「暗黒伝説クリスタニア 」著:白井英 原作:水野良 出版社:メディアファクトリー

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第一章 闇の彼方に

★1

長い「クリスタニア・サーガ」ももう8番目の伝説です。

「はじまりの〜」の時の閉鎖感は何処へ行ったのやら、随分とクリスタニアの情勢は変わってしまいました。

神王は眠りにつき、周期と結界と封印は過去のものとなり、神獣の民達は新たな生き方を模索しています。

そして今回のお話では、とうとう暗黒の民と獣の牙は同盟を結ぶ事になります!

これにより「神獣の民・新しき民・暗黒の民」VS「猛虎の民・妖魔・解放された混沌」という近代クリスタニア情勢が出来上がります。


現在のベルディアは暗黒の民と猛虎の民の内乱状態です。

元々は両民族とも神王という共通の支配者がいたから共存が成り立っていました。

だから内乱と言っていいのかどうかも微妙です。両民族が争う事を内乱といえる程の仲だったか?


そしてベルディアにもう一つの勢力が起こりつつあるのです。

その勢力とは妖魔です。彼らは暗黒の民と共にマーモから逃げてきました。両者は随分と長い間共存してきたものですよ。

しかし、「封印伝説」の事件で封印から解放されたモノの中に彼らの王がいたのです。

その存在こそは妖魔王ダークエルフの最上位種であるダークエルフハイロードです。

彼の元に妖魔達は集まり、新たなる勢力となって暗黒の民の脅威にすらなっているのです。


暗黒の民が何故クリスタニアに攻めていたのか、それには色々理由があります。

新たな土地の渇望とか、妖魔の存在とか。

繁殖力豊富な妖魔を抱えるのならベルディア半島だけでは不十分なのですよ。


それに新たな土地を求める事は人の性なのです。

暗黒の民にとっては、同じ大陸なのに結界やら城壁やらでそれを閉ざすのは不当でした。

交わろうという意思、それを拒む意思。背反する二つの意思は、永い永いベルディアと神獣の民の争いの原因でもありました。


しかし、既にクリスタニアは開かれ、暗黒の民は妖魔とも袂を分かとうとしています。

既に神の城壁もないし、これ以上の両者の争いは無意味なのです。

だから暗黒の民は獣の牙に同盟を求めてきました、そしてその判断はリュース達に委ねられたのです。

彼らは細かい事情は知らずに、ベルディアへと赴きます。それが今回の話の導入です。


暗黒の民の王都であるドートンまでは、ベルディアの宮廷魔術師のアスファが同行します。

彼は「封印伝説」にも出てきましたね。向こうにつくまではリュース達は彼の護衛という事になります。

アスファとは結構長い付き合いになるようですし、重要なレギュラーキャラになってきます。

リプレイでは何かと役立つNPCでしたね、美形キャラという方向性は変わらないらしい(笑)


ちなみにアスファはソーサラー/ファイターです、年齢は不明。

ベルディア宮廷魔術師団は白兵戦も出来る者が多いんですよね。

「クリスタニアRPG」だからいいんですが、SWだったら両立は困難ですよ。

ただでさえソーサラーはレベル上げのコストが高いのに、ファイターを兼ねたら更に上がりにくいし。

リウイは推定5レベルのファイター/ソーサラーですが、どちらかを一本伸ばしにしていたら何レベルになるのやら(苦笑)


今回からは抜けたサーバルとネージュの代わりに2人の新メンバーが加わります。

サーバルとネージュは「封印伝説」だけのつきあいですが、この二人とは以後3作品ずっと一緒です。

つまりノリスとガルガドが抜けて、エキューとバスが入ったネオヘッポコーズのようなものですね(笑)

リュース・アロート・リヴリアにこの二人を加えた新しいパーティーで各事件を解決していきます。


シロフォノ 19歳

双面の部族のウォリアー/ビーストマスター、二枚舌な二枚目です(笑)

リュース並の戦士ですが、口の上手さは天才的で策士でもあります、根が単純なリュースとかをおだてるのもお手の物。

元々双面の部族は口が上手いだけに商売や詐欺の天才とも言えますが、彼は特に口が上手い方だと思う。


リプレイでは一人称が「わたくし」、小説でも多分そうです。

丁寧な言葉遣いで一行の中では知性派ですね、経理が上手そう(笑)

"言葉の魔術師"という点ではスイフリーにも似てるかな、まぁスイフリー程タチ悪くないけど(笑)

なんとなく「まるマ」のコンラッドと雰囲気が似てるかな、好青年のようで腹黒そうな辺りが特に。


ティオシー 18歳

銀狼の部族のレンジャー/ビーストマスター、清純派な女の子です。

リプレイの設定では箱入り娘だったらしいけど、何故に箱入り娘が傭兵を?

リヴリアとは打って変わって生真面目で純朴な性格、私としてはかなり好印象です。


ちょっと女子高生っぽかったリプレイ版も好きだけど、正統派美女な小説版も可愛いと思う(笑)

一行の中では一番若いキャラだと思う、「傭兵伝説」の初々しいトキメキっぷりも可愛かった。

左頬に傷がありますが、この傷が鼻にあったら「武装錬金」の斗貴子さんみたい。

(内臓)ブチ撒け戦士ティオシーちゃんです(笑)


シロフォノとティオシーの歳はリプレイのものですが、「傭兵伝説」のソレなので微妙。

そもそも小説とリプレイでは微妙に年齢や時間経過に違いがありますしね、まぁ目安です。

あとレベルですが、また上がってるようですね。小説設定では「封印伝説」から1年経った事になってますしね。


後の方ですが、リヴリアが5レベルの"ファイアボール"を使ってました。

リュースも同じく5レベルの"ライオンフォーム"を使ってましたよ。

この時点ではリュースは精神系の魔法やタレントを防ぐ4レベルの"ライオンハート"を使ってましたね。

もしかしたら物語の中で5レベルになったのかもしれません、そういえばリプレイでもそんな感じだったし。

少なくともこの時点で4レベルあるのは間違いありません、「封印伝説」の最後の方でもリヴリアは4レベルだったし。


そういえばシロフォノとティオシーがリュース達と引き合わされるシーンがないんですよね。

リプレイではあったから期待してたんですけど、いきなり仲間になっている状態から始まります。

シロフォノは裏切り者の双面の民だし、どういう風に引き合わされたのか気になるし。

リュースの事だから最初は色々あったんだろうけど、今ではすっかり慣れたんでしょうね。


さて、最初の戦闘は猛虎の民×4です。

どれもパーシャルしてるから最低3レベル、"リーブ"したのもいるから4あるのもいるはず。

屋根の上に隠れて"タイガーロア"でビビらせ、奇襲をかけるという戦法に出ました。

まぁこっちには癒し手(ティオシー)もいるし、即死しない限りそうそう死にませんよ。


そういう意味では前のパーティーよりも安心ですね、フェネスのタレント"リッキングキュア"は回復量が多いし。

仮にティオシーが4レベルだとしたら、1度の使用で80点回復出来ます。それを最大で4回使えますから、計320点!

