね、ていうか雪山か。


ちなみにこの土地には氷の精霊力を宿したモンスターも数多く現れます。

リプレイや今回の小説でも登場したスノーウルフをはじめ、イエティやフラウも普通に出ます。

もちろんフェンリルやフロストジャイアントなんて大物もいますしね。


フェンリルといえば北欧神話ではロキの息子として猛威を振るった狼ですが、フォーセリアでは氷の上位精霊です。

神話ではチュールの腕を噛み切り、主神オーディンを食い殺したりとフォーセリアにおける神殺しの竜並に強力な存在でした。

もしかしたらこの環境もフェンリルが原因なのかもしれない、もしかしなくてもそうでしょうけど。

フロストジャイアントは温厚な性格をしてますから、普通に接すれば戦闘にはならない筈です。

リウイ7巻の「世界で最も美しき―」でも出てきましたね。


気になるのはスノーマンなる存在です。

ナーセルの書いた「クリスタニア博物誌」によればスノーマンとは氷の妖精らしい。

実際には雪の精霊と書かれていますが妖精とは妖精界の住人であり、精霊界と対応しているので氷の妖精の方が正確だと思う。

雪の精霊や雪の精霊界なんて聞いた事もありませんし、それは氷の精霊界のことですよ。


そういえばグラスランナーも草原の妖精といいつつ、出身は植物の妖精界でしたね。

もしかしたらスノーマン以外に氷の妖精と呼ぶべき存在がいるのかもしれませんね。

一つの妖精界に一種類だけしか妖精がいないというわけでもありませんしね。


ちなみに外見は真っ白な体毛をしたドワーフらしい、雪男に近いんでしょうかね。

でもドワーフやエルフと違って現代の物質界には固定されてはいないようですね。

恐らくは彼らのほとんどは今だ氷の妖精界にいるんでしょう。

この白と灰色の山脈では彼らの目撃情報がありますが、それこそ雪男的な未確認生物ですね、UMAです(笑)


今回でフィランヌ達には更に一人のドワーフが仲間に加わります。リプレイでは最初からいたんですが、小説ではここで合流。


ボッシュ 年齢不詳

白と灰色の山脈の麓にあるドワーフの集落から合流したウォリアー、ちなみに武器職人。

SW的にいうならば一般技能のクラフトマン(ウェポンスミス)も持っているんですね。

頭で考えず、心のままに生きるという辺りはライアスに似てるかも。

一般にドワーフとエルフは仲が悪いことになってますが、何故かこの2人も仲がいい、特にリプレイ(笑)


道中スノーウルフの襲撃を受けるのもリプレイと一緒。

スノーウルフは魔狼(フェンリル)の落とし子とも呼ばれている魔獣の一種です。

上半身は銀色の狼でそれだけならフェネスの銀狼っぽいんですが、後ろ足はありません

あるにはあるんですが、流星の尾のように流れています、でも実体はあるんですよ、ちなみに空を飛ぶ。


どういう原理で飛んでいるのかは不明、ていうか生物としてそれで成り立っているのかすら謎です(笑)

レベル的には3、ブレスを吐きますが、装甲も薄いし炎は2倍ダメージにもなるしで怖い相手ではないですね。

生命力が20しかないから"ファイアボルト"を撃つなり"ファイアウエポン"でシバくなりすれば軽いです。


ベリーズなんて"ファイアボール"を撃ち込みましたしね、いきなり大打撃ですよ、ていうか消滅しそう。

3D10+レベル点で、ベリーズは最低5レベルだから2倍するまでもなく即死っぽい。

カルーアもビビリながらも普通に倒してたし、案外やるもんです。


アンバースが"ファイアウエポン"の援護を受けつつ群れのボスに短剣を突き立てた辺りはカッコよかった。

"ウルフジャンプ"を使って飛び上がり、短剣を突き立てる。クリスタニアだから出来る芸当です。

"ウルフジャンプ"はフェネスの4レベルタレント、レベル×1メートルの高跳びが可能だそうです。


アンバースもベリーズとバランスを取って5はあるでしょうから、超人みたいな跳躍が出来ますね。

そのままカーフ・ブランティングとか決められそうです、あるいは口裂きキン肉バスター(笑)

