「神王伝説クリスタニア(下)」著:白井英 原作:水野良 出版社:メディアファクトリー
★1
神王の胸にソウルクラッシュが突き立てられてから半年。
ルインズは相変わらず猛虎の民と共に暗黒の民の反乱分子と戦ってたりします。
元々神王につくことで地位を得ようとしたルインズですが、その神王が死んだことで微妙な立場に立ってます。
暗黒の民のくせに猛虎の民と一緒に暗黒騎士団と戦っているという、所謂裏切り者ですね。
はたから見たら選択失敗って感じ(苦笑)
暗黒の民を普通に斬っているルインズはもう暗黒の民のもとには帰れませんよ。
今回は事もあろうにマイリー神殿を落とすつもりです。
今回からグレイルが出ます、彼は「漂流伝説」においては"獣の牙の公爵"と名乗る猛虎の部族の族長です。
上巻に出てきたガルディに比べたらなんとも武人な男です。
鼻持ちなら無い男が多い猛虎の部族ですが、グレイルは「傭兵伝説」に出てきたイムェル並に好きな敵キャラです。
ガルディが完全にバカキャラだったからルインズが賢く見えたけど今回逆ですね。
グレイルの方が数段冷静、ルインズは変な優越感や劣等感を持っている分青い気がします。
もちろん、グレイルにだってそういうところはあるでしょうけどね。
それをどれだけ人に見せないかで違ってくるんです。
ルインズによれば猛虎の民と暗黒の民が戦うのは流れている血のせいだそうです。
自分たちと違う言葉、生活様式、文化が許せないから戦う、まぁ気持ちは分からないでもない。
異質なものへの嫌悪というのは多かれ少なかれあるし、私にはそういうものがないといえば嘘になる。
ネーションやエスニックグループの問題はどうしてもつきまとうものです。
暗黒の民と神獣の民の争う理由はまた違いますけどね。
暗黒の民の侵攻は彼らにとっての死活問題がかかっているからです。
狭いベルディアじゃあ大勢の妖魔を抱える暗黒の民は暮らしていけない、だから他の土地を求める、だから戦う。
ルインズの理由と違って切実、それでいて理屈は通っている。(感情論もあるだろうけど)
誰だって生きる権利はあります、もちろん神獣の民にもね、だからこそ両者は300年も戦い続けてきたんですよ。
そして今度は暗黒の民の生活・精神の要であるマイリー神殿を攻めるんです。
4階建ての立派なマイリー神殿、築300年。(推定)
ホップは航海の間に信者をゲットしたんでしょうかね、かなり多そうですけど。
その辺の事詳しく知りたいですね、クリスタニア上陸後の国作り。
グローダーとかホップとかマールとか、一体何したんだろう。
マールあたり好奇心に駆られてクリスタニアへ登って封印されてたりして(笑)
マイリー神殿には見張りは二人、グレイルは"リープ"で背後から接近し1人斬殺。
もう1人もすぐ殺られるんだろうなと思っていたら予想外の行動に出ました。
グレイルに背中を向け、斬られる事覚悟で鐘楼をならしました。
もちろん斬られたけど、賞賛に値します、おかげで不意打ちだけは避けられました。
攻め込むとなったら猛虎の民は"タイガーロア"や"パーシャルタイガー"を駆使して優勢に戦います。
マイリー側は伝家の宝刀、ビエン司祭の"バトルソング"で対抗します。
ルールブックによれば、"バトルソング"は攻撃技能に+20で精神的な呪文の効果も打ち消すそうです。
これって"タイガーロアー"が消えた上に+20ってことですかね、それだと形成は逆転します。
ルインズはピロテースの"ファイアストーム"を食らって炎上します、いい気味です。
これってただの"ファイアストーム"ですかね、それとも盟約によるものでしょうか。
それというのも、ピロは「我が盟友ディルレイン、破壊を司りし猛き炎の魔神よ・・・・・・・」って言ってるんです。
ディルレインというのはこのイフリートの名前です、ディードと盟約を結んだジンの名前がイルクだったのと同じ。
問題なのは、これが盟約によるイフリートの攻撃なのか?ということです。
もちろん、クリスタニアRPGには盟約も超英雄ポイントもありませんよ。
それでも盟約を持ち込む事は可能だと思うんです。(世界観的には当然だし、ゲーム的にも)
この詠唱がただの"ファイアストーム"を使う上で普通に唱えてるのか、盟約を発動させてるのかが気になるんです。
いずれにしろ、ピロの魔力でこんなものくらった重度の火傷は避けられない、ていうか死にそうです。
盟約だったら完全に炭にする事も可能だったんじゃないでしょうか。
ピロテース「アシュラム様の役に立てるよう内緒で盟約を・・・・・・」とかだったら可愛いんですけどね。
ルインズが死を覚悟した時、助けに入ったのは意外なことにグレイルでした。
本当に意外でした、こんなことするなんて。
グレイル「おまえは使える男だからな。死なせるのは惜しい」
これってルインズの言うとおり明らかにルインズを格下の人間として扱ってますよね。
ルインズとしてはその辺が気に食わない様子、でも感謝もしている。
思ったよりも素直な人なのかもしれない、ヘタレ感は漂いますけど(笑)
あれから半年、永遠を生きる(推定)ピロテースにとって決して長い時間とはいえません。
まして、愛するアシュラム様を失った悲しみを癒せるほどには。
ボークス達の誘いも断ってあくまでもベルディアに残ったんですね。
彼女としては隠者のようにひっそりと暮らす気なんでしょうね。
可哀そうに、話し相手になる人がいるからまだいいものを。
そんな友達も先に死んでしまう、新しくできた友達もまた先に・・・・・・。
永い時を生きるって人間の夢の1つですけど、過酷な事なのかもしれませんね。
そういえば、ディードはどうしてるんでしょうね今頃。
あれから300年、やはりパーンの思い出を胸に刻んで生きてるんでしょうか。
帰らずの森のハイエルフと人間の橋渡し的な存在になってるかもしれません。
あるいは、皆の子孫とも交友を続けたりね、エルフと人間の共存って長い目で見ると切ないものです。
