「死せる神の島(下)」原案:安田均 著:下村家恵子 出版社:富士見書房

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間章 死者の鼓動

冒頭にある「古えの竜の詩」は、上巻で頻繁に出てきた眠れる竜こと神狩りの竜の由来を著しています。

かつて神々が光と闇の陣営に別れて繰り広げた神々の大戦には、神以外にも人間や妖精をはじめ多くの種族が参加していました。

当時の各種族はそれぞれがより魔法的な存在であり、その子孫である現行の種族と比較して上位種と呼ばれるような力の持ち主ばかりでした。

しかしその戦いは双方に多大な犠牲を出しました。ある者は滅び、ある者は衰え、ある者は眠りにつき、神ですら中立神を除いて肉体を失います。


残された種族が群雄割拠する暗黒時代の中で、多くの種族は魔法的に退化していきます。無限に生きるハイエルフが定命の運命になるように。

様々な種族による国が乱立する中で、神の姿に似せて創られた人間は魔法の力を使って生き、ついにはカストゥール王国を建国します。

最初こそ決して強くはなかったカストゥール王国ですが、無限の魔力を手に入れたことで一気に勢力を拡大します。

やがて彼らは魔術は至上の物と考え、自分達以外の存在は見下すようになります。神や竜ですら見下すほどに傲慢になります。


ついには彼らは善悪関係なく神や竜を滅ぼすようになります。その事業に使ったのが神狩りの竜でした。

神は一般に神々の大戦で皆肉体を失ったと言われていますが、ミルリーフのように衰えたが肉体は失わなかった神がいたのかもしれない。

また精霊といえば自然を司る存在であり、精霊界に彼らがいるからこそ物質界で力が正しく運用される。正に自然そのものです。

それを支配するのはまだしも滅ぼす事は愚かとしか言えませんが、もしかしたら精霊とは違う強大な霊が存在したのかもしれない。

神狩りの竜がどの程度に使われたのかは分かりませんが、それによって滅ぼされた存在は少なからずいたでしょう。


その神狩りの竜は今も存在し、カーン砂漠に逃れた王国の末裔達によって召喚する事が可能です。

そして今正にその力が必要になる時がやってきました。海の邪神ミルリーフが蘇り、世界に死を振りまこうとしているのですから。

その為には竜を召喚するのに必要な7本腕の神像を取り戻さねばなりません。神像を守っていた部族が滅ぼされて略奪された物ですしね。


神像は今「奇跡の店」のオヤジさんが所有しています。既に弓・槌・曲刀・斧に続き短い槍まで手に入れています。あと2つですね。

複数の手練と思われる砂漠の民は音もなく店に侵入し、神像を取り戻します。彼らにとっては武器を集めてくれた事は好都合だったでしょう。

この時何かを感じたのかオヤジさんが起きて覗き穴から見ていたのですが、相手が砂漠の民であると知って身の竦む思いをしていました。

砂漠の民の噂は決してよくない。もし見つかったら口封じに殺されないとも限りません。多分オヤジさんは戦闘はできないでしょうし。


結局彼らはオヤジさんに気づく事無く店を去ります。この時バート達が持ち帰った砂漠のファルシオンも一緒に持っていきました。

バート達はあのドサクサに紛れてこのファルシオンをお土産に確保していたようです。何故これがこんな所にあるのかと不思議に思ったでしょうね。

元手のかかっている神像を持っていかれたのは災難でしたが、命は助かったのだから良かった。オヤジさんはこの事をバート達に知らせます。

これで彼らは神像を取り戻しました。残りの持物を集めて儀式を行えば、神狩りの竜がこの物質界に戻ってくる。恐らくは数百年ぶりに。


その頃神狩りの竜は突如強くなった呼び声古の記憶を蘇らせていました。かつての戦いの記憶を。神や精霊と戦った記憶でしょう。

今の彼は物質界ではない場所にいる為に、物質界では当然受けるような様々な事とは無縁に存在しているようです。

まずはです。彼は自分の物質の翼で風を受けて飛ぶ事を今から楽しみにしています。裏を返せば今彼はそれができない状態なのです。

そして感情です。今の彼は怒りや苦しみといったものを感じる事ができないらしい。それは単純に対象がいないからではないでしょうか。