ちなみにレベル×2メートルまでの高さなら無傷で着地出来ますね。


★1・5

こうしてテューレの遺体は安置したんですが、肝心の最高司祭は暫く帰ってこれなそうです

一行が都に帰ってきた頃には既に帝国はスループの都を占領下に置いていたのです、司祭は幽閉。

国王と騎士団長なんて晒し首だし、ミュルミドンが普通に街を歩いてるし。


ちなみに命令は徹底されているので掠奪の類を働く輩はいません。

掠奪は占領にはつき物ですが、帝国の兵士は命令とあれば死んでも守りますし、奪うなと言われれば絶対に奪いません。

元々真紅の部族の窮状を救うのが目的ですし、貴族から財産を没収して都を占領しただけで十分ですね。

これで最早ブループは真紅の部族にとって脅威ではなくなります、完全に反抗勢力が潰えてるし。


周期の時代を含めて永い営みを誇るクリスタニアにおいて、初めて他国を征服したのはレードンなんですね。

ベルディアはというと、結構微妙ですね。そもそもは征服してないし。


悟りの部族沈黙の部族は支配化に置いてますが、その経緯はどうだったんだろうか。

多分大規模な戦闘をするまでもなく服従したと思うんですけど。

双面の部族も同じく、多分族長とかから併合の申し出があったと思います。

国が国を屈服させたのではなく、単一の部族を一つ一つ飲み込んでいったんですね。


レードンはなるべく穏便に事を済ませるためにスループの王子と「スループの和約」を結びました。

要は王子をそのままスループ伯にして、王国そのものは帝国領にするというものです。

古の民の信仰は容認します、別に宗教戦争を起こしたいわけじゃないし、レードンはそういう事にはこだわらないし。


賢明ですね、普通は自分達の生活や命が保障されれば命賭けで反抗しようとは思わないし。

まぁ先の戦で家族・知人を亡くしたのなら少なからず憎しみは覚えるでしょうけどね。

ダナーンの宰相マリードもそうでしたね、貴族は徹底的に締め上げるけど民の虐殺や搾取には無関心。

かつて「神王伝説」の時には自分の中の野心にビビって引き下がったレードンですが、今はそれに目を逸らさず飲まれずです。


第3章 反逆の萌芽

★1〜5

うっかり逝ってしまった元リーダー厄介払い安置も済ませ、帰ってきてみれば書状を渡す相手がいない

しかしフィランヌは本来スループ王に渡すはずだった書状をレードンに渡す事を決意します。

ちなみに書状の内容はダナーンや銀狼の部族等が属している盟約についてで、

レイルズとしてはスループにも盟約に加わって欲しかったんでしょうね、まぁ既に手遅れという気もしますが。


現在のフォレースルの最高権力者は間違いなくレードンですから、フィランヌの判断は間違ってないと思う。

でもアポを取り付けるのが難しかったようですね、先触れも無しにいきなり会ってくれなんて普通無理でしょう。

先触れすら受け入れてくれたかどうか、門番がウォリアー・ミュルミドンのみという時点で何か間違ってると思う。

ひたすら命令を守るだけで自分の考えでは動かない、これじゃあ竜牙兵と変わらない(苦笑)

まぁこの分だとスループ王が健在であったとしても似たような苦労をしたと思いますけど。


レードンと謁見するだけでもうっかり反逆者の仲間にされそうだったりとこのパーティー、巻き込まれ型ですね。

その反逆者というのはこの場では2人ほど注目ですね。

一人はウィング・ミュルミドンのメフィエ、もう一人は古の民の貴族セリナス・ガーシェン。

メフィエは皇帝への不審から、ガーシェンは帝国からスループを奪還するため手を組んだのです。


メフィエは上の方で出てきたミロンと同じくウィング・ミュルミドンですから、非生産的分野を担当しています。

具体的には画家をしているらしい、城の図面を正確に写し取っていたし結構上手いと思う。

それにしても画家とか文筆家とか、反抗勢力の「翅つき君」は実用的でないのばかりですね(苦笑)

リプレイではウィングにも魔術師とかいたのにね、多分精霊使いとかもいると思う。

リプレイといえば、そっちのメフィエは京都弁を喋る怪しいお公家様みたいでしたが、流石に小説では普通ですね。


あとガーシェンはかなり目立ちませんが、将来のスループ王だったりします。

何がどうなってそうなったのかはよく分かりませんけどね。

「英雄伝説」で出てきた名前を全然見ない所を見るとセルヴィオは不穏分子の野望を食い止めたらしい。

スループ王国って「黄金伝説」でもそうでしたけど主人公達にとってみたらどうも不穏な相手になりがちですね。


しかもこの連中、フィランヌ達にベラベラと計画を喋るものだから面倒です。

そんな事されたらはいそうですか、と帰るわけにも行きませんしね。

ダナーンの使者が帝国の味方につく可能性を潰すためとはいえ、手の込んだ事をしますね。

結局は御用となってしまい、それがきっかけでフィランヌ達はレードンと面会出来たので結果オーライ?


