「漂流伝説クリスタニア」著:水野良 出版社:メディアワークス

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第一章 神の城壁

「始まりの冒険者たち」からおよそ10年、ダナーンの地に遥か高み"神々の住まう地"への道が再び開かれる!

全部で十の伝説から成る「クリスタニア・サーガ」ですが、時間系列で言えば4作品目に当たります。

でもリプレイとして世に出たのはこれが一番最初だったりもしますね。


ある意味この漂流伝説というのはクリスタニアのはじまりといってもいい物語だったりします。

結末を先に語ると、今回の物語で周期と結界は失われ、クリスタニアは海の高さまで降りてくる事になります。

遠き神代の時代から閉ざされてきたこのクリスタニアに、周期の時代に代わる歴史の時代がやってくるのです。


かつてレードンたちがクリスタニアに登ってきた頃は随分と難儀しましたよね。

今回も決して楽ではないものの、レードン達がある程度開拓をしてくれたお陰で多少の理解者もいます。

もしかしたらフーズィーが離反した時点で周期は既に失われつつあったのかもしれませんね。

暗黒の民や新しき民がこの地に漂着し、クリスタニアを求めた時点で遅かれ早かれ開かれる運命だったのかもしれない。


レードン達は命の危険に晒されながら逃げるようにクリスタニアに登りましたが、

今回の主人公達はそれに比べたら随分と余裕があります、所謂冒険者のような気分と言ってもいいと思う。

そんな彼らを一人一人紹介しましょう。


レイルズ 17歳

レードンやナーセルが育ったハークの村出身のウォリアー。

父親は"血煙の騎士"と謳われるダナーン最強の戦士である近衛騎士隊長のラッセルです。

とはいえ家が名門貴族というわけではありません、ラッセルはかつては冒険者でしたが実力で今の地位についたのです。

今は母親と二人暮し、近々王都に行って騎士になる予定ですが冒険者への憧れも持っています。

かなりのファザコンで父を敬愛しつつも、そんな父が宰相マリードの私兵になっていることで複雑な心境です。


サイア 18歳

レイルズの幼馴染で、ナーセルの父ブライアン老師の幼女でもあるハーフエルフのソーサラー。

チェンジリング(取り替え子)の為、実の家族から忌み嫌われて老師に引き取られたらしい。

レイルズやビーンのお陰で屈折することなく育ちました、かつては冒険者になることも夢見ていましたし。

クリスタニアに登ったナーセルの身を案じつつもレイルズに恋心を抱いています。


チェンジリングというのは両親が人間でありながらエルフやハーフエルフとして生を受けた子供のことです。

何処かでエルフの血が混じった事で隔世遺伝のような感じで起こる事らしい。

ハーフエルフは唯でさえ世間の人からは嫌われるのに、その上チェンジリングとくれば色々あるでしょうね。


ビーン 15歳

やはりサイアやレイルズの幼馴染な少年で、母親譲りのシャーマン技能の持ち主です。

その母親は7年前に動物からビーンを庇って死去し、それからはハークの村長の所で育てられました。

13歳になってからは精霊使いとしての腕を磨くため、森で暮らしています。

性格は臆病で気が弱いんですが、レイルズを兄のように慕っています。

ちなみに後に信じられないような根性を見せます、母親同様に上位精霊に呼びかける精霊使いになるかも。


彼ら3人は冒険者を夢見ていたのですが、現実問題それは難しいのです。

何故かといえばここダナーンは冒険者のフィールドとしては狭く、機会に恵まれないのです。

既に開拓すべき場所もありませんしカストゥールの遺跡も無い。

危険な動物はいても冒険者が必要な魔獣や妖魔もいない、内乱ばかりで外敵もいない。

これではアレクラストやロードスのような冒険は期待できませんね、精々権力者の手駒として働くぐらい。


多分ラッセルが近衛騎士になったのは自分と家族が生きる為の判断じゃないかと思います。

レイルズは剣しか取り得が無いから騎士になるといっていましたが、ラッセルも似たような選択をしたんだと思います。

妻と息子が白い目で見られようと、マリードの手先として大勢を殺そうともね。

ハーヴェン(レードン父)亡き後はハークの村の領主になったり、反乱を鎮圧したりと色々ありました。

本人は多くを語らないのでその心の内は知れませんけど、家族を放棄したわけでは無いです、むしろ逆。


ちなみに、ダナーンの王女がマリードに幽閉されていることは10年前から変わってません。

最近ちょっとした事件がありましたが、王女は幽閉されたままです。

その事件とは、とある冒険者のパーティーが王女を救出しようとして失敗したというものです。

そして彼らの内このハークまで逃げてきた二人が残りの仲間です。

実は十年前にも王女様を助けようとしたのですが、その時は王女自身が自分の力不足の為に脱出を自重しました。


レイルズはその事を村に来ていた近衛騎士ノルヴァに聞いたわけですが、

まさか彼までもがレイルズを追いかけてクリスタニアに登るとは予想してませんでしたよ(苦笑)

しかもラッセルの命令ですよ、そんな彼にはMr.貧乏くじの称号を与えましょう。(要らん)


バッソー 年齢不詳

熟練したスカウト(密偵)で、にやけ顔が特徴的な男です。

私の中では「灰色の魔女」ウッド・チャックに近いイメージがありますね、声は若本さん希望で(笑)

歳は不明ですが、レイルズ達よりもずっと上なのは間違いないはず。

冒険者としても経験豊富なので何かと頼りになります、「傭兵伝説」にも登場したりとお気に入りのキャラです。


シャイロン 年齢不詳

バッソーの仲間のドワーフで、チャ・ザのプリーストです。

やっぱり歳は不明、ドワーフだけに立派な髭が生えているせいで余計分かりにくい(苦笑)

バッソー同様パーティーの保護者というか助言役ともいえる立場ですかね。

ドワーフにしては楽観的なところがありますが、時に重みのある事も言います。


例によって5人ともレベルははっきりとは分かりません、リプレイのそれは当てにならないしね。

サイアが"ビジョン"を使ってる所を見ると彼女は5レベルと思っていいんでしょうかね?