流石に4レベルではマリスのように4桁の回復は無理ですね(苦笑)


ちなみにこのタレント、リプレイでは端折られてるけど相手を舐める事で回復させるんですよね。

リュースの回復をしようとして顔を赤らめるティオシーは可愛かった(笑)

マリスは割とじゃんじゃか回復させてましたけどね、やっぱりティオシーって箱入り娘?

それを言うなら、マリス自身もある意味ではティオシー以上に箱入り娘ですけどね、やっぱり性格か?


リュース達がアスファと合流する筈の村を襲撃して潜伏していた連中なだけに、結構強かった。

アスファの援護もあって勝てたけど、リヴリアが片腕やられたりしてちょっと危なかったですよ。

古代語魔法は片腕では使えませんからね、この描写だとそういう風に考えた方がいいでしょう。


そういえばリュースとシロフォノはロングスピアを使ってますね。

リプレイではリュースはバッソーで、シロフォノはシミターだったんですけどね。

フォーセリア作品の主人公が槍を愛用しているのは珍しいですよね。


★2

アスファと合流した一行は、自分達を待ち受ける困難を知らずにドートンを目指します。

それにしてもマルカス団長も人が悪い、肝心の事を伏せておくなんてね。

マルカス団長はリュースと同じ集落の出身で、フィンガル砦の団長でもあります。

リュースが「若長」と慕う、体育会系OBって感じですね(笑)


リプレイではドートンに着くまでに幾つかのイベントがありましたが、小説ではかなりカットされます。

"世界樹の不肖の息子"なんて数行で片付けられるし、悟りの部族の成人の洞窟なんて存在そのものを消されました(苦笑)

他のはともかく、"世界樹の不肖の息子"は楽しみだったんですけどね。


"世界樹の不肖の息子"は世界樹の実から発生した直系の子孫です。

世界樹の枝から発生した黄金樹よりも世界樹に近く、実から生物を創造する事も可能です。

密林の一定の空間に自分だけのフィールドを敷いたり、明らかに黄金樹よりも高等な存在でしたよ。

小説では"古代樹の不肖の息子"になった上に混沌の魔物扱いですが。まぁこの樹についてはリプレイの方で扱うとしましょう。


一行はドートンに着く前に、アスファの同胞である暗黒騎士レイトンの罠にハマります。

レイトンですから、レードンではない(笑)

彼はアスファとは考えを異にしていますが、暗黒の民を裏切ったわけではありません。

むしろ逆です、暗黒の民として神獣の民との同盟は許せないから犯行に及んだのです。


ただの悪人ならどうでもいいんですが、こういう風に理想があるからこそ敵対する相手というのは扱いに困ります。

つまり悪役敵役の違いですね、ロードスとかでは敵役が多い。

立場や理想が違うから戦う、でも悪人ではない。実際にはそういうケースが過半数でしょうね。

純粋な悪人なんてものはそうそうお目にかかれませんよね、いたとしても大抵小物ですし。


リプレイでは一行は毒を盛られて牢に入れられましたが、小説では毒を飲む事そのものを避けました。

ティオシーの"ウルフセンス"あればこそです、ていうか狼の感覚ってそんなことまで分かるんですか。

晩餐の際にタレントを使っているなんて、小説のティオシーちゃんは抜け目無いです。

それともタレントじゃなくて、レンジャーとしての経験かな?

リュースだって危険感知の"ライオンセンス"を使ってたし、シロフォノも虚言感知の"センスファルス"を使ってましたけどね。


逃走する際にアロートは5レベルの"ファイアウォール"を立ててました、やっぱり5レベルかな。

あとアスファが閂を"アンロック"で開けてましたが、SWでは出来ませんよね。

「クリスタニアRPG」ではどうなっているのか、データブックの記述だけではなんとも言えません。

"アンロック"というのは扉を開ける魔法ですが、つっかえ棒を排除する力はないというのがSWでの解釈です。


鍵を開けるのと閂を上げるのでは全然違いますしね、その場合はどちらかというと"テレキネシス"が要ると思う(笑)

"テレキネシス"は6レベルの古代語魔法で、視界内の物体を思い通りに動かせるという文字通りの効果です。

ただし重さは1キログラムまで。閂がどの程度の重さなのかは分かりませんが、1キロ以上はあるでしょうね。

効果の拡大は出来ないようですし、それならアロートに"トンネル"で壁に穴を開けてもらった方がいい。

壁が木製だったら開けられませんけどね、そういう所はSWと一緒(苦笑)


神獣の民と暗黒の民は云百年敵対してきた間柄ですし、警戒するのは当然の事です。

でもリュースは自分の中のしこりを解消しようとしていました。

リュースは承認者ですから、感情だけで平和を望む暗黒の民から目を背けるわけにもいきません。

暗黒の民=悪の総本山、なんていう見当違いのイメージを持つ神獣の民も多いでしょうけどね。


リュースは混沌の解放を承認しましたが、承認したのは解放そのものではなくレードン達の意思でした。

暗黒の民が全て神獣の民と戦いたがってる訳ではない、それは恐らく事実でしょう。

それならば変わりゆくクリスタニアの住人としても、古い確執から脱却するよう心掛けるのは好ましい


リュースというキャラはそういう素直な所がいいんですよ、目に映るものは大切なものの一部だと自覚しています。

見えるのに見ない、気づいても言わない、言っても聞かない、そういう人は多いでしょう。

それは概ね自分の慢心や怠惰といった心の混沌から来ますが、リュースは自分の中のそういう嫌な所から目を逸らしません。

だからこそ彼は一発で混沌界に行けたのです、レードンは最初失敗したけどね(笑)