連行されながらもメフィエはミロンと同じく"ハンドボイス"でカルーアに反乱の制止を訴えます。

本来の計画では、メフィエが古の民と都を解放した上で皇帝を説得し、

更にミロンがラグワス大城塞(現在の帝国の本拠地)のクロイセに直訴するということになっていました。

「英雄伝説」では"真紅の都"でしたが改名したんですかね、大城塞の名に相応しくそれっぽくなってるし。


このままでは真紅の部族は同胞同士で殺しあうことになります、それだけは避けたいんでしょうね。

直後メフィエは兵士にボコされます、透明の体液とやらを飛ばしながら。

透明の体液・・・・・・ミュルミドンってそんなものが出るんですね、ミュル汁とでも命名しましょうか(笑)

それはそうとメフィエは大丈夫だったんだろうか、多分死んではいないと思いますけど。


カルーアといえばフィランヌに告白して見事にフラれました、それはもう真摯な態度で断られましたよ。

結構早く思い立ったものですね、このまま死に際に告白せざるをえないほどズルズル引きずると思ったんですけど。

カルーアは今回の登場人物の中では一般人に一番近かった、でも最も勇気を振り絞った人だとも思う

臆病な所も周りがそういう人たちだから目立つだけで、普通人の中にいたら際立ったものではないと思う。


カルーアは最後の方で決定的なヘタレっぷりを見せますが、その直後の決断は凄かった。

所謂「ダイの大冒険」で言う所のポップみたいなキャラなのかもしれない。

最初は普通の臆病な人だけど、経験を積むことで主役すら唖然とさせるようなミラクルを起こす。


私はそういうキャラが結構好きですね、成長というものが顕著に見れるし。

普段勇敢で決断をし続ける人よりも、臆病でビクビクしてる人の方がより強く勇気というものをハッキリ感じ取れるからだと思う。

ちっぽけな勇気かもしれないけど、決断しようという想いに大きいも小さいもありませんからね。

もしかしたらカルーアは今回の小説で最も成長した人なのかもしれない、ヘタレっぷりはシリーズ最高だから余計にそう思える。


さて、レードンとの会見ですが至って理性的に話が進みました。

そういえばフィランヌもラーダの司祭なんですよね、19年前には生まれたばかりでしたけどね。

会見場所はスループ王国の王城古の誉城(エンシェント・グロリア)です。

六柱神の間というからには六大神縁の空間なんでしょうね、それっぽい絵画とかがありそうです。

アレクラストのベルダインにも六大神の彫像が並ぶ王立美術館がありましたが、多分そんな感じ。


この時代には既に『"はじまりの冒険者たち"のサーガ』が存在してるらしいし。

レードンの推測では広げたのはレイルズ自身となっています。

確かに結界がなくなって9年やそこらで細大漏らさず冒険譚が伝わるのは不自然ですし。

まぁレイルズ本人が謳ったのではなく、吟遊詩人を雇って広げさせたんでしょうけどね。

もしそうならレイルズも粋な事しますね、会合の時には2人は数日間一緒に過ごしたから詳しくても不思議ではないし。


ここでフィランヌ達はレードンの理想を知ります、それは誤解を覚悟で言うならば神獣の民の啓蒙です。

カントは啓蒙を未成年状態(他人の指導を必要とする状態)からの脱却であるとした事は有名な話ですね。

経験論的認識論や理性主義、更には超越的原理の否定や唯物論や実在論といったものも持ち出されます。

つまりは偶像や迷信・訳の分からない物に囚われない、他人(神や権威)からの精神の自立を目指す事です。


レードンの場合は「他人」の所に「神獣」を入れてみると当てはまるかな?