彼が物質界ではない場所、恐らくはカストゥールの魔術師達によって封印された格納庫のような異空間にいるんでしょう。

元来物質界で起きる様々な自然現象は、精霊界から妖精界を介して精霊力が正しく送られるから生じる筈です。

ここが魔法的な、それこそ精霊界のような精神的な世界であるならば、物質的な感覚は楽しめないのかもしれませんね。


そして何よりも気になったのがこの一文。「魔法使いたちの魔力を全身に受け止め」という文です。

彼が古竜なのか古竜王なのかは分かりませんが、彼は普通の生物のように独立した存在ではなく、魔法の供給を受けて動くようです。

例えば同じカストゥールの竜でも五色の魔竜は皆支配されてこそいましたが、別に魔法の支援を受けてなんていませんでした。

最初から魔力の供給がないといけない竜なのか、それとも彼の力を底上げする目的で供給されてるのか。はたまた何か別の理由があるのか。


いずれにしろ彼は物質界に存在している他の竜とは少し違う存在と思えてならない。Q&Aでも正体は謎だとしか分かりませんしね。

神と戦う以上はただの老竜とは思えません。マイセンやシューティングスターのような古竜だとしても、相当位の高い竜でしょう。

もし古竜王だとすると大発見ですね。現在はクリスタニアで封印されてる"百の目を持つ"竜王アルゴスしか確認されてませんし。

あるいは彼は魔法によって作られた竜のコピーなのかもしれないし、魔法で改造された竜なのかもしれない。もう何でもありです。

魔力さえ十分ならばカストゥールの魔術は神ですら服従させる事が可能らしいんで、彼がどんなに特別な存在でも不思議はない。


第一章 死者の神殿

今回の冒険はPC/SFCでいう「大当たりの井戸掘り」です。順番からすると「落星のダンジョン」や「異端の迷宮神殿」の次のシナリオです。

ミルリーフが復活してしまった後の話です。井戸の底の調査という依頼を受け、ミード湖の底に行ってみるとミルリーフ神殿があるのです。

ゲームではこの時点でも生きているソグランがミルリーフの魂を回復させようとしているので、それを追い出せばクリアです。


しかしこの小説版では下巻からゲームのシナリオとは別の演出をするようになっていって、必ずしもゲームの展開は当てはまりません。

現に今この神殿にいるのはソグランではなくリザンなのですから。しかも事件の規模もミード全体に及んでいます。

それにゲームでは肩の力を抜くようなシナリオかと思いきや、実はそこにミルリーフがいるというギャップがありました。

しかし小説では最初からそれを承知の上でバート達はここにやって来ています。どんどん重く、今まで以上にシリアスになっていきます。


ミード湖は西にあるエア湖に次いで大きい、大陸第二の湖です。レックス建造の土砂の跡がこの湖だというのだからスケールがデカイ。

その畔にあるミード村は湖で漁を行い、旅人も通る活気のある村でした。しかし現在のミードは地獄でした。生者より死者の方が多い


ミルリーフがリザンと共にこの湖の湖底神殿に留まり、水の精霊力を食らい尽くしたので魚も全滅しています。

またミルリーフの力を取り戻そうと、周辺の住民や旅人を死者に襲わせ、生贄やアンデッドにしているのです。村はさながらゴーストタウン。

多くの人々が死者に襲われれその犠牲となり、今は少数の冒険者や傭兵達が肩を寄せ合って応戦していますが、それもいつまで持つか。

死者が生者を襲い新たな死者とする。これだとミルリーフの手駒は加速度的に増える筈。まるでロードスのカーディス教団のような戦略です。


リザンを欠いたバート達4人もここに来ていました。バートは弟に辿り着けず苛立ちを覚えていますが、焦っても何もできやしない。

なおバート達は魔術師ギルドのバレンとも会っています。この前の冒険で受けた呪いを解除するのが縁だったらしい。

その呪いは封印を解除した者に降りかかるものだったそうですが、マーファ神殿でも駄目でギルドに回されたらしい。

まさかその呪いというのはあのマミーの呪いでしょうか。マミーの呪いは能力値の減少が回復しないというものですけど。

しかし呪いというのは神聖魔法の"リムーブ・カース"の出番であって、ギルドは関係ないと思う。まさか"パーフェクト・キャンセレーション"?