★2
魔法で普通に全快したルインズは屋敷で養生していました。
普通の小説だったら暫くの間は寝たきりになるんですけどね、厄介な世界です(笑)
癒しを受けられる限り死ぬ事はほとんどない。
味方キャラの時はホッとしますけど、敵キャラの時は思わず舌打ち。
怪我は治ってもナチュラルハイな健康体になるわけじゃないから養生が必要。
さて、問題のシーンがきましたよ。
ルインズの頭に響くバルバスの声、そしてルインズはビーストマスターになりました。
タレントというのは神獣が授けるものなので、血筋とかは関係ありません。
神獣が望めば自分の部族以外の人間をビーストマスターにすることも可能なんですね、無論極々稀ですが。
バルバスはもういくらも力を振るえません、何故ならば器(アシュラム様)が激しく傷ついたから。
普通の剣による傷ならすぐに治せるでしょう、しかしソウルクラッシュはそんな甘いものではありません。
アシュラム様の身体が使えないから次はレードンをご所望です。
アシュラム様にレードン、バルバスって器を顔で選んでません?(笑)
★3
さて、ルインズの変容から数日後、今度はクソジジイことムーハです。
このジジイの灰色の脳細胞はマイリー神殿を落すために実にイヤな案を練っています。
例の混沌輪を利用するんです。
混沌輪は元々"夢幻の胡蝶"レスフェーンに仕える胡蝶の民の祭器でした。
守護対象は夢、幻、それ故レスフェーンは"幻の支配者"と呼ばれています。
胡蝶の民は夢を尊びます、フォーセリアにおける「夢」とはある意味では現実なんです。
それ故レスフェーンは現実がどうであれ、夢の中で幸せなら人は幸せなのだと説いています。
夢を見るということは、夢幻界(混沌界)へ多少なりとも関わるという事です。
そこは精神世界でも脳の中でもなく、神々が世界創造の折に手をつけられなかった物の吹き溜まりです。
この物質界を含む神々が創った世界は全て混沌界という大海に浮かぶ小島のようなものです。
決して脳の中だけの幻影ではない、しかるべき能力さえあれば夢は物質界の現実になるんです。
胡蝶の民のビーストマスターは夢幻界へ潜るタレントを授かってます。
年に3度、胡蝶の民は総出で夢幻界にいるレスフェーンへ会いに行くのですが、当然ながら普通の人はいけないんですよ。
それをどうにかするのが混沌輪、この祭器は夢幻界への道を開いてそこへ村人を誘うのです。
ムーハはこの混沌輪でもってアシュラム様の魂を夢幻界へ飛ばしてしまったんですね。
一応混沌輪なしでも夢幻界への扉は開きます。
それこそは9レベルタレント"ドリームゲイト"です。
多分これほど高位のタレントを使える人がいないときに使うんでしょうね。
あるいは単純にゲートを開くだけでは一般人は危険なので混沌輪の加護を得るとか。
もちろん、部族の大切な宝物ですから捜索者が派遣されました。
それがここで出てくるトゥルヤという男です。
彼は混沌輪を持つムーハを頼ってきたが混沌輪は既にピロテースの手の内。
しかもピロは警戒厳重なマイリー神殿にいるから手が出せないんですね。
そこでムーハは彼を利用しようとしているんです。
ルインズ達に神殿を滅ぼさせる代わりにピエン司祭を殺せというのです。
胡蝶の民のタレントを持ってすればそう難しい事でもないです。
うまくいけばお互いに現状を打開できるんですよね。
小説を読む限りでは胡蝶の民のタレントはいまいちハッキリしませんよね。
クリスタニアRPGのルールブックにはちゃんと載ってるんで、面白いものをいくつか挙げてみますか?
ストーリーの都合上ここでは取り上げられない物もありますけどね。
まずは水だけで1日分の活動ができる"ウォーターイート"、相手の夢の中を覗く"ドリームサイト"、
夢の中に入る"ドリームダイビング"、夢の世界に入る事により肉体を幻にする"イリュージョンフォーム"(無敵状態)、
サナギの中に入る事により姿形を変える"クリサリスチェンジ"、
最後に行動不能になる燐粉を撒き散らす"パピヨンスクウェイマ"。
こんなもんかな、まだありますけど他の神獣にも見られるものですよ。
なんとも夢見がちなタレントですね、胡蝶の民の前ではプライベートは無いのか?
なんかストーキング向きなタレントばかりですね、蝶最高って感じ。
★4・5・6
所変わってここは獣の牙ロマ砦、最後の砦ですよ
レードンたちはここに世話になってます。
今回レードンたちはとある仕事を引き受けるんですが、それが散々でした。
依頼主は双面の民、内容は猛虎の民から村を守る事。
依頼内容だけ見ると断る理由がありませんが、問題は依頼主ですよ。
双面の民ですよ、アデルの砦が落ちたのはこの連中が裏切ったからです。(最初にボークスが居た所)
結論からいいますと騙されてます、ええ騙されてますとも。(開き直り)
ナーセルの言う所では4人なら罠であってもどうにかなる、だそうです。
罠にハマって踏み潰す、ミンクス理論ここに極まれり!
それはいんですよ、それはね、問題なのは本当に罠を噛み破れるのか?です。
まあこれも結果的に言いますと、命は助かります。
でも、けっこう危なかったですよ、原因としては詰めの甘さですね。
村に行ってからナーセルは"虚言感知"を使うのですが。
本来クリスタニアRPGには"センス・ライ"はないんですよね。
該当する物といえば"リード・マインド"ですかね。
でもこれは相手の心を読むので"センス・ライ"とは違いますよね。
クリスタニアでは概念の違いからか、SWと同じ魔法を別の名前で呼んでいることがあります。
もちろん多少効果が違いますけど許容範囲です、でもこれは明らかに違います。
「嘘を感知する」のと「心を読む」のは全然違います。
前者は嘘をついているということが分かるだけ、でも後者は思考までも読まれてしまうんです。
もしルールブック通りの効果だったらナーセルは双面の民の真意に気づいたはずです。(しかも有効距離100メートル!)