「英雄伝説」でも言ったように、それは自己本位に繋がります。

神獣達は全てを人間に委ねたのです、なのにもかかわらず未だ神獣の民は神獣に縋り、頼る。

親離れといってもいいですね、ミロンが強固に反対するのもクロイセの教えに反するからだし。

生を受けたからにはその生をどう使うか、どう過ごすかは本来本人が決めるべき事です、まぁそれが許されない人もいるんですがね。


レードンはこの一件が片付いたら封印の民を攻めるつもりです

手前勝手な考えで混沌のレッテルを張り、その存在そのものを消してしまう今のやり方は改めるべきだからです。

その件に関しては「封印伝説クリスタニア」で決着をつけるんですけどね。

ちなみに封印されたものに関する記憶は次第に消えていくそうです。

アデリシアの事も少しずつレードンの記憶から薄れていって、最後にはふっつりと消えてしまうのです。


そんな未来予想を立てているから例の盟約に参加する事は出来ないんですよ。

封印の民を攻めれば獣の牙が敵に回る、そうなればダナーンや銀狼の部族とも敵対関係になります。

盟約に参加した所で即破棄しなければいけませんね。


この場ではフィランヌ達にはレードンが邪悪な人間でないことを知ってもらえて良かったです。

リプレイでは何かと悪役っぽかったし、小説になる際どう扱われるかはファンとしては気になるし。


さて、こうして皇帝との会見は終了しましたがやるべき事が残ってますね。

急いでラグワス大城塞に行って反乱を止めなければなりません。

本来カルーアやフィランヌ達には関係のない事ですが、それは無関心を決め込む理由にはなりません


関わったら関わり抜けが勇者・英雄の条件です、そしてそういう精神を持つ者の一例が冒険者なのです。

理由は色々あるけれど、今現在出来る事をやっておくのもいいんじゃないですかね。

何しろ「諦める事は何時でも出来るが、試みる事は今しか出来ない」のだから。


第4章 革命

★1

一行は反乱を止めるためにレードンよりも早くラグワス大城塞を目指さねばなりません。

それ自体はさして難しくはないんですよね、レードンは軍を率いて帰還しているわけですし、足は遅い。

それにしても「英雄伝説」で散々苦労した"真紅の都"とはどう違うんだろう、やっぱり増築・改名でしょうか。

"真紅の都"自体よく分からない場所でしたが、ラグワス大城塞は恐らく当時よりも規模が大きくなっている。


ナーセルの「クリスタニア博物誌」によれば、城塞は昔の姿を留めた旧市街とその上に築かれた城塞部に分かれるらしい。

この設定が小説でも有効ならば、ラグワス大城塞とはかつての"真紅の都"にダナーン風の城を乗っけたものですね。

小説の159ページの挿絵を見れば分かり易い、以前あった半球状の塚の上に城が建ってますよ。


荒れた大地にクロイセ降臨し、大地の力もて聖なる丘を隆起せしむ。

と詠われる様に、その旧市街はクロイセの創った聖なる丘であり、それをくり貫いたのがかつての"真紅の都"なんでしょう。


ラグワス大城塞は本当にアレクラストの岩の街ザーンに似ています。

ザーンはエアーズロックのような巨大な一枚岩を掘る事で居住空間を作り、立体的に交差する通路は実に面白気な街でしたね。

地元人でなければすぐに迷ってしまいそうで、ある意味その辺のダンジョンよりも手強いかも(笑)


ラグワス大城塞もそれと似たような感じです、岩ではなくで構築されてるんですけどね。

目を引いたのは光源です、ラグワス大城塞はザーンと同じく鏡を使って外部から陽光を得ているのです。

ザーンは魔法の光も使っているので夜でも明るいんですが、ラグワス大城塞は真っ暗になるらしい。

とはいえそれはミロンがいた大広間だけで、他の場所では魔法の光を使ってるのかもしれません。


松明によって光を得る事は出来ないでしょう、何しろこのラブラドル地方は見渡す限りの荒野なのだから。

全くないわけではないんですけどね、獣脂の蝋燭とかもあるわけですし。

ただ城塞を明るくするような贅沢が出来ないだけです。

何処かに油田でもありませんかね、上手くすれば大儲けで国庫も潤いますよ(笑)


フィランヌ達は城塞に辿り着く前に真紅の民と一戦交えたりしました。

彼女は基本的に争いは好まないけど、他に手段がないとなったら決断できる女性ですね。

フィランヌ「賢明なるラーダよお許しを―――あたしには、戦いを避ける術が見つからないのです

彼女はラーダの言うように全ての人が賢明ならば争いは起こらないと信じています、でもそれを実行出来ない歯痒さ。

かといって駄々をこねずに即決断というのが彼女の凄い所だと思う。


敵は戦士種の蟻人と獣人が一人ずつ、このミュルミドンもビーストマスターだったりします。

でもなんだからビーストじゃないですよね、インセクトマスター?(笑)