★3

ドートンもあと少しというところで、一行は最後の難関にぶち当たります。

暗黒の民の中に妖魔王への内通者がいましてね、その人物が一行を阻もうと妖魔を街道沿いに配していたのですよ。

アロートが"インビジビリティ"やタレントを駆使してそれを確認し、アスファの提案で渋々ながら密林を進む事になります。

しかし密林は猛虎の部族のテリトリーでもあります、危険な事にはかわりない。


でも"インビジビリティ"って集中が要る魔法ですよね。SWではそうですが、「クリスタニアRPG」でも同様です。

しかも接続時間が10ラウンド(1分40秒)だから長い間消えてられない、拡大するにも限界があるし。

集中している間は他の魔法やタレントは使えないし、全力で移動する事も出来ない。


しかも姿を消すだけで音や匂いは消せない。レンジャーでもないアロートでは近づき過ぎると気づかれそうです。

まぁヤバそうな辺りで姿を消してちょっと見て、"ホースダッシュ"で引き返してくるというのならいいんですけど。

"ホースダッシュ"は「人間×4倍」という速度で走れるようになります、各部族のタレントの中では最速です。

本気で逃げようと思えば、例え見つかっても逃げ切れるでしょう。


密林の行軍は困難を極めました、レンジャーであるティオシーがいなかったらどうなってたことか。

当然ながら猛虎の民やサーベルタイガーに襲われるし、本当に危なかったですよ。

ここでアロートは"アクセル"を全員にかけます。一気に逃げ切るつもりですが、タレントポイント足りるかな?

このタレントは何かとよく使われますよね、シルヴァリの4レベルタレントですよ。


相手の移動速度を「人間×1/2倍」〜「人間×4倍」に変化させるタレントです。

「クリスタニアRPG」では移動速度は各キャラ同一です、つまりPCは普段「人間×1倍」の速度で動けるのです。

これは1ラウンド(10秒)に通常移動で10m、全力移動で50m動ける事になります。


通常移動しながら攻撃する事を移動攻撃と言います。全力移動しながらだと突撃ということになります。

SWでは移動攻撃には修正は入りませんが、「クリスタニアRPG」では移動攻撃でも命中にペナルティーが入ります。

通常移動と全力移動の定義は、SWと大体一緒です。あと2mぐらいしか動けない停止というのもあります。


「人間×4倍」というのは全力移動すれば200メートル動ける事になりますね。

10秒に200mということは100mを僅か5秒で走破、グラスランナーを上回る俊足です。

ここで注意したいのは移動速度そのものが通常の4倍になるのではなく、あくまでも「人間×4倍」までです。

例えばシルヴァリの眷族のムスタングは「人間×4倍」で移動しますから、このタレントをかけても速度は変わらない


相手が抵抗しようと思えば自動的に成功しますから、敵にかけて足を遅くするとかいう使い方は出来ません。

アロートが5レベルだとしたらタレントポイントは15点、4点消費の"アクセル"は3人までです。

自分が2レベルの"ホースダッシュ"を使っても逃げられるのは精々4人、あと2人はどうしたんでしょうね?

ちなみに、古代語魔法の"ヘイスト"は「人間×2倍」とほとんどの"ビーストウォーク"と変わりありません。

フェネスの"ウルフウォーク"は「人間×3倍」と"ホースダッシュ"に次ぐ速度を誇ります。


ここではリュースとアスファのやり取りが熱いです。

アスファ「ここは私が食い止めます。皆さんは帝都を目指してください」

リュース「馬鹿野郎!どんな事情があろうと、人が犠牲になるのを見過ごしには出来ん!」

本当に熱い、リュースとアスファって性格は全然違うけどいい友達になりそうです。


アスファが"カウンター・マジック"だけをリュース達にかけて、1人残った時はどうなるかと心配でした。

でもそのお陰でリュース達は"タイガーロア"にも怯むことなく逃げ切れましたよ。

アスファは"フライト"でさっさと脱出しました。自分が生き残る手段も考えての行動だったんですね。

確かに恐怖に囚われてしまえば強行突破力に欠けますからね、冷静で勇気ある状況判断と言えます。

こうして一行はなんとか帝都ドートンに到達しました。いよいよ歴史的同盟の瞬間が近づいてきましたよ。


第二章 帝都の一番長い日

★1

暗黒の民の帝都ドートンは人口およそ4万人の城塞都市です。

王城ダークスフィアはクリスタニアでも有数の高度な建築物でしょう。

多分ダナーンやスループの王城よりも実戦向き、暗黒の民の歴史は戦いの歴史ですから。


故郷のマーモにあったベルディア帝国の王城コンクァラーは元々"亡者の女王"ナニールが作ったものでしたね。

コンクァラーは支配者が変わるごとに改築・増築を繰り返してきましたけど、恐らくはそれを模した所もあるんでしょう。

リュース達も始めてみる巨大な城塞には驚くばかり、なんかサグラダ・ファミリアを始めて見た観光客みたい(笑)


ベルディア帝国は建国からおよそ350年経ちますが、王国としては長命な方です。

暗黒の民がロードスから脱出した時は千年王国と言われたアラニアも、建国から424年でしたし。

長い歴史を持つだけに、暗黒の民の技術は明らかに神獣の民のそれを凌駕しています。

ロードスから持ち込まれた様々な技術も、350年以上もの時を経て洗練されたんでしょう。


リュース達は騎士王ディラントと面会し、ようやく本当の使命を知る事となります。

ディラントは「漂流伝説」にも出てきましたね、レイルズと少しの間だけですが会話もしましたし。

今は彼が眠り続けるアシュラム様の代理という形で、暗黒の民を統治しています。


謁見の間のディラントの椅子の後ろにはアシュラム様とそれにもたれるピロテースがいました。

21年前の「神王伝説」の時には絶望を味わったピロテースですが、今はこうして元の居場所に戻っています。

混沌界で色々あって戻ってきたのはそれから10年、つまり11年前でしたっけ。ボークスとジェノバはどうしてるかな?