双面の民は確かに獣の牙に猛虎の民を倒して欲しいと思っていました。
その辺を聞いたからナーセルはうっかり騙されたわけです。
しかし現実には猛虎の民に従わなければならないので嫌々レードン達を罠にハメたんです。
仮にSWの"センス・ライ"を使ったとしましょう、その場合嘘をつこうとしなければ反応しません。
ナーセルの質問の仕方では「獣の牙を頼りたい」「猛虎の民を殺して欲しい」「将軍はきていない」、
そういうことは嘘ではないと見抜けるだけです、でも嘘が無い=裏がない、ではないんですよ。
「罠にハメようとしているか?」に準ずることまで聞かなければ相手が罠をかけているかは分かりません。
でも、"リード・マインド"は違うようです。
嘘とか真意とかは関係無しに対象の考えている事を読み取ってしまいます。
猛虎の民に怯えるような村人が猛虎の民の事を一切考えないなんてありえないでしょう?
まるでシャーマンキングのハオみたい、胡蝶の民以上にプライベートがない(苦笑)
どうやら"センス・ライ"と見たほうが良さそうです。
魔術や魔力の強さなんか二の次です、魔術師たるもの魔法の使い方こそが重要なんです。
それ次第では仲間を救う事も危機に陥れる事もできます。
この辺まだまだナーセルが経験不足な証拠ですね、スイフリーとかだったら絶対無いですよ(笑)
レードンは一応立派なことを言ってくれます。
いつまでも村人を守る事はできないという意見に対し、
「確かにオレたちの力には限りがある、だけどそれは目の前で苦しんでいる人を見捨てる理由にはならない」とね。
救えるだけでも救おうと、そういうことですかね。
間違ってないと思いますよ、どうせ無駄だからと見捨てるようでは人格を疑います。
昔こんなことを聞きました、「人間なんてものは一生かけてようやく人一人救えるかどうかという存在なんだ」とね。
村人の一生の生活を保障するなんてのは慢心ですよ。
その場その場で出来る事、やらなければいけない事をこなしていけばそれでいいんですよ。
全てを救おうなんてのはお釈迦様でも難しい事です。
「自分の進むべき道は、自分の心に聞いてみればいい」
それでいいんですよ、ボークスが思わず承認してしまったのも分かります。
さて、美談に酔うのもいいのですが、現実はそれだけではこなせません。
猛虎の民と村人の罠にハマったレードン達はけっこう危ない事になってます。
ナーセルは肩がパックリ、骨まで見えています。
フォーセリアの常識に漏れることなく魔術師は複雑な身振りが出来なければ魔法は使えません。
片腕がこんな状態では魔法なんて使えませんね、精霊魔法や神聖魔法なら無問題なんですけどね。
レードンも"スリープクラウド"でお寝んねしたところに剣を突き立てられて痛そう。
相手はレベルこそ低くても30人、三十六計逃ぐるにしかず!ここは逃げないと殺られますね。
ジェノバは負傷したレードンとナーセルを連れて遁走、ボークスは"ライオンフォーム"で大暴れしてやっぱり遁走。
どうやら"ビーストフォーム"を使える様な強者はいなかったようですね、不幸中の幸い。
半日後、レードンたちよりも早く砦に帰ってきたボークスが見たのは地獄絵図でした。
バルバスが力を振るって砦を滅ぼしたんですよ、前に書いた通りバルバスは死んじゃいません。
マティスは生きているんですけど、彼女のロフェルは亡くなったらしい。
辛うじて形を止めている黒焦げの遺体を前に、精気の無い姿が痛ましい。
そうそう、「漂流伝説クリスタニア」に出てくるガーシュンも出てきましたね。
10年後、ダナーンから登ってきたレイルズたちの面倒を見てくれるイイヤツです、この時はまだまだ若かったですけど。
★1
見事に騙されて落ち武者のように逃げるレードンたち。
ケガしているレードン坊ちゃんとナーセルは辛そう。
でもジェノバは痛みに耐えて2人が頑張ってるから歩こうとする。
そして残り2人もお互いが頑張ってるから休もうなんていえずに歩く、なんか間抜けです(笑)
ナーセル「レードンが言い出してくれなければ、私は倒れるまで歩かされていたわけか」
まさに「ナーセル死の直行進軍」ですね、こういう所がまだ子供らしくて可愛いですね。
ボークスとピロが夫婦でこの3人が子供に見えたのは果たして、私の妄想の産物です(笑)
しかし、そんな3人の前にはリオ率いる大蛇の民が現れます、最悪のタイミングですね。
しかも5人ですよ、TRPGのシナリオだったらデスシナリオになる可能性がありますね。
ジェノバはタレントが使えない、ナーセルも魔法が使えない、レードンは怪我してる、癒し手もいない。
むしろコレで全滅しなかったのが不思議です。
リオが生きてたのは多分ルーミスの4レベルタレント"シェル"でしょうかね。
結界を敷いてであらゆる攻撃を退けられるというタレントです。
魔法もそうですし、光や音すらも通さないというのだから凄い。
まさに難攻不落の絶対障壁、無敵状態です。
これならあの時の強烈な閃光や爆音からも身体を守れますね。
でもあの劫火を完全に防ぐ事はできませんでした、神の力はそこまで絶大なんですね。
リオの右半身は焼けただれ、右腕も酷いことになってます。
「火は〜火は嫌じゃぁぁぁぁ!」とかいう感じでトラウマになってるかもしれません。
でも、それだけで済んだんだからやっぱり結界は凄い。
リオとしてはレードン達を見逃す気はさらさらなく、討ち取りに来ます。
結果だけ見れば返り討ちですけどね、ナーセル根性の"ファイアボール"で大蛇の民悶絶。
リオも"サーペントフォーム"を使って勇敢に戦うも、壮絶に敗れ去ります。
"ポイズンブレス"と締め付けでジェノバがうっかり逝きそうになった時はどうなるかと。
"ビーストフォーム"で変身できる眷属はいずれも7レベルですし。
ここにきて再び考えさせられますね、クリスタニアの秩序ですよ。
リオの登場はある意味では、ジェノバたちと読者に対する問題提起じゃないですかね。
「周期」と「結界」それらを統合した「クリスタニアの秩序」のね。
リオは全てに優先して「クリスタニアの秩序」を守る事にこだわります。
クリスタニアの秩序とは、周期に従って定められた歴史、完全なる世界を維持する事。
そして完全なる世界を維持する為に結界を敷き混沌を排除する。
ここでいう「混沌」とは何も混沌界に属するものだけではありません、定義としては「クリスタニアの外部」です。
例え敬虔なファリス信者であっても、ここでは混沌扱いですよ。
本来秩序の監視者である孤高の民のジェノバもそうです。
クリスタニアの秩序が乱されないか目を光らせるのが彼女たちの仕事です。
大蛇の民とは本来手と手を取り合って協力する関係にあるはずですよね。
ジェノバだって、そんな事は重々承知してますよ。
でも、レードンとナーセルのことはやっぱり大切なんです。
外部から来た存在、混沌扱いされても友達ですから。
だからジェノバは凄い悩んでます。
フォルティノの従者としてそれでいいのか、レードンたちの仲間としてそれでいいのか?