後半の方になるとシャイロンが8レベルの"リフレッシュ"とか使ってるので、それなりのレベルかと思いますけど。


レイルズとバッソー・シャイロンの出会いはかなり唐突でした。

レイルズが賊(バッソー達ね)の事を聞いて家に戻ると二人が家で夕飯をご馳走になってました(笑)

親切なお母さんですね、通りがかりの人に食事を作ってくれるなんてね。

二人とも罪人ではありますが善人ですから良かったんですが、凶悪犯だったら危なかったです。

感のいいレイルズは即効で彼らが逃亡中の賊だと看破しました、実に話が早い。


レイルズはこの事を近衛騎士にチクろうとするんですが、これをバッソーに阻まれます。

長い付き合いになる彼らですが最初はこんなこともあったんですね、時が過ぎれば笑い話で済みます。

ちょっとレイルズが押しますが、やっぱり駆け引きに長けたバッソーの方が一枚上手でした。

首筋に刃を突きつけられるのですが、そこで地震が起きて形勢は逆転します。


結果としてレイルズがバッソーを捕らえた事になったのですが、注目すべきはむしろ地震ですよ。

ダナーンでは地震は稀です、最近では10年前に起こったきりですね。

そう、この地震こそは再びクリスタニアへの道が開かれる前兆なのです。

まだ開いてませんけどね、余震のようなものだからこの程度で済んだんでしょうね、

後に起こる本格的な地震はこの比じゃありませんよ。


第二章 神の国へ

レイルズはバッソーの身柄を引き渡し、シャイロンも出頭してきたので益々村人からの非難の目が強くなっています

二人とも王女様を救おうとしたわけですから英雄のようなものですし、

結果的にはレイルズはマリードを利する事をしたのです、宰相の犬の息子はやはり犬といった感じでしょう。

これでバッソー達が王女様を救出し、マリードが失脚していたら吟遊詩人に詠われていたでしょうね。

レイルズは自分の首を絞めただけですね、誇らしさなんて微塵も無いでしょう。


そんなレイルズにいよいよ転機が訪れます、クリスタニアへの道を開く大地震が起きたのです。

結果として十年前のように村は大惨事に見舞われます

あの時はハーヴェンが家を失った人たちの為に屋敷を解放しましたよね、今の領主はどうしたんだろうか。

ラッセルもかつては領主をしてましたが、王都に呼び戻され近衛騎士になったのなら別の領主がいるはずです。

普通は近衛騎士というのは領地を持たずに王都に詰めているものですし、ラッセルが領主をしていたのは1年ぐらいらしい。


この時ビーンがウンディーネに命じて火を消したんですが、これは一体・・・・・・。

ウンディーネが自ら火を消したという感じですね、"ウォータースクリーン"とかじゃないと思います。


これが可能だと思われるのは7レベルの"コントロールスピリット"でしょうね、下位精霊を操るというやつです。

同名の魔法がSWにもありますが、あっちは3時間の儀式が必要だし自由自在に操れるわけじゃない。

本来特定の精霊力が働いていない所でもその精霊の魔法が使えるようにするのが主な活用法でした。

クリスタニアではSWと違って精霊力の制限はありませんからね、屋内でも風の精霊魔法を使えたりするし。


クリスタニアの"コントロールスピリット"に近い魔法は、SWなら7レベルの"フルコントロール・スピリット"でしょうね。

これもまた儀式が要りますが自由自在に精霊を操れるのでちょっとした小火なら軽く消せるでしょうね。

丁度レベルも一緒だし、名前とルールが食い違っているだけと思ってもいいと思います。

それにしても、このパーティーって凄い高レベルだったりするのかな、ただの小説的描写と取る事もできるでしょうけど。


精霊といえば、このフォーセリアでは地震は大地の上位精霊ベヒモスの起こすものだと考えられてます。

一連の地震は神王としてやりたい放題のバルバスが起こしたものですが、どうやらベヒモスに命じた訳ではないらしい。

結界を破ろうとする事で起きる地震ですから、精霊力に働きかけたわけじゃないんでしょうね。


仮に精霊魔法でこれを再現するのなら10レベルの"コール・スピリットロード"とかがそれにあたりますかね。

普通に地震を起こす"アースクェイク"ではここまで大規模な地震にはなりませんから。

これは文字通り精霊王を召喚して働かせる魔法です、SWではにわかに信じがたい魔法です。


SWでも一応それっぽい魔法はありますよ、SWアドベンチャーに出てきた魔法で、

10レベルの遺失精霊魔法"コントロール・スピリットロード"です、"コントロール・スピリット"の上級魔法なんでしょうね。

でも支配するだけなのと、自由に使役するのは違いますよね。

"コントロール・スピリット"と"フルコントロール・スピリット"の違いですよ。


SWアドベンチャーではフェンリルに命じて湾と都市を氷付けにしてましたが、そんな事も可能なんですかね?