リュース達が入ってきた時も瞥視しただけですぐにアシュラム様を見つめ始めました、ラブラブなんだから(苦笑)


さて、リュース達はここで選択を迫られるわけです。

暗黒の民と同盟を結ぶか否か、全ては彼らの判断に委ねられました。

もしも否だったら、暗黒の民は妖魔や猛虎の部族に滅ぼされるでしょうね。

流石に一同動揺を隠せません、ティオシーなんて発言すらままならないほど困っています。


リュースはアスファとの縁もあるし、獣の牙の傭兵としても承認者としても同盟を受け入れるつもりです。

ここまでの旅は無駄じゃなかった、少なくとも暗黒の民への偏見は多少なりとも解消されています。

リュース「例え昨日まで敵だった相手でも、互いに信頼し合う事は出来る。それを証明するのが今のオレの使命だ

流石は混沌解放の承認者(褒め言葉)。想いの強さそのものを承認することを忘れていません。

アロートも調停者として凄い乗り気です、確かにこれは戦を終わらせるまたとない好機ですから。


しかしシロフォノは難色を示します、小説設定ではシロフォノは少年時代に暗黒の民に集落を襲われたらしいし。

この場では彼が神獣の民の感情を代弁する役目なのです。理屈では同盟の正当性を理解出来ても、感情が納得しないという。

確かに知人を殺されれば怒りを覚えるし恨みもするでしょう、シロフォノの言い分も無視出来ません。

しかしそれは私の意見であって、この場で彼らに求められるのは公の意見なのです。

例え嘘でも方便でも、自分達が本当に為すべき事の為にそれに蓋をする事も大切なのではないでしょうかね。


シロフォノ「暗黒の民が猛虎の民に滅ばされるのを傍観していればいい
      その後で獣の牙の大軍勢をベルディアに派遣し(中略)ベルディア帝国の脅威を根元から断つ事が出来ますよ。」

確かにそれも1つの選択肢かもしれないけど、果たして本当に賢明な選択でしょうかね?

そんなことしたら獣の牙は妖魔と猛虎の部族との全面戦争に突入します。相手の数を考えるとベルディアだけで戦をするとは限らない。

地続きの今のクリスタニアなら最初に戦火に晒されるのはイスカリアの西部でしょう、しかも矢面に立たされるのは双面の部族

恐らくは相手も徹底抗戦するでしょうから、暗黒の民と同盟を結んで戦うよりも被害は大きいと思いますよ。


「やられたらやり返す」、それでいいんでしょうかね?

確かに国や共同体は相手の侵略に対して何らかの報復を考えるものです。

別に戦争に限った事ではありませんよ、個人レベルから社会レベルにまでそういうケースは色々あります。


そしてそういうケースは大概、互いに過剰な報復を繰り返す事でより大きな被害を生みます。

それも覚悟の上というのなら別にいいんですが、その際被害を被るのは無力な人々でしょうね。

誰かがそのしがらみを受け止められる時に受け止めなければ、血で血を洗うシーソーゲームです。


ちなみに、この件を受け入れるとリュース達は獣の牙ベルディア砦の幹部になります。

別にその地位に釣られた訳ではありませんが、同盟を受け入れるのが彼らの判断です。

シロフォノ「暗黒の民と同盟を結んだ結果クリスタニアに災いが齎されたのならば、私の助力は期待しないでください

リーダーにして承認者であるリュースの決定には従うけど、それは心からの賛同ではないんですね。

でもシロフォノってケジメはつける方だから、よっぽどの事態に陥らない限り裏切りませんよ。


場合によってはサーバルとネージュみたいに袂を分かつ事になるかもしれない。

それでもリュースは自分の承認した事には責任をとり続けるつもりです。

それがクリスタニアの承認者の立派な所です、承認したからにはとことん付き合うんです。


★2

同盟は結ばれる方に事は運んでいましたが、ここにきてちょっとした事件が起きます。

獣の牙との同盟を良しとない輩が、同盟に参加予定だった悟りの部族の長を暗殺したのです。

この同盟には獣の牙の他にも、現地の悟りの部族と沈黙の部族も参加するのです。


あとダナーンからは近衛騎士のラッセルとその従者としてバッソーも来ていたりします。

ラッセルは政変が起きた後も近衛騎士やってるんですね、主君は自分の息子ですけど。

バッソーも宮仕えの身ですか、仲間たちが望んでもなれなかった職に就くとは皮肉なものです。


悟りの部族をターゲットにしたのは犯人も考えてますね。

メルキシュのタレントなら犯人を悟る事も可能ですしね。

もっとも、ピンポイントで犯人を悟ろうとするならば9レベルの"メディテイト"じゃないと難しそうですが。


そういえばまだ悟りの部族には触れていませんでしたね。

悟りの部族は"妖眼の斑猫"メルキシュに使える民です。

守護対象は知識、秘密、謎、光と闇の精霊力です。

他にも"悟りし者""ラーダに敗れし者""真の知識神"などの呼び名もあります。


メルキシュはかつてラーダと謎かけを行いました。

これはメルキシュが出題した問題にラーダが答えるというものでしたが、メルキシュはこれに敗れました。

出題した謎はラーダが唯一知らない事だったので、それを推測する事が可能だったからだといいます。

また、答えを匠の神ガネードに盗ませたという話もありますが、真相は定かではありません。


それ以来、メルキシュはラーダへのリベンジを誓い知識を溜め続けています。

それが実現するかどうかはともかく、メルキシュとラーダは神々の中でも随一の知性派ってことですね。

私はラーダは知恵の神、メルキシュは知識の神だと思っています。知恵と知識は別物ですし。

データ量でいえばメルキシュの方が上でしょうが、閃きという分野ではラーダの方が優れているんじゃないかと。

知恵は知識を補えますし、その逆もまた然り。それぞれの専攻が違うと思っていいんじゃないですかね?