一方、リオはどうなんでしょうね?
リオは今際の際に次の周期では必ずレードンたちを排除する事を言い残します。
そこだけ見ると何の疑問も抱いていないようですが、果たしてそうでしょうか。
アニメの影響か、本心ではレードンたちを認めたいと思ってる可愛いところもあるように思えてなりません。
映画版のリオはレードンの為に壮絶な戦死を遂げます、惚れていたのかな?
いずれにしろ、世界の完全性を保つ為に人が命を捧げるなんて一概には納得できないんですよね。
そりゃあ自分で選んだ道なら人がとやかく言うことはできませんけどね。
神獣の民って他の生き方をしたいと思った事ってないんですかね?
そういう人たちは周期の支配を受けない河に住む「河人」になったりします。
決められた運命、決められた生き方、決められた死に方、そしてそれが延々と繰り返される。
魂の牢獄とでもいいましょうかね、レールに沿って生きるだけで満足なのか。
でも、実際の所当事者たちはあまり気にしないものです、それが普通だからです。
それ以外の世界を知らないのだから、疑問に思わない人だっているでしょう。
生まれつきの生き方を気に入っている人だっているでしょう。
神獣の作った箱庭の中にいることだって、それが本人の幸せへ繋がる事だってあるでしょう。
意識しなければ普通の人生と変わらないのかもしれませんね。
こればっかりは実際神獣の民になってみないとなんとも。
でもその人生が決められたものなんだなと意識した時は寂しい物があるでしょう。
嬉しい事、悲しい事、好きな人、大切な人、それすらもお膳立てされた物だと考えてしまったら。
そういう意味で生きている甲斐が無いんですよ、自分で得たものではなく全ては最初から決まっていたなんて。
これはクリスタニアが未熟な私に授けてくれた永遠のテーマです。
生き続ける限り考えて生きたいですね、でもレードンの言う事には賛同します。
命がけで守るべき物はある、でもそれは自分で見つけるものであって押し付けられる物ではない。
リオはもしかして自分で選んだんじゃないですかね。
改めて考えてみて、やっぱり自分の生き方はこれだと決めたんじゃないですかね。
それだって環境のせいもあるかもしれませんけど、自分で決めたことに変わりは無いから
その辺は「英雄伝説クリスタニア」で、真紅の民について考えたいですね。
★2
レードンたちはどうにかこうにか砦へ辿り着いたようです。
傷はタレントで治して貰って一安心。
さて、ベルディアへの三つの道を見張っていた三つの砦は全て陥落しました。
これは獣の牙の組織性が失われた事を意味します。
傭兵も数多く死に、もはやベルディア軍を跳ね返す力は無いでしょう。
多くの傭兵達は故郷へ帰って神獣へのお伺いをたて、一部の傭兵達は残って戦うつもりです。
銀狼の民のマティスも残るつもりです。
マティスって、イイヤツですけど周期を心底望んでいるようです。
次の周期でまた兄弟たちに会えるようにね。
かといって、レードンたちを混沌だとかで殺そうとはしないんですよね。
彼は、そう遠くない将来戦死します。
その後、彼は生まれ変わる事が出来たんでしょうかね?
生まれ変わるとはいってもどういう規則性があって生まれ変わるのかよく分かりません。
周期が失われた事で死んだ状態にある魂はどう扱われたんでしょうかね?
周期が失われなければまた生を受ける予定の魂ですよ。
もう1度だけ人生を与えられたか、再び生を受けることなく成仏したか。
その辺は魂の運び手"純白の大白鳥"フーズィーに任されそうです。
これは周期の失われる「漂流伝説クリスタニア」で書きたいです。
色々あったけど、従来の獣の牙は消滅しました。
でも一人一人が戦う牙を持ち続ける限りは獣の牙は滅びる事はありません。
未来では、獣の牙はベルディア軍と戦うためではなくて民を守る戦士団のようになって運営されていきます。
周期が失われようと、結界が消えようと、民の力は消えないんです。
そんな未来を知ったらマティスはどう思うでしょうね?
さて、ボークスたちはというとバルバスをどうにかする為に再びベルディアを目指します。
とりあえずはマイリー神殿のピロテースを頼ろうかという事で。
でも三つの道はベルディア軍が占拠してるんですよね。
どうやって通るのかナーセルの知恵の見せ所かなと思ったらとんでもない手を思いつきます。
重力に身を任せて落下、地面に近づいた所で"フライト"という荒業です。
ただパラシュート代わりにするなら"フォーリング・コントロール"の方が良いと思いますよ。
でも実際の所スッゴイ速くなってません?