その日もバート達の仲間の傭兵が人知れず殺され、死者の仲間入りをしました。しかもそれをやったのがあのリザンです。

今のリザンはエルドースの魔術と知識、そしてミルリーフの奇跡の2つの力を持っていて、以前とは比較にならないほど強い。


リザンはウェブという馬型の生物を乗り物としています。金色の目、顔には鱗が生え、眉間から首筋へヒレが生えています。

こいつはどうも混沌界から召喚した混沌のようです。混沌であるから、物質界の法則が通用しないような所が多い。

例えば水の上に立つ事ができるし、空を飛ぶ事もできる。でもこれは多分魔法とかではない。呼吸をするように自然に行える事だと思います。

混沌界、あるいは夢幻界と呼ばれる世界についてはクリスタニアが詳しい。「漂流伝説」では直接行ったりしてますし。


ウェブに乗ったリザンはその傭兵と話をしようとしたんですが、攻撃されたのでウェブは反撃し、蹄で頭蓋骨を粉砕して即死させます。

見かけ通りにやたら強いですね。モンスターレベルにして6以上は確実にあるような化物でしょう。

倒れてしまった男の死体は、まだ使えそうだからという理由でリザンの合図でゾンビとなってその後に従います。

すっかりミルリーフの力を使いこなしている、いや力に使われているといった感じがするんですよ。今のリザンはミルリーフの便利な小間使いです。


バートはすっかり焦っていました。弟のリザンがあんな事になって、何とかしたいのにどうにもできない苛立ちです。

そんな時に彼らが立て篭もってる「冒険者の店」のオヤジから、湖の底に神殿が見えるという話を聞きました。

その神殿は空気の玉に包まれていて、船や骨の絵が描かれている神殿だと言うのです。それじゃあミルリーフだと決まったようなものです。

司祭らしき男がその湖に出入りしてるというので、バートはそこにリザンがいるのだと予想し、1人で行こうとしました。相変わらず無茶です。


夜の闇に紛れ、1人で行こうとしたらそこに仲間の1人であるルークスという盗賊が声をかけてきます。

確か彼もゲームに登場する仲間PCでしたよね。今回はレギュラーメンバーが欠席するので、その穴埋めに他にもそれらしき人がいます。

何を思ったのか彼もバートと一緒に行こうというのです。バートを心配してくれたのか、ただの好奇心か。


しかしバートをシラルムが阻みました。1人で行くなんて自殺行為ですからね。シラルムはいつもの軟派さが一切ない顔で引き止めます。

リザンが心配なのは当然です。でも援軍もなしに1人で突っ込んで死んだら、それこそ誰がリザンを助けるのかと。

最後には平手までします。シラルムも今回ばかりは本気です。体を張ってまで止めてくれる仲間なんてそうはいませんよね。


危うく喧嘩になりかけますが、そこで店の方で騒ぎが起きたので棚上げになりました。

それは別の場所にいる仲間からの連絡でした。使い魔のフクロウが窓をぶち破って緊急を知らせに来たのです。そんな事すると本人も痛い。

魔術師と使い魔の精神のコネクトは半径1kmまでですから、割と近くにいるんですね。戦闘をしてるなら間に合うか微妙ですが。


深い霧の中、バート達は湖で戦っているらしい仲間の所へ急行します。湖から湧いてくるこの霧は多分ミルリーフによるものでしょう。

深い霧の中徘徊する死者……なんてバイオハザードな雰囲気なんでしょう。最後には彼らの立て篭もった家にゾンビが押し寄せる、とか(笑)

バートは深い霧の中だったので、ガラード達とはぐれてしまいました。霧ですから、暗視も赤外線視も役に立たないでしょうからね。


気づいてみるとバートはミード湖に突っ込んでいました。水の精霊力が失われたせいか粘っていて、既にここもミルリーフの領域

バートが1人になると、予想通り湖の中から大量の死者が湧いてきます。弱いゾンビやスケルトンも大量にいると流石に厄介です。

水上なら連中も多分行動のペナルティーは受けるでしょうが、数は脅威です。群れで襲い掛かられて引きずり込まれたら助かりませんね。

死者の姿はおぞましい限りなんですが、既に推定5レベル戦士となっているバートの敵ではない(所詮2レベル)。蹴散らして進みます。

その先で1人の傭兵が死者に群がられて水中に引きずり込まれたりしてました。こうして彼もミルリーフの軍団に入るんですね……。


しかしそこにはバートの捜し求めていた人の姿がありました。ウェブに跨ったリザンがいたのです。すっかり死者を自由に操っています。

バートはリザンを連れ戻そうと必死に呼びかけますが、聞きやしません。これからも多くの人を殺すと、何の躊躇いもない様子です。

でもバートは殺しません。そこまで踏み切れないのか、戦わずに逃がそうとします。完全に心がぶっ壊れている訳ではないんですね。


バート「リザン……あんなに優しかったお前がどうして?」

リザン「優しい?そうじゃない、弱かったのさ。僕が他のものを傷つけるのが嫌だったのは、自分が傷つけられるのが嫌だったからだ。
    他者に優しかったのは、自分に優しくしてもらいたかったからだ。すべては他人にたよらなくてはならない僕の弱さが原因だったんだ」