ていうかフェネスの獣人をウルフマスターと呼んだりもしますから、彼らの場合はアントマスターなんですよね。

リプレイではちゃんとそういう風に表記されていますが、なんか馴染めない呼び方です。

ウルスならベアマスター、バルバスならタイガーマスターといった感じになります、タイガーマスターはカッコイイ


フーズィーならスワンマスターになるんですよね、私としてはキグナスマスターの方がシックリきます。

同じ白鳥でもキグナスは子供でスワンは大人と聞いたけど本当だろうか、某白鳥座の聖闘士の影響からかキグナスの方がいいけど。

そうなればレードンの白鳥ダンスとか見れますよ、セクシーコマンドーみたいな前振りの(笑)


戦闘自体は結構早く済んだんでしょうが、約1名逝きかけました

カルーアなんですけどね、うっかりクリティカル気味の攻撃を受けたばかりに一瞬で血達磨に。

まぁ助かったんですけどね、テューレの二の舞は避けられたらしい。


あとアンバースが顔面に"アシッドスピット"を被って凄い痛そうでした。

これは相手に蟻酸を浴びせるという結構エグイ4レベルタレントです。

ダメージはD10+7と一撃では致命的ではないにしろ、目に入ろうものなら激痛に苛まれるのは必至でしょう。

「目がぁ目がぁ〜」という名台詞が聞けそうです(苦笑)

やはりソルジャ−ミュルミドンは強い上に頑丈ですね、データはどうなってるんだろう(載ってない)。


これもまた「博物誌」によればソルジャー種のミュルミドンの外骨格はプレートメイル並らしい。

ウィングミュルミドンとかリザードマンのようなPCに出来る亜人はどれも装甲値に影響するほどの身体は持っていません

昔のリーダーズサーカスではそうなっていました、確か2000年ぐらいの。

もしかしたらソルジャー種は違うのかもしれませんね、本当にプレート並に装甲が6点あったりするのかも。

この6点というのがどの程度なのかというと、炎の巨人や上位魔神級です。


ちなみに、ミュルミドンの種類は3種類と「英雄伝説」には書きましたが、実はもう一種いるんです。

それこそは女王種、つまりはクイーンミュルミドンですね。

有翼種:ウィングミュルミドン女王種;クイーンミュルミドンという♂♀が支配者階級、あるいは非生産階級です。

その下に労働力である一般種:ワーカーミュルミドン戦士種:ソルジャーミュルミドンがいます。


クイーンの方は小説では影が薄いですが、いると思っていいと思います。

ちなみに彼らがどういう風に子孫を残すのかは不明。

ウィングとクイーンはともかく、感情のない残り2種はどうしてるんだろう?


★2・3

咄嗟の判断で2人ほど逝かした一行はラグワス大城塞に到着、そして投獄(笑)

まぁいきなり反乱者が云々と話し出しても信じてくれないでしょうしね、別に刑罰というわけではなく拘束に近い。

ところが、その放り込まれた先の牢獄にナーセルがいたのです。

神出鬼没ですね、「漂流伝説」の時は洞穴の中にいたかと思えば、今度は牢獄ですか(笑)


レードンはこんな牢獄でナーセルを閉じ込められるなんて思っちゃいないでしょうね。

実際ナーセルはいとも容易く牢を抜け出して出歩いてるらしいし。

ただの意思表示ですよ、「ナーセルでも邪魔をするなら・・・・・・」という感じの。


ちなみにミロンとも知り合いです、「博物誌」でもそうなってたし。

ミロンがナーセルを城塞まで案内したとなっていますが、それはリプレイの設定のはずなんですよね。

小説ではナーセルはレードンと一緒にこの地に来たはずなんですよ。

それならミロンに案内してもらう必要はない、少なくとも「博物誌」のようにナーセルが一人で城塞を目指す事はない。

この辺矛盾を感じますが、まぁ大した問題ではありませんね。


ナーセルとフィランヌの理性的な会話はなんか好きです、ナーセルって話し上手ですね。

雰囲気や話し方のせいか、こっちの事情を洗いざらい喋ってしまいたくなります。

そんな雰囲気にちょっと嫉妬を感じるカルーアもいました、この辺の彼はダークサイドに片足プランなので危うかったです。


ナーセル「人の理想とはすべからく、万人が共有しうるものではないと思う。
ナーセル「理想を実現させようとすれば軋轢を生じずにはおかないし、痛みや犠牲を伴うこともある。
ナーセル「間違ってるとか、正しいとかの問題ではないよ。
ナーセル「自らの理想を信じ、為すべき道を見極める事が何より大切なのじゃないかな」