自由落下の場合は重力加速度に落下距離と2をかけたものが落下速度の二乗になります。
クリスタニアが地上何メートルの高さにあるのかよく分かりませんが100や200じゃないでしょう。
ビルじゃなくて、山で考えたい高さでしょうね。
そんなに速いんだったら落下する前からかけた方が良さそうですけどね。
SWだったらいつどの程度でブレーキをかけるかは任意でしたけど、
クリスタニアではどうなんでしょうね、多分大丈夫でしょうけど。
レッツ・コードレス・バンジー、観光になりませんかね?(なるか!)
帰りはやっぱり"フライト"ですかね?
速度は人間の3倍ですけど、SW的に時速50キロと考えましょう。
接続時間は1時間なら何往復も出来ますね、人を抱えていなければ。
では、ジェノバの"イーグルウィング"はどうだろうか?
コレは接続時間はレベルの5倍ラウンドで速度は人間の4倍です。
"フライト"と比べると時速67キロぐらいですかね。
ジェノバが4レベルだとしたら20ラウンド、200秒です。
その上1人ぐらい抱えられるそうだから、いけそうです。
ナーセルとジェノバが1人ずつ抱えれば楽勝かも、帰りにはピロテースもいますけど。
ジェノバとナーセルが2人がかりで3人を引き上げればいけるんじゃないですかね?
鬼太郎のカラスをゴージャスにした感じです、それがダメでもナーセルなら2往復ぐらい楽勝でしょう。
結論:思いのほか簡単に帰ってこれる。(事件が無ければ)
★3
崖から決死のダイブをするために強引に森を抜けようとしたのが裏目に出ました。
ボークス一行、予想に反して数時間歩いた挙句ようやく迷った事に気づいた。(マサルさん風)
この森は特殊で植生がバラバラ、一体どんな気候だったらこんな森が出来るのか分からないほどです。
ようやく開けた所に出てみればそこは不思議な火を吹く樹木の広場でした。
間欠泉のように地面から火を噴出して相手を肥料にする火炎樹という生き物のようですね。
実に興味深い、もしかして混沌界に触れた植物でしょうか。
封印の民だったら間違いなく"パージ"しそうな樹です。
ボークスたちの危機を救ったのは胡蝶の民のキサラちゃんでした。
彼女も以前出てきたトゥルヤと同じ胡蝶の民です。
混沌輪や夢幻界についてかれらほど詳しく教えてくれる人はいないでしょう。そういう意味では不幸中の幸い。
よかったねレードン、眉毛が片方なくなった価値はありますよ。(笑)
キサラちゃんは夢から生まれた女の子なんです。
いえいえ、それだけ書くとメルヘンですが神秘的な話なんですよ。(苦笑)
上の方でも胡蝶の民のタレントに触れましたが、これはその時挙げなかったタレントの1つです。
そのタレントとは"リアライズ"、8レベルの高等タレントです。
夢の中に入り込み、夢の中の事を現実に反映します。
夢の中で傷ついたら肉体も傷つくし、死んでしまったら本当に死にます。
そして、キサラの両親は夢の中でナニをして子供を授かったのです。
そんな馬鹿なって感じですが本当です。
竜も夢を物質界の現実にする事ができますが、似たような原理かもしれませんね。
具体的にどうやってるのかと言われたらどうにも説明できませんけどね。
夢幻界(混沌界)と物質界を密にしていたり、夢幻界の混沌を引き出して現実世界にまで持ってきた。
とにかく出来るんだからしょうがない。
そのせいかどうは知りませんが、キサラちゃんは感情が希薄です。
混沌輪奪還の為、キサラは仲間になります。
★4
ドートン、ピロテースはアシュラム様に混沌輪をせびられるという不快極まりない夢を見ています。
もちろん、ムーハに屈したトゥルヤの仕業です。
"パピヨンフォーム"で眷属のナイトパピヨンに化け、3レベルの"ドリームダイビング"で夢を引っ掻き回したんです。
具体的には相手の精神に1D10のダメージを与えます。
ちなみにナイトパピヨンは全長30センチ、こんな馬鹿でかい蝶なんて怪しいですよ。
むしろ蛾ですね、そのままポケモンよろしく進化しそうです。
ピロテースは誰かの仕業だと感づいたらしく、死を持って償わせる事を決意します。
すぐにそれは叶います、同じくナイトパピヨンに化けてピエン司祭を全裸で襲撃したからです。
とっさに"ファイアボルト"を打ち込んだらタイミング悪く相手はまた変身していました。
そして蝶は粉々になるんですね、そしてバラバラに四散しながら人間の姿に戻ります。
これは怖い、一瞬で部屋は血の海、下手なスプラッタ映画よりも怖い。
コレが本当の"ベルリンの赤い雨"!
同時に今神殿は猛虎の民の襲撃を受けて大変な事になってるんです。
かなり押されてますね、このままでは陥落も時間の問題。
ところで、気になることがありました。
"インパルネラビリティ"(通常武器無効)に"ホーリーウェポン"が通じると書いてあったんです。
そんな馬鹿なとデータブックを見てみたら本当に効果あるんですね。(SWでは効果ないから)
アンデット相手に圧倒的な効果がありますが、アンデットでなくてもそこそこの効果はあるんですよ。
アンデットなら攻撃技能+30で追加ダメージ+3、アンデット以外は攻撃技能+10で追加ダメージ+1となります。
ピロは戦わずにボークスたちの助けもあって混沌輪を持って逃亡します。
キサラもいますけど、変身をといたから全裸です、胡蝶の民ストリーキング説浮上(笑)
他の部族も眷属になったら全裸になるもんですけど、彼らの場合やたら目立つ!