別にそれは悪くはない。誰だって本心では傷つけられたくないし、優しくされたいに決まっている。また他者と交わらずには生きられない

それが弱さだとするならば、人である以上誰もが弱者です。力を求めるのも自然な事です、誰でも少なからず持つ欲求でしょう。

リザンの場合は人より少しコンプレックスが大きかっただけですよ。もっともそれで非常に危険な存在に頼ってしまいましたが。

このままでは今はいいかもしれないけど、その結末は決して幸福なものではないと思えてならない。だからバートも必死なんですよ。


しかしバートがどんなに説得してもリザンは聞く耳を持たず、援軍も来たのでウェブと共に湖の底に潜ってしまいました。

今まではバートも何処か現実味を欠いていました。リザンがそんな事をする筈がない、何かの間違いであると感じていたでしょう。

でもこれでリザンがミルリーフの走狗になり、多くの人を殺めた事を否定できなくなりました。あまりにも残酷な現実


今回の戦いの死者を埋葬する時は火葬でも土葬でもなく、死体を切り刻みます。それ以外方法がないんですよ。

土葬にすればミルリーフに操られないとも限らないし、火葬にするほどの薪すらないんです。残った手段は死体としても役に立たなくするだけ。

もしここに"レクイエム"を歌えるバードがいればアンデッド化を予防でき、土葬でも問題ないんですけどね。ちなみにプラムは使えない。


残った仲間はたったの13人。もう守る戦力すらないので、バート達は例の湖底神殿に乗り込む事にしました。

この時シラルムとプラムを含む6人はオランへ帰ります。バートやガラード、ルークスや店のオヤジや女戦士のエリディンなど7人は神殿です。

何でプラムをオランに戻すのかがよく分かりませんね。まさか足手まといだとか、危険だからだとか、そういう理由なんでしょうか。

どうも皆はプラムを人間の子供扱いしてるような気がします。また彼女もグラスランナーのお気楽・楽勝な雰囲気がなく、子供っぽいと思う。

結局シラルムが一緒に行く事にして宥めてるし。グラスランナーはそんな繊細な種族ではないのですが、彼女はちょっと特別な気がする。


バートは神殿へ向かう途中、ガラードに「今度シラルムに会ったら、俺が"すまなかった"といってたってつたえてくれるかな?」と弱気でした。

バートもシラルムの気持ちは分かっていたんですよ。ただリザンが大切だから、頭に血が上ってただけ。

それにしてもバートらしくない弱気な発言です。今まではどんな相手も根性で乗り切ったくせに、今回ばかりは彼も堪えているようです。


リザンは湖底神殿を死者を使って修繕していました。ここはミルリーフの仮の住まいなので、別に修繕する必要なんてありません。

でもリザンは自分の"死人使い"の能力を訓練しているのです。死人どもに命令を与え、作業をさせて慣れようとしてるんです。

自室には神殿のマップがあり、その上を白い骨の欠片が動き回っています。これは各死者を表す駒なのです。変な所で凝り性です。

この駒が壊れるとそれは死者が壊された事を意味し、侵入者に気づくのです。バート達の侵入もこれで察知します。


ミルリーフは今や巨大な肉の塊となっています。かなりの数の人間をその血肉として吸収したようです。かなりグロテスク。

そんなミルリーフを見たら以前のリザンだったら吐いていたでしょうが、今ではむしろ酔っています。そのおぞましい姿すらも愛しい。

そのリザンへエルドースも辛辣な言葉をぶつけます。自分やミルリーフがいなければリザンは何の力もないとね。事実だけに痛い。

するとリザンは目を水色に光らせ、エルドースを思念で捻ります。一種のサイコキネシスみたいなものでしょうか。これもミルリーフの力?