そこまで大掛かりなこととなると"フルコントロール・スピリットロード"とかのレベルじゃないかと思います。

対象が下位精霊か上位精霊かという程度の違いなら、

"コントロール・スピリットロード"は"コントロール・スピリット"と同じ程度の事しかできないと考えるべきだと思う。


そういえば"コール・スピリットロード"という響きは"コール・ゴッド"に似てますよね。

それだと"コントロール・スピリットロード"とは違う方向性の魔法なのかもしれません。

儀式を経て服従させるのではなく、その場のみ力を貸してもらうという違いです。

各部族に共通する10レベルタレント"コール・ビーストロード"というもので神獣を召喚できるわけですし、

神・神獣・精霊王と人知を越えた相手に願いを聞いてもらうという点で"コール・○○○"は共通してますね。


こうして開いた新たな道にレイルズ達は興奮を隠せません。

各自装備を整えクリスタニアへ登る準備をします、この際レイルズが父親譲りの魔法の短剣を装備した事はチェックです。

サイアは老師への孝行としてナーセルを探す覚悟もしました、彼女だけは明確な目的があるんですね。


あとサイアは発動体として老師の作った杖と呪文書をほぼ勝手に持っていきます。

気になったのはそれまで使っていたワンドは初級の呪文しか使えないよう力をセーブしてあったというものです。

そんな細工をしてあったなんて、老師もサイアを可愛がってたんだと思います。

サイアは自分が血の繋がっていない幼女である事を気にしてましたが、実際はそこまで悩む程ではないと思う。


途中で牢から脱出してきたバッソーとシャイロンも加え、5人はクリスタニアへ登ります。

レードンは途中まで自分は神に選ばれたからクリスタニアへ登ったと思ってましたよね。

ある意味ではその通りですし、ダナーンでは始まりの冒険者たちをそういう風に認識しています。


今回もそういった記述が多いんですが、実際はそう甘くはない。

別に神獣は外部の人間を招集したわけではないし、神王だって利用しようという魂胆があるからです。

レードン達にしろレイルズ達にしろ選ばれたのではなく、自分で選んで登ったという風に考えるべきだと思う。

神に選ばれたなんて驕りでしかない、神様が呼んだから行くではなくて自分の意思で登ったと誇りを持って言うべきだと思う。


第三章 銀狼の娘

レイルズ達は神の城壁に穿たれた道を登り、すんなりとクリスタニアへ入れました。

レードン達はリオ達大蛇の民に因縁をつけられたりしましたが、今回はそういう事はないらしい。

やっぱり見つかったら面倒な事になるんでしょうけどね(苦笑)


5人はあの日のレードン達と同じ場所にいるんですね。

サイアが"ビジョン"を使う所もナーセルと一緒、流石は兄妹ですね、同じ行動パターン。

見渡す限りの広大な森林も、神の箱庭のように整然と並んだ木々も10年前と変わりません。

ここはイスカリア地方中央部、周期の神獣王フェネスの支配地である大森林地帯です。


そんな光景にレイルズはちょっと拍子抜けしたらしい。

神の国と聞いていたわけですからね、もう少し神秘的なのを期待してたんでしょう(苦笑)

神話に語られる神々の楽園は万色の光で輝いていたといいますが、それはフォーセリアのどの辺りの事なんでしょうかね?

そもそも神々の楽園なんて場所があったんだろうか、私の知る限りではそれらしい痕跡のある土地はありません。


アレクラストのトゥーデント半島は謎に満ちていますが、神々の楽園と称する程なのかは微妙。

神々が世界の創造に携わっていた時代、ファリスやファラリス・フェネス達がどのような生活をしていたのか。

彼らとて基本は巨人なわけですし、それなりの住居があっても良さそうですけどね。


まぁ神々の戦いなんて物があったわけですし、跡形もなく消滅してしまった可能性もありますがね。

ちょっと神の心臓とか怪しいなと思います、イーストエンドよりもよっぽど謎の島ですよ。

その辺は神獣に聞けばある程度分かるかもしれませんよ、メルキシュ辺り熱心に話しそうだし(笑)

知りたがり屋さんは喋りたがり屋さんでもあるものです、神様とはいえ自分の知識を披露できる機会というのは嬉しいに違いない。


レイルズは「クリスタニアに登ればすぐに波乱万丈の冒険が始まる」と思ってたようですが、

サーガに詠われる英雄や勇者だって最初から大冒険をしてたわけじゅありませんよ。

特別高い志があったわけでなく、機会に恵まれそれに応えていった結果時代に名を残す結果になったのです。

レイルズだって今でこそファザコンの坊やですが、将来はダナーンの王様ですよ、分からないものです。


歴代フォーセリアの勇者・英雄たちだって今思えば恥ずかしい思い出も色々あります。

パーンなんて危うくゴブに殺されかけてたし、リウイはゴブを素手で撲殺してたし(笑)

カシュー陛下なんて若い頃に毒のある花を口にくわえようとしたんですよ、キザな所もあったんですね。

大切なのは自分の今置かれている状況に全力で挑む事です、あとは実力と運次第で吟遊詩人が飛びついてくるようになります。


さて、この章でレイルズは銀狼の部族のマリスという娘と運命的な出会いを果たします。

銀狼の部族は"周期の神獣王"にして"森の銀狼"フェネスに仕える部族です。

守護対象は月、周期、秩序、狩人で五柱の神獣王の中にあって"神獣の長"と呼ばれています。

なにしろフェネスは神話の時代には中立の神々を率いていた至高神ファリスの弟なんですから。


このクリスタニアにおいて銀狼の部族というのは極めて有力な部族です。

フェネスはクリスタニアを司ってきた周期をもたらしたわけですし、ファリス・ファラリスに劣らない神格を持ちます。

神獣の力というのは器となっている動物には依存せず、本来の神格に左右されるらしい。

もっとも人の肉体を得て神王となったバルバスには及びませんけどね、神獣とは本来の力をセーブされている状態ですから。

もしも神獣になっていなかったら、アレクラストやロードスに大きな教団が出来ていたとしても不思議ではない。


その銀狼の部族では銀髪の者は非常に稀な存在で、大抵は部族を率いるような運命にあります。

現在は銀髪の者は4人いるわけですが、マリスはその内の一人です。

将来は銀狼の部族の族長となり、ダナーンの王となったレイルズと同盟を結ぶようになったりします。

この時はそうでもありませんが、少しずつ二人は惹かれあっていきます。


クリスタニアに登ってきて初めに出会ったのがマリス達で良かったですよ。

お陰で穏便にクリスタニアの創世を知る事が出来ました、これを知らないとお話しになりません。

レードン達は大蛇の民に追われつつ、ボークスやジェノバに教わったんでしたよね。

大蛇の民や封印の民と遭遇してたらどうなってたことやら・・・・・。


それにしても、バッソーとレイルズって仲いいですね。

レイルズ本人は否定してましたが、お互いになんら遠慮なく言い合いをするのは貴重な交友ですよ。

マリスなんて幼い頃から聖女のように大切にされて、実の両親にまで神別化されてきたからそういう関係が羨ましそうだし。


ちなみにマリスはウォリアー/ビーストマスターです、リプレイ版とは顔が違う(笑)