リュース達は勿論のこと、悟りの長にも個室が与えられてました。

侵入者は居ない、部屋に張られている結界は内部と外部を魔法的に隔離しているから"リーブ"も利かない。

凶器は部屋になかったのに刺殺されていたのだから殺人事件ですね、リプレイでは推理物に思えて力技で解決しましたが(笑)


犯行自体はなんら捻った所はありませんでしたけどね。

ダークエルフが"インビジビリティ"で侵入して殺害、脱出。まぁ部屋で殺されている以上はそんな所でしょうね。

盗難・殺人事件には"インビジ"や"トンネル"を疑うのがフォーセリアの常識ですし。


だからこそそういう事がやりにくいように魔法が使えない情況がよく用いられますよね。

多分SWで言うところの"ルーン・アイソレーション"のような効果の結界だったんでしょう。

9レベルの強力な魔法ですが、なんらかのアイテム等で補う事で永続化も可能でしょう。

カストゥール王国ではもちろん、魔術師ギルドの禁断の間や王城の沈黙の間も大抵これが張られていると思われます。

魔法を完全に無力化する"アンチ・マジック"では結界内で一切魔法が使えなくなるし。


で、凶器がリュースの部屋から発見されるんですよね(苦笑)

この人は犯人ではありませんと公言してるようなものです、かく乱したいなら放っとけばいいのに。

疑心というのは判断材料が少なければ少ないほど湧いてきます、そんなことしたら折角植えつけた疑心が威力を削がれます。

まぁ同盟を先延ばしにするという役割は果たしているようだし、刺客としては合格点ぐらいは与えられますかね。


世の中、逆説の論理で罪が晴れる事は稀です。悟りの部族への誠意を見せるためにもリュースは一時拘束されます。

リュースは毒殺を恐れて食事にも手を出さず、"ライオンセンス"を使ってひたすら耐えてました。

そして今度はそのリュースにダークエルフが襲い掛かるんですよ。

今度は"トンネル"で侵入してくるんですが、地下牢には結界は張ってないんですね(苦笑)

それとも、暗殺者を誘い出すために故意にそういう牢をコーディネイトしたんでしょうか。


リュースは辛うじて命は助かりましたが、毒手を受けて昏倒してしまいます。

しかもダークエルフは逃げられないと悟るや"ファイアストーム"を地下牢でぶっ放します。

体力不足のダークエルフは勿論の事、多くの死傷者を出しましたよ。

"ファイアストーム"は8レベル、なかなかレベルの高い暗殺者です。ダメージ的には"ブリザード"ぐらいの設定です。

ていうか毒手ですか、お前はどこの男塾の四天王だ(笑)


"ライオンセンス"はかなり便利なタレントです。

1レベルですが、危険感知という傭兵業には有難いタレントですよ。

レベル×1時間の間効果は持続します、小説では危険を感知するとうなじの辺りがチクチクするという描写でしたね。


あと似たようなタレントにブルーザの"ボーアセンス"というのもあります。

こっちは睡眠中効果が持続する上に相手が接近すると即座に臨戦態勢に入れます

この二つを組み合わせればまず不意打ちは受けませんね。


リュースが5レベルでタレントポイントを"ライオンセンス"に全て使うとなると、結構な時間持ちますよ。

どうやら5レベルのようだからタレントポイントは15点、つまり1日15回使えるのです。

しかも1度の接続時間は5時間、5回も使えば日が変わってタレントポイントが復活します。

"パーシャルライオン"ぐらい軽く使えるんですが、何故かリュースは使えませんでした。


こうして一難去ったんですが、間髪居れずに妖魔がドートンを落そうと攻めてきます。

一同は同盟の仮調印を行い、リュースは援軍を求めてフィンガル砦へ走ります。

次の章はリュースがメロス状態です(笑)


第三章 暁に走れ

★1〜3

毒手を受けた上に火達磨になったリュースですが、ファラリスの最高司祭グンナークのお陰で一命は取り留めました。

実はそのグンナークが妖魔王との内通者だったりするんですよ。

自分を殺そうとした相手に助けてもらうなんて、リュースも悪運が強いですよね(苦)


グンナークはこの時点では妖魔王をベルディアの王に戴こうとしています

漂流王であるアシュラム様が種族や身分は問わない自由な国を作ろうとしていたから、その遺志を受け継ごうとしています。

彼が忠誠を誓うのはディラントではなく、アシュラム様なんですね。

妖魔王の力は絶大です、亜神といってもいいその力は確かにベルディア一でしょうね。


具体的にどの程度なのかはよく分かりませんが、SW的に言えば間違いなく超英雄キャラでしょうね。

彼と同格だと思われるのはエルフの最上位種である帰らずの森の長のルマースぐらいでしょう。

ルマースにしろ、妖魔王にしろ、神々が世界樹から生み出した妖精の第一世代とも言うべき存在です。

間違いなく10レベルはあるでしょう。下手したらそれ以上、むしろその公算が圧倒的に高い。

一応20レベルまでの経験点表もありますし、15レベルぐらいあっても驚きません。


精霊魔法も、妖魔王の魔力を持ってすれば恐ろしい効果を発揮します。

例えば"ウィンドボイス"、これはSWでも「クリスタニアRPG」でも到達距離は500メートルということになっています。

その"ウィンドボイス"を妖魔王は徒歩2週間以上かかる"大樹海"からかけているのです

一体何百倍に拡大してるんでしょうね。精神力も何点になるのやら、本当に恐ろしい力です。

単純に魔力が高いだけでなく、本人のそれこそ神にも匹敵する精神力がなくてはこんな芸当出来ませんよ。


さて、今ドートンには妖魔の大軍勢が押し寄せています。

ドートンに詰めている騎士達だけで防ぎきれる数なんですが、内通者の存在があるんですよ。

グンナークもそうですが、レイトンのようにディラントに反旗を翻す騎士も居ます。

そういった事も考慮すると、篭城戦とはいえ守り切れないかもしれません。


多くの不安要素を抱えての篭城戦は自殺行為ですが、ここで軍師シロフォノが妙案を出します。

それは猛虎の部族を呼ぶという策です、味方ではなく敵としてね。

猛虎の部族と妖魔に攻められることになりますが、そうなれば内通者も造反者も死ぬ気で戦わざるを得ません

グンナークにしろレイトンにしろ、祖国を愛す気持ちは本物ですから。


まるでリウイのような発想ですね、シロフォノは知恵者だとは思っていましたが本当に凄い発想です。

実はリプレイでこの辺の戦いは行われているんですよ、凄い規模の集団戦闘が。

篭城して敵を防ぎつつ、神獣の民の援軍が来るまで持たせるという結構綱渡りな戦闘でした。

もっとも、リプレイでは最初から猛虎の部族と妖魔が同時に攻めてきたんですけどね。

小説になるにあたって、ストーリーをより完成させる為かシロフォノがキレ者となったのです(笑)