エルドースのようなマジックアイテムには本来《形状保持》《品質保持》の魔力がかけられ、永い時を経ても劣化しないようになってます。

普通は壊れたりしないのですが、ものによっては本気で壊そうと思えば壊れる事もあるらしい。完璧に永遠不滅ではないんです。

この杖はエルドース自身ですから、それなりの業物の筈です。カーラのサークレットもそうですが、自分自身なんですからね。

でも強大なミルリーフの力をもってすれば破壊する事も可能かもしれない。実際エルドースは歪まされて思念が弱まったし。

しかしリザンがエルドースの言葉にカッとなったのは、自分自身でもそれを認めている証です。急所突かれて逆切れとは、やはり弱い。


一方バート達は死者をぶっ壊しながら神殿へ向かっていました。彼らの前には侵入を察知したリザンが立ち塞がります。

この時ルークスはクロスボウでリザンを狙いましたが、既に暗黒魔法を習得しているリザンは"フォース"で撃墜してしまいます。

リザンはその際を組んでたんですが、暗黒魔法にその必要はない。この分だと砂漠の民が印を組んでたのも、彼らの謎魔法とは無関係かも。


後退するリザンを追って神殿へ向かうバートには、ルークスとエリディンが一緒でした。他の4人は神殿周りの護衛をする死者の相手です。

すると彼らの前に竜牙兵×2が立ち塞がります。見た目はスケルトンっぽいけど、強さは段違いです。何しろ5レベルありますから。

この竜牙兵はエリディンが相手をします。1体なんて一刀両断ですよ、彼女もかなり強いですね。クリティカルしまくったかな。


神殿へ乗り込んだバートとルークスの前には、今度はウェブが単体で立ち塞がります。魔法の援護なしでこいつと戦うのはキツイですね。

なにしろこいつは《通常武器無効》なのです。バートが父の形見のバッソーでシバいても傷一つつきやしません。なんて厄介な混沌でしょう。

それどころか逆にバッソーに噛み付く始末。しかもバッソーには馬の歯型までついていますよ。これは噛まれたら助からないでしょう。

攻撃手段が爪の生えた蹄噛みつきというのは判明しましたが、それ以外の攻撃的能力もあるかも。知れば知るほど奥が深い、それが混沌。


しかしバートの持っていた魔法のショートソードを突き立てられ、ウェブは人間のような悲鳴をあげて消えます。混沌界に戻った?

倒すと元いた世界に戻るような混沌なのか。でも消えてはいません。リザンがエルドースから得た召喚魔術?で呼び出せばまた出てくる。

エルドースは付与魔術師だから召喚魔術は専門外の筈ですが、専攻してる系統以外もある程度使えると思っていいでしょう。

あとこの辺りではバートのバスタードソードがグレートソードとコロコロ表記を変えていますね。両者は別物ですがね。


バートとルークスはその先の広間でミルリーフとリザンを発見します。ミルリーフの醜悪な姿にはバートも驚愕、これが普通の反応でしょう。

現在のミルリーフは魔法陣の上に乗っかってます。魔法陣のぐるりには8つの窪みがあり、それぞれに魔晶石が嵌められています。

この魔法陣こそはミルリーフを「真の神殿」へ運ぶ扉なのです。この神殿はオランやカゾブの沖合いの方にあるらしい。

リザンってば瞬間移動の魔法陣を用意できるほど腕を上げてるんですね。"テレポート"は7レベルなのに。それともこの神殿の設備の一つかな。


リザン「来るなといったのに……どうして僕を放っておいてくれないんだい?バート」

バート「放っておけやしない!俺はおまえを連れて帰るぞ」

リザン「なぜ?僕は満足している。生まれてこのかた、今ほど幸せだったことはない

すっかり自分の力に快感を覚えてるようです。今まででと比べても今ほど自信のありそうなリザンは見た事ないというぐらい。自信というか妄信?

本当ならミルリーフになんか頼らずにその自信を身に付けて欲しかったんですけどね。それにこんなにいい兄がいて幸せではなかったと?


その時バートはリザンの下げている護符(ペンダント?)に目をつけます。これを奪えば正気に戻るんじゃないかと。

バートはリザンの隙を突いてこの護符を奪いますが、正気に戻るどころか指輪を渡す際のビルボ(映画のアレね)の如く怒り狂います。

呆然とするバートにリザンはエネボルだか"ライトニング"だかをぶっ放ちますが、ルークスがバートを庇って傷を負います。

今リザンは殺る気満々でしたね。バートを本気で殺そうとしていた。既に護符なんて必要ないほどミルリーフの影響を受けている?