フェネスの7レベルタレントの"コールシルバーウルフ"を使えるようなので、それなりのレベルの筈。

各部族に共通する眷属召喚の7レベルタレント"コールビースト"のフェネス版ですね。

ちなみに各神獣の支配地においては特別にD6匹もの眷属が呼び出されます、このイスカリアなら最大6匹もの銀狼が来るはず。


シルバーウルフは銀色の体毛をしていて、普通よりも大柄な美しい狼です。

マリスは今サージという名のシルバーウルフを連れています。

子供の時からの友達だと言うので、マリスがタレントで召還したわけじゃないようですね。

マリスは銀髪の者ですからね、幼い時から一緒にいさせるのは一種の英才教育なのかもしれない。


ちなみにフェネスはその超大型版で「もののけ姫」とかに出てきそう。

レイルズ「あの娘を解き放て!あの娘は人間だぞ!」

フェネス「黙れ小僧!お前にマリスが救えるか!?」みたいなノリです(笑)

ちなみにマリスは所謂野生児のような娘ではないですよ、清楚な少女です(分かってる)。


今現在のクリスタニアの情勢は「英雄伝説」でも少し触れたように、ベルディア軍の圧倒的な優位にあります。

獣の牙もこの時代には復活してるんですが、数の差はひっくり返りません。

ひたひたと押し寄せる波のようなベルディア軍に飲まれるのを待つばかりという戦力差です。


第四章 剣の牙の公爵

そしてマリスのいた集落にもまた、ベルディアの軍勢が攻め寄せてきたのです。

レイルズは意外にも自信満々で俺も戦う宣言です。

自分だけ残り、サイアやビーンは放ったらかしで戦に行っちゃいましたよ。


レイルズ「生きた捕虜をダナーンに連れて帰れば、誰もオレの言葉を疑ったりはしないだろう」

まぁ確かにそうですが、これが本物の戦だという自覚が凄い薄いですね。

無謀と慢心の精霊に取り憑かれてます、バルキリー憑きですね(勇気の精霊だってばー笑)。

ちなみにダナーンにはゴブリンのような妖魔はいないので、ゴブ一匹捕まえるだけで十分証拠になりますよ。


確かに自信というものは必要かもしれませんが、肥大化した自信は慢心であり、必ずや足元を掬われますよ。

この時点でのレイルズはハッキリ言ってただの自信過剰です。

実際に命のやり取りをした経験もなく、どうも薄っぺらなものに見えます。

慢心であっても実力はあるからオーガーをも倒しますが、慢心なんてものは一度砕かれると容易に恐怖に変わります


その戦場に居合わせた"剣の牙の公爵"ことグレイルにズンバラリンとやられます。

グレイルは「神王伝説」に出てましたね、今は猛虎の部族の族長のはずです。

当然ながら高位のウォリアー/ビーストマスターであり、タレントを知らないレイルズでは太刀打ちできる相手ではありません。

"リープ"で背後を取られ、アッサリと斬り伏せられます。


レイルズはこの時マリスから借りた銀の剣を持っていたので、通常武器無効の"インバルネラビリティ"では頭を割られていました。

それでも見る限りでは避けたり受けたり出来そうでしたし、余裕がありそうでもありました。

それでも"リープ"を使うなんて、もしかして"リープ"&アタックのコンボを楽しんでいたんだろうか。

グレイルに突っかかっていった時のレイルズはそれはもう無謀と慢心に満ちていましたよ、ウララララ〜!って感じ(笑)


そしてマリスの治療によって一命をとりとめたレイルズは酷く臆病になってしまいます

初めて実感した死の恐怖に慢心が吹っ飛んじゃいましたよ。

すっかりビビリになってしまったレイルズはマリスに引率されてダナーンへの道まで送ってもらいます。

さっきまでの自信は何処に行ったのやら、本当に不抜けてしまいました。


マリスはフェネスの3レベルタレント"リッキングキュア"を使ってくれたんでしょうね。

傷口をなめる事でレベル×5ラウンドの間にレベル×1点の怪我を治せます

仮にマリスが7レベルだとしたら、1回の使用で245点分の怪我を治せます

まぁ実際それを全部治療に当てるような機会は稀でしょうけどね、極めて厳しい戦場で癒しに専念するとか。

そして7レベルのタレントポイント(21点)を全部つぎ込むなら7回使えるので、計1715点!!

タレントの使用にはそのタレントのレベル分だけのポイントが必要なのでこうなる筈。


そうして道にまで戻ってきたのですが、そこに待っていたのは仲間たちを人質に取ったグレイルでした。

最悪ですね、レイルズにとってはこの上ない恐怖と絶望をもたらす状況ですよ。

極端から極端へ走る男レイルズは早くも降参しようとしますが、グレイルはこれ以上無いというほどの嘲笑を送ります。

グレイル「おそらくその騎士団長(ラッセル)もこのオレの姿を見ただけで、泣いて命乞いをはじめるのだろうさ」とね。


言っちゃいましたよ、言っちゃいけないことを言っちゃいました。

レイルズは無類のファザコン、表面上はどうあれ父ラッセルを敬愛していますし誇りにも思っています。

その時にはもう恐怖なんてものも吹っ飛んで怒りのパロメーターはとってもとってもマキシマムでした。

レイルズ「親父を・・・・・親父を侮辱したな・・・・・。よくも親父を!!」とばかりにキレます。


そしてそのラッセルから譲り受けた魔法の短剣を投げるのですが、これが曲者でした。

この短剣、精霊魔法の"シュートアロー"のように一度投げたら敵まっしぐらです。

グレイルは猛虎の部族ですし、ある意味猫科ですから猫まっしぐらと言ってもいいのかもしれないけど(笑)