とは言ってもナーセルはレードンに加担する気はないのです、何故ならばナーセルも自分の理想とする生き方があるから。

"世界見の賢者"としてクリスタニアの状態を根こそぎ見聞する事がナーセルの理想なのです。

取りあえず2人がぶつかる理由は無いですね、この時点では。

それならばナーセルは不必要に干渉せず、レードンを信じて見守っていくまででしょう、これもまた友情なのです。


かくしてナーセルの協力を得て、ミロンの主催するクロイセへの呼びかけに一行は立ち会うことになります。

しかしどんなに祈っても祈ってもクロイセは答えてはくれないのです、まぁ分かりきっていたことですけどね。

上の方でも言ったように神獣は全てを民に委ねたのです、そうホイホイと民に指示を出す事はないでしょう。

あえて言うのならその沈黙こそがクロイセの答えなのです。


加えて真紅の民は今の生活を快く思っています、少なくともレードンがいなかった頃には出来ない贅沢が出来る。

ロードスの風と炎の部族もそうでしたよね、カシュー陛下に統治されて以前よりもいい生活が出来るようになって喜んでたし。

確かに他国に攻め入る事はクロイセの教えに反しています、しかしそれが理由でクロイセはレードンや民を裁く事はないのです。

神獣はそんな狭量な存在ではありませんからね、何度も言うように全てを託してるのだし。


クロイセは知っています、確かに民は豊かになっているという事を、それによって安らぎを得ているという事を。

レードンはクロイセの名代として、クロイセとは異なるものの確かな結果を示しています。

神獣からの自立が大切な今はその事実だけで十分なのです、神獣ではなく自らの意思に頼るべきだと悟ればいいのです。

愕然とするミロンその他も帰還したレードンの側近のノーファの言葉でそれを否定できない事実だと認めます。


しかしミロンはやはりレードンの行いを許す事は出来ませんでした。

クロイセの教えだからではありません、それがミロン自身の意思なのです。

既にミロンはクロイセという存在に盲従してはいません、それを抜きにして決断した結果がレードンに直訴することでした。


あえて言うならばミロンの理想とする生き方と、クロイセの教えが一致してしまったのです。

ミロンの後に続く者も数百人いました、彼らも皇帝レードンの前に命がけで立つつもりです。

次章はいよいよクライマックス。レードンの啓蒙が成功した今、真紅の部族は大きく変わろうとしています。


第5章 さらば真紅の大地

★1〜3

レードンの望んだ真紅の民のクロイセからの自立はこの土壇場で成功を収めつつあります。

しかし、レードンはその事実に気づかず、ミロン達がクロイセの教えによって反乱を起こそうとしていると勘違いし

自分の下に向かっている一団を屠る覚悟を決めていました。


ここにきてレードン大ポカです、折角変わった民達を自分の手で刈り取ってしまおうとしているのだから。

まぁ14年以上も"真紅の皇帝"やってきたわけですし、すんなりと信じられないのも無理ないかな。

「英雄伝説」の時なんて同胞を見殺しにしようとしていたし、その時戦友のファレットも死んでるし。

でも本当に変わったんですよ、死を覚悟で道を行くミロン達に触発されて真紅の部族全体が激しく議論を交わしていますし。


その光景をクロイセに見せられたレードンは「おお人が、動いている・・・・・・」とかいう私的名言を残しましたし。

ところが、それに気づくまではレードンやナーセル・フィランヌ達、ノーファにミロン等は本気の殺し合いを演じました。

ナーセルもレードンが過ちを起こす前にとフィランヌ達諸共に"テレポート"でレードンの下へ


「漂流伝説」の時は6倍拡大とかしてましたが、今回も6倍拡大ですよ、カルーアも飛ばす気だったから7倍まで可

7倍の場合は精神力112点消費、凄いやナーセル(笑)

ナーセル「レードンが無力な人々を虐殺する光景など見たくないとうのが、私の偽らざる本音なのかもしれない」

友達だからこそ立ち塞がる事もある、これもまた一つの友情の形ですね。


そんな中カルーアが凄い勢いで浮き沈みを見せましたよ、自分が死地に赴く決意が出来ない余りにとんでもない事を口走ります。

フィランヌ「あなたが傷ついたら、あたしが必ず治してみせるから」

カルーア「そんなのは嘘だ!あのテューレっていう人が死んだ時も、君は側にいたんじゃないのか!?