ルークスはバートにもう追うのは止めろと忠告します。お互いの為にももう関わるなと。これ以上追うとお互いタダじゃ済まないでしょうね。

リザンはミルリーフの支配を受けているのか。それともその力に心酔して心を変えてしまったのか。難しいところです。

ついにはバートは諦めてしまいます。もう自分の力ではどうにもならないのだと。……本当にバートらしくない。


その頃の神狩りの竜は、益々強まる呼びかけ冷たい流れを感じて苛立っていました。早くしないと手遅れになると、彼にも分かってるらしい。

今はツーレ達砂漠の民が必死に儀式を進めているのですが、まだ時間がかかる。彼にかけられた封印は随分と厳重なもののようです。


第二章 死者の船団

今回の冒険をゲームと強引に結びつけるならば「カーン砂漠へ」でしょうか。既に別物と言ってもいいんですけどね。

「奇跡の店」のオヤジから神像の武器のお使いを頼まれるのが導入です。しかし砂漠の民に神像を奪われるのです。この巻の冒頭がそうですね。

ゲームではそれから冒険者達はカーン砂漠へ行って神像を取り戻そうとします。しかし結局は諦めるしかありません。

砂漠の民が神像を使って何かをしようと動き出している、という事を示すシナリオです。そういう意味では小説も一緒です。


バート達より先にオランへ帰ってきたシラルムとプラムは「冒険者の店」にいました。しかし気分が優れない、仲間が心配で仕方ないのです。

お気楽なグラランのプラムは仲間を失う恐怖に怯え、軟派なシラルムも女の子に声をかける元気がない。いっそ一緒に残ればよかったのに。

特にプラムの怯えようは只事ではない。暗い場所に一人で置いていかれる、とシラルムに縋り付いています。なんか幼児退行が著しい。


目に見えない恐怖は厄介です。目の前の何かが怖いなら戦う事もできる、でも目の前にない不安や疑いが生み出す恐怖はどうにもならない。

シラルムにもそれがある。彼は長命なエルフですからね。寿命の関係で嫌でも仲間が先に死ぬ。そういう事が何度もあった。

だから仲間を失う恐怖や悲しみはよく知ってる筈です。またプラムも「立ち枯れの森」で仲間を失ってるんですよ。もしかしてそれかな?


それでも1日寝るとそこそこ元気になったりします。そこで店のマスターから、「奇跡の店」のオヤジに呼ばれていると伝えられます。

なんの用事かと顔を出すと、砂漠の民に神像を盗まれたと伝えられるのです。そして6つ目の持物も既に発見されているそうです。

この街のタディアスという商人が所有しています。通称イタチ。盗賊嫌いで有名で、オヤジさんと違って保護料も払ってない。

本人は盗賊避けの罠があるから大丈夫と高を括ってますが、オヤジさんは友人である彼が心配なので、シラルム達に護衛を頼みます。


それから2人は特にやる事もないのでタディアスの屋敷の下見に行きます。ここではガーランドという名前になってますけどね(笑)

タディアスの屋敷は予想以上に堅固でした。プラムの目から見ても盗賊嫌いが伝わってくるようで感心していましたよ。

川岸に留めてある船のもやい綱に鍵がついているぐらいです。何か嫌な事でもあったんでしょうか、偏執狂じみています。


そこでシラルムの目は2階に人影を見かけます。そう既に侵入してるんですよ、砂漠の民は。行動が早いのは焦っているからでしょうか。

シラルムはその影を確かめようと移動しますが、プラムは置いてけぼりを食います。置いていかないと行った矢先にこれか(苦笑)

このあとプラムにはとんだ災難が襲い掛かるのですが、先にシラルムの方を見てしまいましょう。


シラルムは屋敷を見渡している時に謎の人影に背後を取られます。実は彼は盗賊ギルドの人間でシアンといいます。

シラルムと同じく砂漠の民の警戒の為に張り込んでいたんですよ。そこにシラルムがきたものだから間違えて襲い掛かったんです。

でもすぐに誤解は解け、2人は協力して屋敷を見張る事にします。シアンが言うには、砂漠の民は棒一本で壁を越えたと言うのです。

それは棒高跳びの要領で越えたって事ですかね。完全版ルールブックにはちゃんと棒を使った高跳びがあるので、その技かな。


やがて3人の砂漠の民が屋敷から出てきます。物音一つ立てず、神像の持物が盗まれた事には家人は一切気づいていないようです。

かなりの手練なのは明らかです。それでもシラルムとシアンは彼らの不意をついて襲い掛かります。しかし彼らには謎の力があるようでした。

1人の砂漠の民に"バルキリー・ジャベリン"を使うと、当たる前に消えてしまったのです。魔法を使った様子はない、アイテムかな?