小説のシロフォノは色んなものを抱えてますね、責任とか恨みとか。

内心思う所は沢山ある、でもやるからには全力を尽くす。

それでいて本人は真面目だから不安に思う事もあるしね、いいキャラです。


ティオシーも目まぐるしく変わる回りに気後れしながらも、何とかしようという気持ちは伝わってきます。

こんな大きな世界とは無縁だったティオシーが、暗黒の民の騎士を怒鳴りつける程必死に頑張ってました。

そんな中一番余裕ありそうなのが、我らが"毒女"リヴリアでしたけど(笑)


リュースはフィンガルに戻り、砦の傭兵達を援軍として連れて行くという大任を全うしました。

途中までは宮廷魔術師団主席のマーティの"テレポート"で送ってもらいましたが、そこからは徒歩です。

徒歩というか走ります、走れメロス、もといリュース!(笑)

あとマーティは次の「傭兵伝説」で敵対する相手です、ちゃんと先の事を見通して登場させてますね。


リュースは走りながら"ライオンフォーム"を使ってたので既に5レベルです。

そして眷属に変身したら服は脱げるから、リュースは真っ裸で帰還したわけです(苦笑)

ディレーオンの眷属ゴールドライオンの足は「人間×2倍」、普通に"ライオンウォ−ク"を使ったのと変わりませんけどね。


リュースは傭兵達を連れて行く際、嘘はつけませんでした。

暗黒の民を助けに行く、その事実を伏せておけなかったのです。

結果として傭兵達の士気はガタ落ち、援軍はたったの数十人にまで減ってしまったのです。

本当を言えば、マルカスがリュースにしたように詳しい事は教えずに現地に送り込んだ方がいいんでしょうね。

でもリュースはそれが出来なかった、シロフォノとかリヴリアならそうしていたという気もしますけど。


でもマルカスの説得で、一度は参戦を拒絶したフィンガル砦の傭兵達はおろか、イスカリアの傭兵達まで援軍に加わってくれます。

その時のマルカスとリュースはなんか、スポーツ漫画の先輩後輩みたいでした(苦笑)

マルカス団長カッコイイ、リュースが尊敬するのも分かりますよ。

こうして獣の牙の傭兵の意思は、次の世代へ受け継がれていくんですね。


受け継がれる意思といえば、凄い大物が出てきました。

妖魔王を封印していた封印の民の初代族長ラバン、一体何千年前に生を受けたのやら。

多分10レベルのビーストマスターなんでしょうね、族長やるぐらいだしウォリアーかな?


でも挿絵のラバンは本当に老人でした、妖魔王を封印した時点でかなりの高齢だったんでしょうね。

よくぞ妖魔王を封印できたものです、高位の魔法使いに接近するのは命がけですよ。

無謀と慢心の精霊の槍を受けたらどうなるやら。お互いに高レベルだし、どんな風に封印したんでしょうね。

"パージ"の有効距離はよくわかりません、どの程度接近すれば使えるのか曖昧です。


二人の間で交わされるのは「封印伝説」の時の議論ですね。

千人の為に一人が犠牲になるか、一人の為に千人が犠牲になるかという。

それでリュースはレードン達の意思を承認したんですよね、詳しくは「封印伝説」を見て下さい。


リュースは混沌解放を承認しましたが、承認には必ず本人の意思が混じるのです。

それは仕方ない事だし、完璧超人でもない人間なら当然の事なのです。

未熟と言われればそれまでですが、それでもリュースやレードンは自分の決断の責任を取るために一生を費やす覚悟です。

ラバンはリュースの自分の承認したものへの捨身の覚悟を感じると、リュースに妖魔王との戦いの護衛を命じます。


ドートン攻防戦ですが、かつての「漂流伝説」の時の戦闘以上の規模でした。

詳しい事はリプレイに譲りますが、恐ろしく犠牲の多い戦いでした。

ドートンには東西南北に門があり、西と南は猛虎の部族が、東と北は妖魔が攻めている状態です。

これもまたリプレイと一緒ですね。リヴリア達は南門にいたわけですが、それも小説に影響しています。


一番燃えたのはラッセルが猛虎の部族を十把一絡げに葬る辺りですね、飛天御剣流か(笑)

"血煙の騎士"の名は伊達じゃない、レードンみたいに10レベルだったりするんでしょうね。

レイルズがファザコンになるのも分かりますよ、一筋縄ではいかない親父です(笑)


リュース達のドートンへの行軍中にあのレイトンが再び現れ、リュースと決闘をしたりします。

とはいえそれはリュースへの復讐とかではなくて、自分の心に決着をつけるための決闘でした。

ドートンを守る為にディラントに味方しなければいけない、でもそれは本意ではないという迷いです。

リュースは決闘をする事でこれを解消するのに一役買ったわけですね、なかなか粋な決闘でした。

勝敗はよく分かりませんが、後にレイトンとその配下達はドートン攻防戦で獣の牙と共闘していました


リュース達援軍のお陰で南門の猛虎の部族は蹴散らされ、西門の猛虎の部族も撤退しました。

これが300年以上も争ってきた神獣の民と暗黒の民初の共闘です。

グンナークやレイトンの理想は叶いそうにないけど、歴史が大きく動いた気がします

あとは北と東に攻め寄せる妖魔を蹴散らすだけです。


第四章 暗黒神降臨

★1〜3

獣の牙の援軍もあって東と北の門に押し寄せていた妖魔も撃退する事が出来ました。

リュースやディラントが妖魔相手に白兵戦するのは、何処となく「指輪物語」を彷彿とさせました(笑)