なんとグレイルの片目を潰しちゃいましたよ!!?(驚愕)

その気に乗じてバッソーやシャイロンたちも脱出し、危機を逃れました。


レイルズのファザコンがここまで苛烈なものだとはねぇ。

死の恐怖すら吹っ飛ばして劇的な勝利をつかむとは、ファザコン恐るべし(笑)

その後にグレイルが放った例の魔法の短剣が銀狼のサージの命を奪ってしまうのはいただけませんけどね。


でもこれでグレイルはレイルズに復讐を誓っちゃいましたよ。

猛虎の部族にとっては復讐は神聖なものです。

誰にも恥じる事なき覇王道を進むために、邪魔なツケを全部返すために復讐を推奨しています。

一度復讐を誓ったからには何処までも追ってきますよ、そしてそれを果たすか返り討ちにあうかです。


レイルズはヘタレっぷりを見せながらも、クリスタニアに関わっていく事になります。

グレイルとの再戦、マリスとの関係、色々な因縁が出来てしまいました。

一度はあんなにも臆病になったレイルズですが、このまま臆病者で終わりたくないとダナーンには帰らないつもりです。

散々っぱら無様な姿を晒してましたが、その気持ちだけは感心しました、それでこそ主人公です。

まさに漂流伝説ですが、諦めることなく漂い続ければ奇跡すら起きますよ。


A

第一章 獣人

「漂流伝説」も2巻に突入です、この巻からレイルズ達は獣の牙に身を置く事になります。

獣の牙といえば「英雄伝説」で一時解散しましたよね、何時の間にやら再結成してますよ。

解散は6年ほど前ですから現在の砦はそんなに古いものではないはずです。

獣の牙のことは次の章に譲るとして、ここではレイルズ達と接触した傭兵達に注目です。


一行の前に現れた獣の牙の傭兵は全部で5人、目的がグレイルを倒す事らしいからそれなりの実力者ばかりでしょう。

そのグレイルはレイルズのファザコン・パワー(笑)で撤退しちゃいましたけどね。

5人の傭兵達の部族はそれぞれ銀狼・牙・影・鬣・孤高です。

名前は順にターニル・ガーシュン・イサリ・カーリオ・ナンスで、前の3人が重要キャラです。

銀狼の部族は上の方で紹介しましたし、鬣と孤高は「神王伝説」で紹介しましたね。


ターニルはマリスと同じ銀髪の者で、一時婚約者でもあったりしました。

マリス同様に高位のウォリアー/ビ−ストマスターと思われます、彼もやはりリプレイとは顔が違う、なんか老けた(笑)