またシラルムは"トンネル"で足元に穴を開けて落っことすという技を使っていました。でもこれは完全版ではこれで倒す事はできない。

穴はゆっくり開くので、足元に穴が開いてもダメージはないんですよ。また抵抗ロールに成功するとその前に飛びのけるらしいし。

相手が来る前に穴を開けて、普通の落とし穴として落とすなら可能かな。上手く通ってくれるようなタイミングと工夫が必要ですが。

それで落ちたら10m×3点で30点ダメージですよ。こんなもの食らったら大怪我ですね。死ぬ可能性も大分高い。


これ以上戦うのは危険と見て、シラルムとシアンは2手に別れて逃走します。それでもしつこく砂漠の民は追ってきます。

なんと敏捷度18のシラルムの全力疾走に追いついてくるんですよ。かなりのスプリンターですね、この砂漠の民は。

シラルムは咄嗟に川に飛び込んで難を逃れました。そこまでして追跡しようとは思わなかったようです。シアンは助かったんだろうか。


一方取り残されたプラムは一隻の美しい船を発見しました。プラムは自らの好奇心の赴くがままに船に侵入します、グラランだから(笑)

実はこの船は砂漠の民の船なんですよ。非常に珍しい異国風の船で、彼らの独特の文化の産物でしょう。カストゥールの技術かも。

外装は革のように見えて金属的な硬度がある。甲板に上がる舵輪は固定されてるわ、船倉に下りる階段はないわ、実にイミテーションっぽい。


しかし決して飾りではないのです。目ざといプラムは奇妙な溝を発見し、踏む事で板が割れて階段状になる仕掛けだと気づきます。

踏んだ瞬間スポーンと抜けるのではなく、ゆっくりと展開していくという親切設計。カストゥールは技術面でも現代以上だったらしいし。

プラムは更に好奇心の赴くがままに船倉に下ります。そこにはパンや干し肉など、航海に必要な保存食があります。やはりこの船は本物です。


しかしプラムが気づいた時には、階段は収納されていたのです。自動で戻る以上は船倉にも階段を作る仕掛けがあると思いますけどね。

プラムは服にこすり付ける事で光るほたる石を持っていますが、やがてその光も消え、暗闇の中で独りぼっちです。……正夢だった?

プラム「シラルムーッ!助けてー!