蝶→人間ですよ、ハニーフラーッシュ!って感じです。
★5
どうにかこうにか合流して6人パーティー。
ピロと再会したボークスはライオンの姿のまま表情が悟られないかドキドキしてます、可愛いですね(苦笑)
さて、よくよく考えてみると混沌輪の盗難、マイリー神殿陥落、トゥルヤの凶行、アシュラム様の放逐、等々、
一連の事件の発端となったのは誰か、そうクソジジイことムーハです。
キサラはいたって冷静に"パピヨンスクウェイマ"でムーハをパーにして、引導を渡しました。
キサラちゃんって本当に感情が希薄ですね、ピロがトゥルヤを殺した事を知ってもいたって冷静に納得しますし。
ムーハを殺すのにも躊躇いが見当たりません、ダーティーな綾波です。
★1
ピロテースとキサラを加え、総勢6人になったパーティーは断崖のすぐ下まで来ていました。
もちろんクリスタニアへ至る亀裂の前には猛虎の民が詰めています、よりにもよってこんな時にね。
"テレポート"の存在を知ってややビビルボークスを尻目に、
ジェノバ「その呪文を使えば、ダナーンに帰れるんじゃないの?」
言っちゃったよ、でも確かにそうでしょうね。
でもナーセルの言うとおり、出る事は出来ても戻ってくる事は出来ません。
ナーセルとしては、残してきた家族はもちろん気になるんです。
でも、このクリスタニアへの探究心もやはり大きい。
家族を案じながらもこっちを優先させる自分を不意に悩む時があるんですよね。
時には家族の存在が煩わしい時もあって、それがまた彼を悩ませる。
上の方でも書いたとおり、ナーセルとジェノバが頑張れば皆を上まで運ぶのも可能です。
キサラは微妙ですけどね、人どころか自分すら辿り着けるか怪しいです。
"パピヨンウイング"は人間並みの速度でレベル×5ラウンド飛べます。
キサラが最低5レベルで、移動速度は大雑把に1ラウンド16〜7メートル進めるとします。
人間×3の"フライト"はSW的に移動速度は50でして、3で割って16.7といういい加減な物です。
ただし、全力移動をすればこの3倍1ラウンドに48〜51は進めるとします。
"フライト"もこう考慮されているようですしね。
移動速度50が時速50キロになるには全力移動していると考えないと合わないんですよ。
移動速度50とは1ラウンド(10秒)あたりに50メートル進める事を意味します。
時速でいえば360倍した18キロメートルになります。
これを3倍すれば54、ややズレますけどこうでもしないと計算が合いません。
ということで1ラウンド50ほど飛べるとしましょう。
それで25ラウンド飛ぶとしたら1.25キロ、神の城壁の高さが本当に微妙なのでなんともいえません。
駄目なら落ちる瞬間もう一度かけるなりすればいいんですけどね。
しかし、ルインズの出現でその計算は不要となります。
レードンと決闘をして勝てるようなら通してやるというものです。
分かりやすいね、実に分かりやすい。
しかもこの男、タレントを使って目を光らせてるからちょっと怖い。
まるでマサルさんです、「レードン発見!キュピ〜ン!!」。
もちろん、ルインズが勝てばレードンはお持ち帰りされます。
あとレードンを差し出すとか、集団戦闘に突入するとかいう選択肢もあります。
しかし、我らがヒーローは決闘を選びます。
とはいっても、実に際どい勝負ですけどね。
どうやらレードンとルインズは体格や技量は互角のようです。
ルインズにはタレントもあるからやや不利そうです。
いや、そもそもレードンをお持ち帰りするだけならわざわざ決闘なんて申し出る必要はありません
では何故かというと、それはレードンが選ばれて自分が選ばれなかった理由を見出す為です。
自分という存在の価値に関して凄い敏感な男なんですよ、ルインズって。
試合内容を見る限り、レードンは決して優勢とはいえませんでしたね。
かなり長い間打ち合って身体は憔悴しきり、剣閃も鈍ってくる。
それでも2人の間には明確な違いがありました。
1つは立場です、ルインズと違ってレードンには勝つしか生き延びる道はありません。
逃げ道の用意されたルインズと追い詰められたレードンでは自ずと裂帛の気合に差が生じます。
もう1つは生き様です、ルインズは自分の限界を設けてしまっていました。
自分よりも強いバルバスに屈する事で安定を図った時点で彼の成長は止まっていました。
それに比べてレードンは、まだまだ発展途上です。
人は迷う事を止めた時に成長を止めます。
自分を知ることは大切な事ですが、自分を型に収めてしまう事こそが限界の線引き。
若いときは大いに迷います、移ろいます。
しかし年を経て自分を省みてそんな自分の在り方に満足している自分に気づく。
子供の時には意識すらしていなかった天井の染み、それをしげしげと眺めるようになるのに似ています。
そういう感情は混沌であり、混沌とは破壊と創造のマテリアルです。
クリスタニアが教えてくれた事、それは混沌の必要性と危険性です。
混沌がなければ変化はしない、しかし変化が無ければ進化も退化もしない。
退化の可能性を恐れるあまりに進歩の可能性すらも投げ出してしまう事こそが「限界」ではないのか?