つまりはレイルズにとってのライバル的な男になるんですよ、敵対関係じゃなくて役所がね。

リプレイでは二枚目の兄ちゃんでしたが、小説では全体的に老けましたね。


彼はマリスのハーケーンの集落(前巻で襲撃を受けた)よりも東のイースロの集落の若長でした。

イースロは銀狼の部族第二の集落であり、多くの戦士たちが詰めていた前線基地ともいえる集落でした。

しかし、神王バルバスの例の力に晒されたところを攻められて全滅、ちなみに幾千万の雷だったらしい。

かつての獣の牙ウンガロ砦とロマ砦を滅ぼしたのと同じ手口ですよ、毎度の事ながら容赦ない。


ガーシュンは実は「始まりの冒険者たち」でも出てきてます、オーヴィルと賭け試合をしてました。

その縁もあってダナーン出身のレイルズ達にはかなり好意的です、多分砦で最も頼りに出来る男でしょう。

ブルーザの9レベルタレント"デスゲイズ"が使えるからには9レベルウォリアーでもある筈なんですよね。

ちなみに双牙槍(ツインタスク)も持ってますよ、これは魔力を帯びた武器です、カストゥールの遺産ではなくブルーザから与えられます。


牙の部族は"土色の牙猪"ブルーザに仕えています。

守護対象は戦い・怠惰で五柱の神獣王の一人"戦いの神獣王"であり、その名の通りかつてはマイリーの従属神でした。

怠惰というのは意外に思えますが、それは戦以外では戦士は怠けてよいという考えからきています。

その為に牙の部族では普段は戦士階級の者は働かず、それはもう怠けています。


イサリはここではほとんど目立ちませんが、後々レイルズ達と共に行動するようになります。

クラスはソーサラー/ビーストマスター、ビーストフォームが使えるからには5レベル以上のソーサラーでもある筈です。

愛想が無く暗い印象を受けますが、実際そうでもなかったりするのは後々分かってきます。


影の部族は"凶兆の大鴉"アルケナに仕えています。

守護対象は運命・時間"運命の告知者"とも呼ばれています。

混沌である「時」というものを研究し、ある程度の成功を収めたらしい。

その為アルケナは今でも不確定な未来を知ろうとしていますし、影の民も限定的ながら未来を知るタレントを持ちます。

ちなみにクリスタニアに古代語魔法をもたらした神でもあるので、影の民には魔術師(クリスタニアでは呪術師(ウォーロック))が多い


幸い大蛇の民や封印の民はいないし、話が分かる面子だったので穏便に済みました。

ガーシュンが最初から新しき民に理解があったというのもありますね。

これもまた先駆者であるレードン達が無意識に施してくれた援助です。


レイルズは猛虎の民とバルバスの眷属サーベルタイガーとの戦いで獣人化したガーシュン達を見てそれはもう驚いてましたよ。

最初は獣憑き(ライカンスロープ)扱いだったのは無理ないかな、私もクリスタニアを知った時は驚いたし。

レイルズ「オレの目には、魔物と魔物とが戦っているようにしか見えなかった

正直ですね、でも確かにクリスタニアの外部の人間が見たらそうとしか見えないでしょうね。

このセリフを聞いた時ちょっと悲しくなりました、まるで新しき民と神獣の民は交わるべきではないと暗に示唆しているようで。


ガーシュンもそんな事を言ってましたが、マリスのお陰でレイルズはすぐに考えを改めました。

銀狼へビーストフォームしたマリスを見て、レイルズはそれでも美しいと素直に感じたのが嬉しかった。

確かに誤解は避けられないでしょうが、理解できない事も無いのです。

いきなり民族的な友好関係は築けないでしょうが、個人的な友情や愛情・仲間意識は十分築けると確信できます。


問題はそれをどうやって多くの人に広めるかです。

ちなみに将来的には神獣の民と新しき民はどんどん交流を深めていく事になります。

後にダナーン王になるレイルズがこうして現地の人達や文化に親しむのはダンーンにとっても大きな意味があったのです。

あとは信仰上の問題が大きいでしょうね、肉体のない神神獣、同じ神様でも異なります。

その辺は完全な融和なんて望めないでしょうし、互いに干渉し過ぎず認め合うしかないでしょう。


同じ国や民族をアイデンティティーにしていても不仲は生まれるんです、異なれば尚更だし、それは別に悲観すべきでもない。

誰にだって生まれてから培ってきたモノがある、それは必ずしも一致しないから食い違いは出て当然。

むしろそっちの方が相手の人格を信頼出来る、相手に迎合しっぱなしなんていう方が人格を疑います。

あとは時に妥協しながらも交友を続けられれば十分でしょう。


第二章 獣の牙

ダナーンを旅立ってから早三月が経ちました、レイルズ達は獣の牙で雑用をして過ごしていたりします。

とはいえレイルズのように戦士の気質を持っているとそれだけでは鬱憤が溜まるらしいらしいけど(苦笑)

案外バッソーとかビーンは馴染んでますね、サイアやシャイロンも同じく。

洗濯をするバッソーというのもオツなものです、ビーンとの会話が微笑ましい。


砦はイスカリア地方を東西に横断する街道上にあります。

正門は西、つまりはベルディアの支配地の方に向いているらしい。

団長は髭が立派な鬣の部族のオルゲンズです、パーシャルしない方が獅子っぽいらしい(笑)

承認者である鬣の民が伝統的に団長になるんですよ、依頼を受けたらそれを承認して傭兵を派遣するのです。


獣の牙というものはほぼ無階級の組織です、ヒラ・百人隊長・団長、以上です!(笑)

百人の敵を倒しうる、あるいは百人の味方を守りうるのが百人隊長です、ガーシュンやターニルは百人隊長ですね。

組織としてのまとまりはほとんどない、百人隊長が適当に傭兵を選んで連れて行くだけらしい。

罰則も無いし規律も無い、ついでに指令系統も無い、そんなんで大丈夫なのかとレイルズでなくても思うでしょう。


レイルズ「組織化すれば、獣の牙は十倍も二十倍も強力な軍団となるはずだ

将来それを何度痛感する事になるやら・・・・・・・。

神獣の民はクリスタニアを守るという意思だけでまとまってます。

それはそれでいい事だし、士気は高いんですけどね(苦笑)


レイルズは今回オイシイ役回りでしたよ、いいとこ取りです。

グレイルにズンバラリンされてから多少の恐怖は克服したとはいえ、命の尊さを実感するようになってしまいました。

レイルズ「もう誰も傷つけたくない」ってお前はアンドロメダ瞬か?(笑)

人としてはそれで十分なんですが、戦場で相手を気遣うようじゃ戦士としては致命的です。


それでもレイルズは戦います、自分が逃げたら他の誰かが身代わりになるだけだと言われ、それに気づいたから。

それをレイルズは砦の友人から学びました、枝角の部族のディルからね。

ディルは同郷のフレドがレイルズを守ろうとしてゴブリンロードに返り討ちにあったのがきっかけでそう言ったのです。

別にレイルズを諭そうとしたわけでなく、半ばヤケッパチになって言ったのが偶然レイルズの心に響いただけなんですが。


枝角の部族は"枝角の大鹿"ラフォンテールに仕えています。

守護対象は森・泉で、"永遠の逃亡者"とも言われていて逃亡によって可能性を見出す事も教えています。

美しい女神であったラフォンテールは多くの男神達から求婚されましたが、それを全て断りました

竜王から逃げる時も余裕があったようだし、なかなかに強かな女神様だと思う(笑)

確かに逃亡も一つの手段ですよね、頃合を見誤れば後悔しか残らないという欠点もありますが。


ちなみにその戦いはロードがいるゴブリンの一団でその数約50匹

対する傭兵達はガーシュンやターニルがいるものの、魔法使いはいなくて10人ほど。

かなり不利な気もしますがどうやら勝てたらしい、犠牲は3人。

まぁこっちにはビーストマスターもいたんですけどね、ゴブの方にもシャーマンはいなかったようだし。

「死は永遠の逃亡、最期の自由」なんてファラリスっぽいですね、もしかして従属神だったのかな?