まぁリプレイではルールを間違えて突撃してうっかり死んだんですけどね、小説では戦士種の蟻人に殺られたらしいけど(苦笑)


フィランヌ「消えろ・・・・・どっかに消えろって言ったんだよ、この腰抜け野郎!!

期待をかけていてくれたフィランヌにこの暴言、流石のフィランヌも素でキレます

こうして取り残されたカルーアですが、もう後悔はしたくないと思い立ち、ミロン達を庇って戦士種の蟻人相手に嘘のような健闘!


こんなに強かったのか、というぐらいよくやりましたよ、それでまた死に掛けるんですが助かりますし。

人は常に大なり小なりの選択をするものですが、カルーアは最悪の選択だけは避けたんですね、この辺が彼の最大の見せ場です。

ただフィランヌに謝りたかったから、きちんと別れたかったから、その想いだけで一皮剥けましたよ。

ちょっと前までは本当にラクダ野郎だったのに一瞬で勇敢な戦士になる、私はこの手の火事場のクソ力的展開が大好きです。


あとノーファのレードンへ殉じようとへの想いの強さに素直に感動しました。

自分の理想を貫くためにはスループは解放出来ないしミロン達は殺さないといけない、

でもそうしたら民の心が離れて本末転倒という二律背反する状態を打開するために、ノーファは全ての罪を引っかぶる覚悟でした。

つまりレードンには一切責任が無くなるようにミロン達を殺したのは自分の独断にして、処刑されようというのです。


ノーファ「20年前のあの時からずっと考えていた事です。陛下の理想を実現させるために、私の一生を捧げようと

なんて強い人なんだろうと思うと同時に、死んで欲しくもないと思いました。

一人の男の為にここまで強い想いを抱けるんですね、その力こそ愛というやつです。

幸い本格的に後戻りできなくなる前に事態は収拾したので彼女は処刑を免れましたけどね。


レードンVSナーセルは本当にお互い殺る気満々で一切手加減なしでした。

舞台は蟻塚の上に建てられた居城真紅の風(スカーレットゲイル)の最上部、長い長い螺旋階段を上った先にあります。

今ミロンやノーファ、カルーアなんかはその螺旋階段にいるんですね、クライマックスっぽいです。


実は最終局面なのにフィランヌ達は戦ってないんですよね、この時戦ってたのはカルーアだけ。

フィランヌ達は瞬間移動した後はレードンとナーセルの戦いを見ているだけでした。

そういえば一発でここまで瞬間移動出来たという事はナーセルは一度ここに来た事あるんですよね、レードンと一杯引っ掛けたかな。


レードンは本気で斬り殺そうとしてたし、ナーセルも攻撃魔法をバンバン使ってましたよ。

"エネルギーボルト"に"ブリザード"、"ライトニング"とね、本当に遠慮がありません。

"ルーンロープ"や"パラライズ"、"ブレードネット"で無力化を狙うという手もありますが、

よくよく考えてみればレードンは無力化しただけじゃ止められませんからね、諦めまないから本格的に殺さないと止められない

それなら最初から殺る気で戦った方が手っ取り早いのかもしれない。


攻撃魔法なら抵抗されてもある程度のダメージは与えられます、生死は問わずに止めたいと言うのならそれもありかな。

もちろん"ルーンロープ"とかなら抵抗さえ破れば一瞬で決着がつきますけどね、その後ゆっくりトドメを刺せばいい。

でもあまりそれに固執していると結局は不覚を取りそうです。いずれは成功するんでしょうが、それまでレードンの猛攻から生き残れるか。

それなら極限まで達成値拡大した"スパイダーウェブ"、駄目な時は集中力で、あとは全員でタコ殴りに・・・・・・。

いやそんな邪悪な、ていうかレードンを殺す算段を練ってどうするんだ私(笑)