全然違うのにね、でもヴィジュアル的にはかなり近いと思う。

蟻の大群のようなおぞましい妖魔の群れを撃退する光景はさぞ壮観でしょう。


敗走する妖魔を暗黒騎士達が追撃するのですが、ここでまたも妖魔王がその人外の力を発揮します。

城壁よりも巨大な"ファイア・ウォール"を立てたのですよ、しかも大樹海から。

城壁が具体的に何メートルあるのかは分かりませんが、云十メートルあるのは間違いない。

厚さだって普通の"ファイアウォール"の数倍あるでしょう、しかし妖魔王はその城壁以上の炎の壁を出したのです。


本当に何百倍に拡大してるんだろう、しかも以前の"ウィンドボイス"と同じ距離であることを考えると総計は何千倍になるんだろう?(苦笑)

「クリスタニアRPG」では壁の正確な縦横厚みは分かりませんが、SWの"スピリットウォール"は10×3×0.5メートルでしたね。

騎士の大軍勢や森を一気に炎上させるぐらいだし、何千倍どころか何万倍かもしれない・・・・。


妖魔王の精神力は本当に凄いと思います、何万点あるんだろう。どの数値も文字通り桁外れですよ(苦笑)

魔力の塔だってこんな莫大な力を供給しきれるか怪しいものです。

ファーラムの剣の消費する魔力の量が原因で魔力の塔は壊れたわけですし。

過剰な魔力の供給は原子炉におけるメルトダウンのような大惨事に繋がるんでしょうね。


戦ったら普通に勝てないと思いますよ、下手したら魔神王よりも怖い。

妖魔王がこの力で持って"シェイド"を使えば魔神王ですら陥落するかもしれない(笑)

で、リュース達はこの化け物からラバンを護衛しなければいけないんですよね。

正直言って、護衛なんていてもいなくても一緒だとおもうんですけどね。

本当にどうやって封印出来たんだろう、それが凄い知りたい。


妖魔王が待ち受ける大樹海はリプレイでも出てきましたが、所謂水没ジャングルというやつです。

富士の樹海のような森ではなく、雨季に降り注いだ大量の雨水のせいで密林が水に浸かった状態なんですね。

だから奥に進むためにはカヌーも必要だったりします、なんか「川口浩探検シリーズ」みたいですね(笑)

「ベルディア大樹海の奥に幻の妖魔王を追え!!」ドギャーン(効果音)

これじゃあ妖魔王が原人みたいな扱いになってしまう。勿論主演:リュースです。ええ、演じてますとも


妖魔王はその密林の中心、黄金樹のある所にいます。

前に"世界樹の不肖の息子"なんてのが出てきましたが、黄金樹の方が遥かにメジャーですよね。

大きな森の中心には大抵黄金樹があり、エルフやダークエルフが守ってたりしますね。

前にアシュラム様は海底の黄金樹を伐採したりしてましたよね。

でも、そういう事するとその周辺の植生が大きく狂うのでなるべく避けたい。


逝く行くのはリュース・アロート・リヴリア・シロフォノ・ティオシー、そしてラバンとグンナークです。

リプレイではネージュにサーバル、アスファとかも来たんですけどね。

今回アスファは見送りだけでお留守番ですよ、リプレイでは一緒に来てくれたのに。

まぁラバンの"パージ"だけが頼りだし、それに犠牲は少ない方がいいかな?(縁起悪)


出陣前のリュースとラバンの会話が何か好きです、孫とお爺ちゃんみたいで(笑)

リュースの祖父は既に他界してますが、リュースってなんとなくお爺ちゃん子って気がします。

妖魔王と戦えば勝っても負けてもお別れだし、なんか気は合うみたいで微笑ましい。

妖魔王はクリスタニア創世記から封印し続けて未だに浄化し切れなかったわけだし。

今から"パージ"したらやっぱり云千年かかるんでしょうね。


グンナークの参加はリプレイでもありました、でもリプレイでは突然出てきたNPCでした。

ただのチョイキャラだったのに、小説になった事で一気にメインキャラに昇格したんですよね。

妖魔王を王に戴くなんて途方もないこと言い出しましたが、彼なりに理想を追求した末の判断なのです。


でも彼には迷いが生じています、既に獣の牙との同盟は確定だし、妖魔王はなんかヤバイし。

妖魔王は容赦なく帝都や住民たちを蹂躙しようとしてました、やはり人の心を解さない妖魔では人の王は向かないんじゃないですかね。

支配は出来るかもしれない、でもそれは暗黒の民を守護しうる支配なのか?

有効とあれば多くの犠牲者を出しても眉一つ動かさないでしょうし、だったらディラントの方がいいんじゃないかな。


グンナークは言いました、ディラントは平凡な英雄に過ぎないと。

結果を残したからこそ与えられる呼称である英雄に平凡というのは変な気もしますが、なんとなく分かる気がします。

SW的にいうならば超英雄キャラではない、とGMに判断されちゃいそうな英雄ってことですかね。


リジャールもそうですね、彼自身は間違いなく英雄だけど、超英雄ではない。

ベルドやファーン、カシュー、アシュラム、パーンのような超英雄にある圧倒的カリスマがないというのも分からないでもない。

でも別に王が超英雄である必要はありませんよね、妖魔王だって超英雄キャラっぽいけど王としては疑問なわけですし。

誰が王であれどんな政治体形であれ、民が一人でも多く幸せでいられるなら、その国は良い国だと思いますよ。

世の中殺されそうになってまで逃げ出したくなる国も存在するんです、それに比べてもベルディアは良い部類に入るでしょう。


グンナークが同行するのはそのディラントの提案なんですが、結構賭けですよね。

あくまでも彼が妖魔王につこうとしたらリュース達が危ないし。

まぁ、その辺も分かっててディラントは言ってるんでしょうけどね。

でもグンナークがいなかったら全滅してたっぽかったので、ディラントの提案は良い方に働きました。


大樹海の戦いは呆気なく済みました、まともに戦ったのは黒エルフ×3だけだし。

無謀と慢心の"ヴァルキリー・ジャベリン"を普通に使ってくる相手でしたたけど、癒し手がいれば即死しない限り大丈夫。

グンナークは10レベルの闇司祭ですしね、やはり強力ですよ。"サモンインセクト"とか"マインド・ブラスト"とか使ってたし。


"サモンインセクト"はクリスタニアにはないけど、「ロードス島RPG」とかSWにはありますね。

SWでは6レベルの虫に集られる嫌な魔法です、生理的にも肉体的にもかなり痛い(笑)