今回一番凄かったのが賭け試合ですよ。

獣の牙には付き物の訓練を兼ねた試合で基本は寸止め、篝火に囲まれた空間で存分にシバキ合うのです。

勝ち抜き形式なのが特徴で、強い傭兵にはわんさかとチャレンジャーが集まってきます。

砦内での知名度評価はここで培われる事が多いと思う。

ちなみに賭け試合は武器の扱いだけで勝負するのでタレントは使用禁止です。


その賭け試合でレイルズはなんと5人抜きを果たします。

しかもミュルミドンのギリアムやガーシュンといった強豪も含んでいます。

そのギリアムだってナンスを倒して8人抜きしてたんですよ、そりゃあ会場も湧き立ちますよ。


ギリアムを倒した後に引こうとするレイルズは皆で会場に引き戻します、もっと戦えよってことですね(笑)

間髪いれずに俺に挑戦させろとばかりに挑戦者が出てくるし、こういう所が好きです。

それにしてもガーシュンを倒すなんてレイルズ強、ガーシュンは9レベルはある筈なのにね。

あとギリアムというとデュダさんを思い出しますよね、節穴・EYEの衛視です。


まぁタレントを駆使して戦ったらレイルズでもまだ勝てないでしょうけどね。

試合開始にいきなり"タスクフォース"を撃ち込んだりと色々あります。

これは4レベルで口からの衝撃波で2D10+レベルのダメージを与えます。

これは"ライトニング"と同じダメージですからそれなりに痛いと思っていいです。


ターニルに連勝記録を止められちゃいましたけどね。

本気で殺しそうな勢いのターニルにまたも腰が抜けちゃうのがレイルズらしかったです。

そのまま終わってたら普通にカッコよかったんですけどね、微妙なへたれっぷりを忘れないのがいい。

ちなみにこれをきっかけにレイルズは百人隊長になります、クリスタニアにドップリ浸かっていきますね。


第三章 予兆

レイルズが百人隊長になって早一月、ダナーンを旅立って四月ですかね。

今現在、この砦にはレイルズを入れて11人の百人隊長がいます。

今回は食糧難に喘ぐ獣の牙のためにレイルズが救済策を立案した辺りが面白かったですね。

ベルディアは砦周辺の集落を襲うことでちょっとした兵糧攻めを仕掛けてきています。


獣の牙というのは傭兵団、当然ながら武力を資本に運営しています

この時代の獣の牙はベルディアと戦うことで各集落や部族から食料を納めてもらっています。

寄付してもらう事も時にあるでしょうし、ベルディアとは別件で冒険者のように働き報酬として食料を得る事もありますけどね。

もう少し時代を下るとその冒険者的何でも屋の面が強くなってきます。


その獣の牙と周囲の集落を切り離してしまうのは結構有効だったりするんですよね。

獣の牙は戦士こそ優秀ですが、補給や装備に関しては本当に無頓着です。

補給は回りの集落に頼りっきり、武器や鎧にしても自前ばかりで砦には予備の品が無い。

よくこんなんで今まで持ってたもんです、本格的にベルディアが攻めてきたらどうしようもなくなる。


実はレイルズは用兵術を学んでいたりします、それが本当に助けになるんですよ。

戦乱に彩られたロードスから持ち込まれたものだけに、なかなか充実した書物が多いようですね。

邪神戦争の時のフレイムの補給手段なんかも残ってるようですね。

こんな所でカシュー陛下の話が出てくると嬉しいもんです。


そうしてレイルズは自分の考えた案を団長オルゲンスに提案するわけです。

オルゲンスはあっさり承認してくれました、それはもう物凄いあっさりとね、まるでリュースみたい(笑)

オルゲンスも実はガーシュン同様レードンとも顔見知りなので、新しき民にも理解があったりします。

レイルズにほぼ全権を委ねたかのような態度は何故か父性を感じて好きですね、お前の好きなようにしてみろって感じで。


食料に関しては、砦周辺の集落のパトロール敵からの奪取など、実行できそうなものもあります。

パトロールしてなかったんですね、神出鬼没の妖魔に対抗し集落から信頼して貰うために普通にしてると思ったのに。

まぁそこが神獣の民の気質なんですけどね、そういう大雑把な所は私は嫌いではないんですが、こういう時は困りますね。


三つ目の案のダナーンに行って買ってくるというのはどんなもんでしょうかね?

確かにお金さえあればある程度は買いたい放題ですが、ダナーンの通貨なんてあるわけ無いから代わりの物が要りますね。

つまりは食料やダナーンの通貨と交換可能な貴金属なり毛皮なりのをどうするかです。

ちなみに最近は神獣の民の間でも銀や金や宝石で物を売買する習慣が出来てきたようなので、それでもいいかもしれません。

案外割のいい儲け話かもしれませんけどね、ここでは珍しくなくてもダナーンでは希少なものだってあるでしょうし。

こういう時その真価を発揮する双面の民が裏切ってるんですよね(苦笑)


バッソーとかこういう話は得意そうですね、ダナーンのことなら表も裏も知ってそうだし。

そうそう、そのバッソーが食料を博打でゲットするという荒業も披露していました。

きっとイカサマとかしてたんでしょうね、でもバレなきゃイカサマにはならないんですよ。

ビーンも一緒だったようだし、このままシャーマンからスカウトに転職したらどうしよう(そこまでいきません―笑)。


あと2人ほど注目すべき人がいます。

一人はベルディアの暗黒騎士団のディラント、彼は将来暗黒の民の王として獣の牙の盟友となります。

この場ではあまり目立ちませんが、リュース達とはなかなか深い縁となります。


もう一人はダナーンの近衛騎士ノルヴァです。

最初の方でも出てきましたね、バッソーとシャイロンを探してハークまで来た人です。

彼はラッセルからの命令でクリスタニア送りとなりました、流石はMr.貧乏くじ(笑)