人間が意識する「限界」とは、大抵そういうもののように思えます。
それこそが、ルインズの今際の際の思考でした。
ルインズの言葉を借りれば、今少し無能か今少し有能なら負けていなかったとなります。
うまいこといいますね、弱かったら今の自分に満足せずに精進していただろうし、強かったら負けはしなかった。
中途半端な強さは身を滅ぼすとでも言いたげです。
やけにアッサリと中ボス撃破。
残りの兵を率いていたグレイルも約束通り通してくれます。
こうして一行は胡蝶の民の聖地『夢幻の洞窟』へと向かいました。
★2
『夢幻の洞窟』は物質界と混沌界の境界線が曖昧なせいか、儀式の執行にはもってこいの環境にあります。
境界線の揺らぎ(liminality)・・・・・.hackって感じ(笑)
全ての物には正と属、陰と陽、表と裏があって必ずそれらの境界線があります。
とはいっても、正であるか属であるかなんて主観次第ですから曖昧なものです。
物質界にいながら混沌界に侵されるということは、境界線の揺らぎに他なりません。
前に出てきた火炎樹も物質界と混沌界の境界線の揺らぎによって生まれたものです。
ケイオスランドの"混沌"も恐らくはそういった境界線の揺らぎが根本なんでしょう。
それにしても、こんなものがクリスタニアにあるんですね。
頭の悪い封印の民だったら思わず封印してしまいそう。
神獣の民でありながら混沌界に触れるとは何事だ―!とか言って(笑)
そう考えると、胡蝶の民って部族総出で混沌界に触れてるんですよね。
混沌輪の力を借りて一行を夢幻界へ送るわけですが、その為には1つ試練があります。
それは自分の中の混沌に触れることです。
自分で認めたくないこと、信じたくないこと、そういった混沌を受け入れることが出来ないようでは夢幻界に行けないんですね。
混沌から目を背けるな、飲まれるな、私の好きな言葉です。
こうして、皆は自分の中の混沌に触れることになります。
まずはジェノバです。
彼女の混沌とは、危険を恐れて正すべき事を正せない怠慢さです。
前に挙げた部族の使命とクリスタニアの秩序の在り方、そしてレードンの言葉。
今のクリスタニアは間違っている、ジェノバは賛同します。
しかし、フォルティノの怒りが怖くてどうにも出来なかった自分。
誰かがやってくれるだろう、自分がやる必要が無い、そんな気持ちが嫌だった。
でも誰だってそういう感情を持っていると知ったとき、彼女は混沌を受け入れることが出来ました。
2人の自分が重なり合う、これこそが混沌を受け止めるということなんですね。
解決策を見出す必要は無い、ただ認めさえすればいい。
次はボークスですね。
彼の混沌とはピロテースと亡き妻フォルテへの想いです。
ピロテースを欲しがる自分がいる、でもフォルテを忘れてはいけないという自分もいる、言ってしまえば二股です。
2人の女性への想いに苛まれるボークスですが、彼はそんな自分の在り方を認めます。
愛も罪も夢も欲も全部自分自身であるということ。
自分は生きているということ、生きていかなければいけないということ。
そして、これからもそうして生きていくということ。ボークスはこうして混沌を受け止めました。
次はナーセル。
もちろんダナーンに残してきた老師とサイヤのことです。
肉親のしがらみを煩わしいと言ってのける分身。
しかし、ナーセルはそれを承知しているのか動揺はしません、。
いずれ子供は親から離れていく、それは親にとって辛い事ですが喜ぶべき事とも思います、そして子供にとっては必要な事。
ナーセルは自分の自立が父の胸を痛ませているという事を胸に刻み、
自分もいずれは愛する人が離れていく苦しみを味わうであろうという事も覚悟します。
事実を受け止め、決して揺るがない。
ところで、いずれ離れていく人ってレードンのこと?(笑)
最後にレードンですが、彼は混沌を受け入れることは出来ませんでした。
まさかレードンの混沌が宰相と王女を亡きものにして自分が王になることだとは。
今までおくびにも出さなかった願望ですね。レードンが混沌を受け入れられなかったのは何故でしょうか。
自分の望みのために力を求めたらバルバスやマリードと一緒になってしまう、だから混沌を認められないと主張します。
それとこれとは話が違うと思いますけどね。
確かにレードン人を救う為に戦ってきました、でもそれもやっぱり自分の為じゃないかな?
それは「人が苦しむのを見たくない」という自分の感情が起因でしょう。
その人を救いたい、という思いは人の想いじゃなくて自分自身の想いでしょう。
人の為に戦うなんてのは偽善ですし、それをバルバスやマリードとの相違点にするのは奇麗事です。
人のために戦うのは自分の心が望んだ事、それは恥ずかしい事じゃないです。
自分を善なる存在だと信じたいのも子供じみたことですよ、正義の為に!なんて熱血野郎は信用なりません。
それよりも正直な気持ちを曝け出す方がいっそ分かりやすくて信用できるでしょう?
今大切な事は王位への欲があるということを認めることであって、そういった感情への対処法ではありません。
欲があってもいいじゃないですか、それを認めてもいいじゃないですか。
大切な事は本来の自分というものを投げ出さない事です。
結論、誰だってイヤな欲はあるし、それ自体は恥ずかしい事ではない。
それを認めることが「混沌から目を背けない」ということ。
その次に欲との具体的な付き合い方を見出していく、これが「混沌に飲まれない」ということです。
レードンは認めることが出来なかったんですよ。
混沌に飲まれはしなかったけど目を逸らしてしまったんです。
というのが私ウの結論です。
欲と理性の戦いというのは常に心にあり、人の心を試す終りの無い戦いなんです。
レードンが救いようの無い男かといえばそうでもありません。
認めることが出来なくても立ち向かおうという気持ちはあります。
「封印伝説クリスタニア」ではレードンはこれを乗り越え、混沌界へ行けます。
★3
早速1人脱落、いきなり戦力ダウンは否めません。
いや、ここは混沌界ですからいないほうが幸せかもしれない。
揺らぐ心はこの世界では致命的ですし、戦力にもならないでしょうから。
この混沌界というものは物質界の法則が通用しません。
肉体は意味を成さず、心のあり方が作用するという「シャーマンキング」のような世界です(笑)
人間の感覚と混沌界の存在は接点が無いから直接知覚する事は来ません、その二次的なものを感じられるだけ。