「ロードス島RPG」では虫に食われて穴だらけになる魔法でしたが、SWでは色々なバリエーションがあります。


"マインドブラスト"は"メンタルアタック"の上位呪文です、精神点にダメージがいく嫌らしい魔法です。

"メンタルアタック"はSWにもありますね。SWでは1レベル、クリスタニアでは2レベルの基本的な魔法です。

ダメージの処理はSWとクリスタニアではかなり違います。クリスタニアの方はイメージとしては"シェイド"に近い。

ダメージは精々"ヒール"ぐらいですよ、SWでいうところの"キュアー・ウーンズ"的な威力。


でも"マインドブラスト"は結構強力、5レベルなんですが範囲魔法だしダメ−ジは2D10+レベル点

これはクリスタニアでは"ライトニング"や"シュートアロー"に相当します、SWだったら打撃力20ってところですね。

一応抵抗に成功すれば効果消滅ですけど、一度に複数の精神点を削れるのはちょっと気持ち良さそう。

SWで再現したら結構怖い魔法になるかもしれない。


リプレイでは各種妖魔や妖精の上位種・最上位種と派手にドンパチしたんですけど、出番なし

人魚を言い包めるシロフォノとか見たかったのに(笑)

あの時出てきた連中って妖魔王の警護をするだけにレベルが高かったんですよね。

マーメイドクィーンとかグレムリンウィングリーダーは上位種、コボルトハイチーフやゴブリンハイロードは最上位種であろうと思われます。

コボルトチーフやゴブリンロードを上位種と考えるとそうなりますかね、構図としては分かりやすくて美しい(笑)


でもラバンが樹に捕まって"パージ"出来ずに万事休すというシチュエーションはリプレイと一緒。

樹とは言ってもリプレイではバンパイアルートだったけど、小説では妖魔王操る黄金樹でした。

バンパイアルートは吸血の樹です、大して強い相手ではありません。

黄金樹を動かしたのはこれまたクリスタニアにはない"コントロール・プラント"でしょうかね。

あるいは"バインディング"かな、黄金樹を動かすとなるとエントの力を借りてそうだから"コントロ−ル・プラント"っぽいけど。


ここでグンナークが一つの選択肢を提供します、ファラリスを降臨させ妖魔王を妖精界に送還するというものです。

凄い事言ってます、でも可能でしょうね。妖魔王を召喚したのはファラリスですし。

ここで妖魔王が配下のゴブリン達に並々ならぬ優しさを見せました、ちょっと意外ですが彼にもそういう心はあるんですね。

手下の妖魔達を置いて一人妖精界に帰る訳にはいかないという、責任感溢れる態度でした。

でもゴブの方も妖魔王が帰るように訴えたりしてましたよ、なんか主従の絆を見せつけられました(苦笑)


妖魔王の方はそれで承諾しました、つまり戦いは回避出来るのです。

あとは生贄ですね、闇の神の"コールゴッド"は術者ではなく他の生贄に神を降ろせますから。

そして神の器となった者はその圧倒的な圧力に耐え切れず、魂が砕けてしまうのです。

アシュラム様はその状態で300年以上戦ってますが、あれは異常です。普通じゃありませんから(苦笑)


でもここで気になる事を言ってるんですよ、納得いかないと言うかなんと言うか・・・・。

グンナーク「神の器となった者は《蘇生》の奇跡をもってしても生き返れぬ」

《蘇生》の奇跡というのは"リザレクション"ですね。これはいいんですよ、問題は次。

グンナーク「魂さえも砕け散り、存在そのものが失われてしまう。我々の記憶の中からも消え去ってしまうのだ

ちょっと待ってください、記憶から消えるって・・・・そんな副作用ありましたっけ?


SWでは普通にありえません。例え神が降りようと本人の魂が砕けるだけで、皆の記憶が消えるわけではありません。

もしかして"パージ"と混同してませんかね。あれは存在そのものを無に帰すから居なかったことになって記憶から消えるんです。

魂が砕けるだけで記憶からも消える、それじゃあ"コールゴッド"で神が降りた司祭や生贄を覚えている者はいないことになりますよ。

別に"パージ"同様に存在が無に帰すようなニュアンスは含まれてないし、どうなってるんだろう?


ここでラバンが生贄に志願するんですよね、リュースとの会話が胸に深く突き刺さります。

ラバン「若き承認者よ、わしの意思を承認してくれ」

リュース「嫌だ!」

こうかくとリュースが駄々っ子みたいですが、実際はもっと逼迫した状態です。


リュースは「封印伝説」の時に目の前で犠牲になる人を放っておけなかったからレードン達を承認したんですよね。

だからここでラバンを承認したら、自分の信条に反すると思っています。

ラバン「わしの意思を無視することこそ、承認者として大きな過ちではないか

承認者が承認するのは何処までいっても意思なのですよ、具体的な内容や事実ではありません。

未来のクリスタニアの礎になろうというラバンを承認しないなんて、承認者として失格なんです。


リュース「礎の部族の古き長よ。汝の願いは承認された

こうして暗黒神ファラリスは降臨し、妖魔王は故郷へ帰ったのです。

あのまま封印されていたら妖魔王の魂が失われていました、ある意味では宿命なのかもしれません。

SWでは闇の神の"コールゴッド"は接続時間が永続なんですけど、クリスタニアでは一時的なものです。


こうしてベルディアの脅威は少し減りました。

でも妖魔はクリスタニア大陸中に分布し、解放された混沌同様脅威となるでしょう

神獣の民と暗黒の民は正式に同盟に調印し、"裏切りの大地"と言われたベルディアは再びクリスタニアと一つになりました。

長い長い間続いた両民族の戦争は取り合えず終わったのです、思えば多くの犠牲を出しましたけどね。


レードンはこの事を知ったらどう思うでしょうね、彼がクリスタニアに来てからもう20年以上経ちますけど。

あと、これでリュースは獣の牙ベルディア砦初代団長となったのです。

勿論あとの4人は幹部、つまり百人隊長として長い付き合いになっていきます。


これで神獣の民・暗黒の民・新しき民が混沌や妖魔を相手にするという構図になるんですね。

同じクリスタニアに生きる民と民との争いは、一応終わったのです。

で次の事件は魔法王国からの来訪者が相手になります、リュース達の戦いは「クリスタニア傭兵伝説序章」に続きます。





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