名目では逃げたバッソー&シャイロンの捕縛ですが、実はレイルズが心配なんだと思いたい、本人は否定してたけど。


少しずつ状況が動いてきています、ベルディアはもうすぐ攻める気です。

獣の牙を抜き、一気にシレーネ(銀狼の部族最大の集落)を落すつもりです

そうなれば最早組織的抵抗は不可能、各地の集落を各個撃破するだけです。


レイルズは神獣の民が勝利するために心をひとつにする英雄が現れる事を指摘していました。

つまり、六英雄やカシュー陛下にパーンといった旗頭ですね。

レードンならイケそうですが、今は真紅の皇帝として忙しいのでちょっと無理。

レイルズは今はどうかな、獣の牙ならともかく各部族を束ねるとなるとやはり難しいんじゃないかな。


いっそ銀狼の部族はベルディアを森奥深くまで誘い込みつつ、シレーネを捨て散開し包囲網を敷くとかすればいいのに。

シレーネに少数だけ残し、獣の牙の傭兵と大多数の銀狼の戦士が八方から挟撃した方がいいんじゃないだろうか。

どうせ数の差は圧倒的なんだし、正面からぶつかるよりは効果的だと思う。


そうして最後の対決の際はフェネスの9レベルタレント"ムーンシャイン"を使えばいい。

これは銀狼の民を片っ端から獣人に変える光を放つという、ファリスでいう"ジハド"的なタレントです。

流石は兄弟神、発想は似てますね。一般人まで兵に仕立て上げるというのはなかなか強力ですよ、軽く1万超えるし

ちなみに9レベルなら45ラウンドの間光り続け、獣人化は9時間持続します。

タレント使用中のビーストマスターを乗せた台車を銀狼の部族の会する場で爆走させればほとんど変身出来そう。


でもやっぱり駄目かな、ベルディアだって馬鹿じゃないしそう簡単に包囲されてくれないでしょうね。

森の中で地の利はあるから、どこまでベルディアがこっちの行動に気づかないかですね。

何より誇り高き銀狼の民がシレーネを捨てるなんて有り得ないし

まぁ"ムーンシャイン"の使い方さえ小賢しくすればかなりの数を用意できるんですけどね。

一般人とはいえ、それなりに体力はあるだろうし雑魚では無いはず。あと大蛇の民とかにも増援を頼むとか。


しかし、それは人と人との戦いならばの話です。もしも神と人との戦いだったらそうはいきません。

この時点ではバルバスはシレーネに力を振るうつもりです。

しかし、レイルズ達のふんばりでその思惑が大きく変わってしまうのです。


第四章 周期の神獣王

マリスは砦の食糧危機を何とかするためにシレーネに援助を頼みに行きます。

結果として当面の食料は得たんですが、長達は近々砦が落ちることをさも当然のように考えていました

戦士を援軍として送らず、あくまでもシレーネで戦うつもりなんですね。

その過程で砦が落ちようが痛手では無いと、初めからアテにして無いですね。


なんか見捨てられた感じですね。まぁ不本意ながら実際にそうなるんですけど。

ここでシレーネに集まるはずの戦士たちを砦に終結させ、ベルディアと戦うという選択肢はないんですかね。

マリスと同じく銀髪の者である長老がその方向で通すつもりならどうしようもないんですけどね。

未来の事を言うと、そうしたらバルバスの奇跡で銀狼の部族&獣の牙は全滅なんですけど、そんなことは考慮の外でしょう。


マリスがフェネスにお伺いを立てた時、フェネスは答えてはくれましたがその答えがまたマリスを悩ませます。

フェネス「汝の問いに答えるは汝自身なり、その答えが我にとっての答えとなろう

つまり、フェネスは自分は意見を出さず、民にこれからの進路を決めさせるつもりなんですね。

その為にフェネスはマリスを近々迫る会合へ出席させるために始まりの地へ招きました。

それがこのクりスタニアの全ての終わりであり始まりとなります。


さて、レイルズ達5人は影の民のイサリも入れて例のパトロールに繰り出しました。

今回はサイアやビーンも一緒ですよ、二人とも戦いには向かないんですが、じっとしてはいられないんですね。

で、実際にゴブ達と一戦交えるんですよ、もちろん勝ちましたけどね。


傭兵を二手に分けて挟撃したりと、他の百人隊長には見られないことをしますね。

自分は無理に攻めず、回りの仲間たちのフォローの為に戦場を縦横無尽に駆け回ってましたよ。

百人の味方を守るのも百人隊長の名に恥じない戦いです、頭がよくないとできないしね(苦笑)

相変わらず生死に立ち会うのには抵抗があるようですが、なんとかふんばってます。


それにしてもイサリが来てくれたのは心強い、密集地帯に"ファイアボール"を撃ち込んだりと効果的な魔法の使い方を心得てます。

サイアはやはり争いごとには向きませんね、自分が寝かせたゴブが殺されるのすら辛そうですし。

そんなサイアをさり気なく守ってるバッソーがカッコ良かった、本当に頼りになる。

物凄い必死でテンパってたけど、ビーンも"バインディング"とかで頑張ってましたよ。

ていうかやっぱり4レベルはあるんですね、5レベルあったら無謀と慢心の"バルキリージャベリン"を飛ばせますよ(笑)


重要なのはむしろその後、イサリの予言がレイルズに重くのしかかります。

恐らくはアルケナの4レベルタレント"フューチャーサイト"が発動したんですね。

何故使ったでなく発動したという風に表現したかと言うと、それがこのタレントの特殊性をも表しているのです。


このタレントはレベル×一ヶ月内の未来が見えます、そしてその未来は不確定で変わりやすく、同時に能動的にも受動的にも見えます

つまり、自分で見ようと思って見る事もできるし、夢や白昼夢のように勝手に見えてしまうこともある。

イサリは恐らく後者です、彼はその残酷な未来を見たくて見たのではなく、見てしまったんでしょう。


そしてその予言された未来とは砦が炎上し、自分が死ぬというものでした。

それは近い将来起こりうる未来の一つ、回避は可能かもしれないし不可能かもしれない。

イサリはそれをレイルズに教えたかったんですね、それは意地悪ではなくレイルズにある種の期待を寄せているからでしょう。


レイルズならどうするか、未来を変えてくれるかとね。

イサリが未来を見たのはこれが初めてではありません、これまでもずっと色々な未来を見てきたのです。

そしてその度に思ったでしょう、見えてしまった未来をどの程度口外するか、口外していいのか?といった具合に。

自分の行動がどう未来を変えるか、戦友を救えるか殺すか、時という名の混沌に触れた代償とも言える迷いです。


レイルズはそれを託されたようなものです、迫り来るベルディア軍を前にどう決断するか。

今レイルズは過去の勇者・英雄達同様に大きな決断を迫られているのです。

3・4巻に続く!→




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