水野先生の言葉を借りるなら、紫外線を見ることはできないけどそれによる日焼けを見ることは出来る、ということだそうです。
具体的に感知できるものは、時間や感情や(複合)精霊力。
時間は落下する感覚、感情は色の違うスライム状の塊ですが感情自体も精霊力ですよね。
(複合)精霊力は燃える氷や流れる大地といったイメージとなるそうです。
とにかく、物質界の常識を持ち込むのは危険だということです。
ナーセルたちが変な生き物に絡まれました撃退します。
何でも「憎しみ」の感情をエサにする生き物だそうです。流石は混沌界、訳の分からない存在です。
それに対するのは剣や魔法ではなくて殺意です。死ねやぁ!!という感情がダメージになるんですね。
★4
さて、アシュラム様はこの世界に飛ばされて自分の魂を守るためにある想いにしがみ付きました。
それはベルド陛下への絶対の忠誠心でした。
ピロテースへの愛じゃなくて、ベルド陛下への気持ちなんだ、ピロテースが不憫だ。
そんなにベルド陛下の方がいいのかシュラム様?(笑)
ボークスたちと合流したピロはアシュラム様の作り出した城へ向かいます。
しかし一行は《時の果てへと至る崖》とやらに捕まってしまいます。
なんでも、時間が凄い速さで流れるポイントだそうです。
上の方でも書きましたが、この世界での時の流れは落下する感覚に似ているそうです。
つまり、ここではとんでもないGがかかるような落下を体感できるんですね。
ナーセル達はみるみるうちに年を取っていきます、これは結構危険です。
つまり、今現実世界では数年(具体的には10年)の時が流れたんです、レードン置いてけぼり。
10年ほど流れてしまったから帰ったら結界と周期がなくなってますよ。
今クリスタニアは10年後の世界になってるんですよ、「漂流伝説クリスタニア」の時代です。
ピロテースは全然平気そうですけど、やっぱりピロって上位種でしょうかね。
エルフとはいえ寿命はありますから、何年も流れたら死んでしまいます。
それを全く感じないから、ハイエルフのような不老の上位種である可能性が高い。
こうしてピロは懐かしのコンクァラーへと入場しました。
コンクァラーはマーモ帝国のお城ですよ、現ウェインドレストです。
一方、ボークスたちは《時の果てへと至る崖》を迂回しようとしましたが、そこへムーハが現れます。
思いが強すぎてこの世界へ来て混沌の生き物になってしまったんですね。
ケイオスランドの混沌とは違った感じで心の混沌に触れたんですね。
この辺はまた興味深い、でも考える材料が少ないから深く考えられませんね。
ナーセルたちはボークスとピロテースを先に行かせてムーハを迎え撃ちます。
それがナーセルとも離れ離れになってしまう事に繋がります。
でも大丈夫、ナーセルの次の出番は「漂流伝説クリスタニア」ですから、ボークス達とはあまり離れてませんよ。
ただしレードンはボークスやナーセルと違って既に10年分歳を取ってますけどね。
★5
とうとう、アシュラム様とピロテースの再会です。
300年ぶりの再会、ピロテースはどれほどこの時を待ち焦がれたでしょう。
少々錯乱気味のアシュラム様もすぐに目を覚まします。
アシュラム様はなんか変わりましたね、パーンやカシュー陛下とはまた違った魅力がにじみ出ています。
ピロテースが待ってきた300年という年月を思い、アシュラム様は労わってくれます。
やっぱりアシュラム様は最高にカッコイイです、伊達に私が「様」づけて呼んでません(笑)
そして、再びバルバスに見えても怯まず、退かず、まさに威風堂々。こういう男の事を英雄と呼ぶのです。
アシュラム様はピロテースが待っている事を知りました。
ピロテースはアシュラム様が自分の所へ帰ってくる為に戦っているという事を意識しました。
もう何も怖くない、怯える事も無い、これまでピロテースに欠けていたアシュラム様との繋がりができました・
もうムーハやルインズのような野心家の言葉に騙される事はありません。
現れたバルバスへ向かってソウルクラッシュを構え、アシュラム様は閃光となってバルバスへ挑みます。
このシーンがまた本当にカッコイイんですよ、多分サイヤ人的動きだったと思います(笑)
きっとアシュラム様は勝ちますよ。アシュラム様が負けていいのはベルド陛下だけだしね。
あとカシュー陛下やパーンもいますが、やっぱりベルド陛下は別格ですよ。
さて、ボークスたちも追いついたわけですが、あまり意味なかったですね。
ピロテースは再びアシュラム様の帰りを待ち悠久の時を生きる生活が始まりました。
★
ボークスが目を覚ましたのは前と同じ洞窟でした。
しかし、10年の時が流れクリスタニアは大きな変革を迎えます。
「漂流伝説クリスタニア」の物語の結果、周期と結界が無くなりクリスタニアは海の高さへ沈んでいるのです。
終わった、いや始まったんですよ・・・・・・・・。
結界に閉ざされた完全で小さな世界は、時の流れに晒される不完全で大きい世界へ変わります。
どちらがいいのかは知りません、でも人の意思が作用する時代になるんです。
とはいえ、問題も多いですがね。
ベルディアとの戦いもそうですし、新しい時代になった事で多くの事件がおきるでしょう。
ボークスはそんな時代の為に獣の牙の傭兵として戦い続け、ジェノバは新しい秩序を見つける為村へ戻ります。
レードンは真紅の蟻帝として真紅の民を率いる皇帝になり、ナーセルは"世界見の賢者"としてクリスタニアを放浪します。
皆が皆、新しい道を歩き続けます。
レードンとナーセルはともかく、ボークスとジェノバはここで退場です。
ボークスのカッコよさ、ジェノバの純真さは大好きでしたよ。
お別れですけど、きっと自分なりに精一杯生きるでしょう。
今度は周期じゃなくて、自分で決める人生です。
フォーセリアの他の住人達のように味のある一生を送って欲しいです。
本当に大好きな2人へありがとう楽しかったよ、そしてさようなら。
私はこれから出てくる色々なキャラ達へそんな呼びかけをこれからも繰り返していく事になりそうです。
それが出来るような物語だから私はクリスタニアが好きなんですよ。
落陽が部屋を紅く染める玉座の間。
玉座に座るアシュラム様は眠ったように瞼を閉じています。
しかしそれは1つの器を巡るバルバスとの戦いを表しています。
そんな漂流王へ寄り添うように温もりを感じるピロテース、そう永遠ははじまった・・・・・・・。
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