ここでナーセルの"ライトニング"の詠唱が気になりました、別に変な所があったわけではなく。

ナーセル「風の咆哮、光の疾走、始原の巨人の激しき息吹・・・・・万能なるマナよ、稲妻となりて疾しれ!」

というやつです、雷の精霊力は風と光の複合精霊力だから、これでいいはずなんですよね。


ちなみに"ファイアボール"は「火蜥蜴(サラマンダー)の脚、炎の魔神(エフリート)の吐息、始原の巨人の憤る心・・・・・」で、

"ブリザード"は「雪娘(フラウ)の抱擁、氷雪の魔狼(フェンリル)の咆哮、始原の巨人の悲しみの心・・・・・」といった感じですね。

細かい所は色々違ったりしますが、まぁ大体は合ってるでしょう。


ちなみに漫画版「ファリスの聖女」ではウォートがかなりカッコイイ"ライトニング"の詠唱を披露しています。

「魔術の根源、万物に遍くマナよ、閃光は我が指に寄り来たり、始原の巨人の咆哮と化りて、我が刺す所を撃たん、アトアナ・アトラ・エム・ヴェイガス!」

"ファイアボール"は「ヴァナ・フレイム・ヴェ・イグロルス」なのは有名ですよね。

この語感がカッコよくて好きです、他の魔法もこんなのがあるんでしょうね。


ナーセルが最後の手段とばかりに使った魔法の詠唱には正直驚きました

ナーセル「万物の根源たるマナよ、回廊となりて、異世界へと――混沌界へと至る道を開け・・・・・」

何しようとしてるんだナーセル、ていうか何なんですかその魔法は、何か凄い事言ってますよ。


遺失魔法っぽいですね、クリスタニアRPGには存在しないと思われる魔法ですよ、データブックにも載ってないし。

もしかして"ディメンション・ゲート"で混沌界へのゲートを開いて道連れにしようとしてるとか・・・・・・。

あるいは他の魔法か、相手を混沌界へ吹っ飛ばすような強力な遺失魔法・・・・・・。

なんか"アナザー・ディメンション"みたいですね、あるいは"ゴールデン・トライアングル"(笑)


という美味しい時にクロイセが待ったをかけ、レードンに真紅の部族が変わったという確かな映像を見せて一件落着です。

レードンは本当に無駄に親友を殺しかけたんですよね、無駄じゃなかったら躊躇わなかったでしょうけど。

これ程までに理想と自らの考えに殉じようという男はそういませんよ、うっかりさんだけど。


レードン「御身から授かった権限の全てを再び御身に返還致します。
レードン「私がおらすとも、真紅の部族は御身の教えに縛られる事なく、自らの意思で決断し、生きてゆくでしょう

なんか晴れ晴れとした顔をしてますよ、ついさっきまで殺し合いをしてたとは思えないぐらい達成感に満ちています(苦笑)

確かに過ちを犯そうとした、でもレードンによって真紅の部族が変わったことは事実であり、同時に真実でもあるのです。


ラーダは言いました『真実は無限なり』と。

真実というものは客観的なもの(すなわち事実)ではなく、何処までいっても主観的なものなのです。

事実とは対象関係的な知であり、真実とは自己関係的な知なのです。

ラーダは後者を無視する事はないようですね、流石は知識神。


だから人の数だけ真実がある、事実は一つでも真実は夜空に輝く満天の星々の如く無限なのです。

いや、無限ではないですかね。限りはある、でも果てはないといった所でしょうか。

ちゃっかりとフィランヌも自分の信仰心を大きくする事が出来たようです、


こうしてレードンは皇帝位を退き、ミロンが王として真紅の部族を引っ張る事になります。

ついでにラブラドルからの引越しも計画中です。

閉鎖された社会が真紅の部族のアイデンティティなのに、地峡に住んでたらそれもままならない。

だから引っ越すのです、フィランヌはその為に南クリスタニアの探索に志願しました、使者の使命は仲間に託しました。

アイデンティティという所に注目です、それはクロイセの教えに盲従しているわけでなく、彼らが望む社会の在りようなのです。


リプレイでは冒険者という立場だったから、全員が南クリスタニアに行ったんですよね。でも小説の設定ではちょっと違います。

アンバース・ベリーズ・ライアスはダナーンへ、ボッシュはテューレの蘇生、カルーアは護民兵を続けるそうです。

かつては本当に役に立たなかったカルーアだけど、今なら少なくとも民を守って戦う事は出来るでしょう。

フィランヌとはこれでお別れだけど、最後にいい思い出も出来たし、レードン同様晴れ晴れとした表情で日常に帰っていきました。


レードンはナーセル・ノーファと一緒にフィンガル地方の封印の部族を目指します。

ようやく「はじまりの冒険者たち」からの決着がつきますよ、アデリシアとその他の罪無き被封印者の解放という。

その話は「封印伝説クリスタニア」です、凄い勢いでクリスタニアが変わっていきますね。


ちなみにスループは解放されました、マーファの最高司祭はボッシュの案内でテューレの蘇生をしてくれます。

次の「黄金伝説クリスタニア」の主役はテューレです、遥かなる黄金郷を求める旅路へ。




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