好奇心の赴くがままに行動し、船倉に閉じ込められるとは………。グラランの好奇心も時には命取りになりますね。


それからプラムは寝ていました。図太いのか泣き疲れたのかは分かりません。起きた時には既に船は出港していました。

そんな心細い時に上に人の気配があったので、プラムは思いきって助けを求めます。自力ではどうにもならないから仕方ない。

しかしこの船が真っ当な人の船とは限らない。こんな面白技術を使った船を乗り回し、目立たないように停泊してる時点で怪しいですよね。

密輸船か海賊船かもしれない。下手したら殺される。殺されないまでも、海に投げられてサメのエサかもしれない(結果的に両方死ぬし)。


この船は砂漠の民の船ですからね。プラムがそれを知ったら、その可能性を更に意識してしまいそうです。

しかし彼らも今は忙しい。血を流すと神狩りの竜の儀式に支障をきたすし、海に投げてもミルリーフの力が増すだけです。

上で始末がどうのこうの言っているのでプラムは怯えていましたが、当分は殺されないらしい。当分以上になったら分かりませんが。

形的には密航ですからね、しかも海の上。シラルムだって流石に分からないでしょう。プラムはもう暫く不安な時を過ごさねばなりません。


その頃シラルムは帰還したバートとガラードと再会していました。再会したのは愛でたいけど、プラムが行方不明なので喜べません。

捜しに行こうとしたところで、魔術師ギルドから呼び出しを食らいます。プラムの事は店のマスターに任せて、3人はギルドに出頭します。


オランの魔術師ギルドは大陸でも最大級のもので、大陸でも最も高い(らしい)建物の三角塔によって成り立っています。

15層の塔が三角形の位置に配置されているとんでもないもので、その基部は地上2階・地下1階の建物となっています。

3つの塔はそれぞれ「真理の塔」「知識の塔」「魔術の塔」と呼ばれます。バート達が通されたのは入って左の「真理の塔」です。


「知識の塔」は魔術抜きで知識を求める賢者達の塔で、この塔の長は10レベル賢者の"知らぬことなき"クロードロットです。

「魔術の塔」は文字通り魔術を研究する魔術師達の塔で、この塔の長は"禁断の守護者"シルベラという高位の老女性魔術です。

「真理の塔」は会議や討論の場が用意されている塔です。ここには高位の魔術師・賢者の研究室があるのです。


バート達は「真理の塔」の6階の会議室っぽい所に通されます。そこにはギルドでも高位の人物が3人待っていました。

1人はバレンです。10レベル魔術師であり、大陸最強の冒険者パーティー"見つけるもの"のメンバーでもある。

もう1人は賢者のハルマです。残念ながら詳細は分かりませんが、クロードロット配下の十二人の賢者の1人であると思われます。

そして最後の一人は大物中の大物です。"大賢者にして至高の魔術師"マナ・ライです。超10レベル魔術師であり、魔術師ギルドの創設者。

大陸に2人しかいない超10レベルキャラの1人であり、その実力はロードスの六英雄の"荒野の賢者"ウォートにも勝るとも劣らないでしょう。

あとここではマナ・ライがオランの街を創ったと書かれていますが、これは誤りです。マナ・ライは100歳ちょい、オランはもっと歴史がある。


彼らの前には海の絵があります。しかしこれは絵ではなく、魔法によって見える現実の光景なのです。"遠見の水晶球"と似たようなものですね。

オランの南の海域を示していて、映像が動くと南西の海からやってくる幽霊船の大船団を映し出します。……とうとうミルリーフが動きだしたか。

その中には監獄島で見た黒いガレー船もあります。死者の船団が通りかかる船を襲い、仲間を増やしながら進軍してくるのです。

ミルリーフは海の神なので、都会ではなく人の目がつきにくい海洋上で勢力が発生する事が多い。そして気づいた時には大事件になるのです。


バレンが机の片隅にある魔晶石を使って映像を南西へ南西へ移動させると、黒い霞が世界を覆ってしまうのです。ミルリーフの力でしょう。

邪神だ何だと言われていますが、それでもミルリーフはなのです。人間なんかとは次元の違う力を持ってるのです。

幾柱の神々にはそれぞれの役割がある。それらは世界構築においては必要な存在です。そして人間にのみ都合のよい神はいないのです。

ミルリーフはその神格である"荒ぶる海の神にして死者の神"として、多くの命を摘み取っていくでしょう。このままではオランが戦場になる。


そこでオランは船団を出し、これを叩く事にしました。バート達はそれに同行するよう命令を受けに出頭させられたのです。

宮仕えでもない冒険者に命令をするのは筋違いだと思いますが、その先にリザンがいる事は間違いない。責任者とは言わないが関係者だし。

このまま放置すれば、遅かれ早かれリザンは誰かに討たれる。ならばいっそ自分が、とバートは逃げずに立ち向かう事にしたのです。


神狩りの竜は7つの和音が揃った事に歓喜していました。砂漠の民は7つの持物を集め、召喚の儀式を行っているのです。

これで彼は魔力が注がれ仮初の肉体を得るのです。それはもしかしたら、仮初の体で物質界に現れる魔神と同じかもしれません。

そして十分な魔力が吸い取れたら"門"が開かれる。"門"の先は海の邪神のいる場所です。数百年ぶりに彼はその役割を果たすのです。


第三章 死者の軍勢

今回からの冒険はゲームでいう「死者の島」です。所謂最終ステージであり、ミルリーフとの最後の戦いになります。

冒険者達は船に乗ってミルリーフの本拠地の島に乗り込み、ミルリーフを滅ぼせばクリア。正確にはアンデッド化したソグランをですが。

ミルリーフのデータも一応「シナリオ百本集」に載ってるんですが、「非常に強いモンスターなので数値では表せません」なんですよ(苦笑)

なんでもSFC版の攻略本にはデータが一部載ってるそうですが、べらぼうな数値だったそうで。いずれにしろ5レベルパーティーじゃ無理。

だからミルリーフは神狩りの竜に任せて、冒険者達はソグランとミルリーフのしもべ?とかを倒すんですよ。この"しもべ"は人型でデータは謎。


オランが出した戦船は全部で七隻。どの船にもオランの兵士や傭兵、魔術師や神官が乗っています。勿論バート、シラルム、ガラードも。

3人はそれぞれ魔法の鎧や盾を装備しています。バートは魔法の革鎧と盾を装備し、"エンチャント・ウェポン"のコモン・ルーンを嵌めてます。

シラルムは鎧ではなく丈の長い上着です。ガラードも魔法の鎧を手に入れました。海上戦なので金属鎧ではないと思う(挿絵では金属っぽいけど)。

ゲームではギルドから大量のアイテムを支給してくれたんですが、小説の場合は微妙。ていうか魔剣ぐらい貸してくれてもいいだろうに(笑)

本来ならば仲間全員で行くんですけど、諸々の事情で2人欠席。あとゲームではナイトウィンド一味もついてきますが、残念ながらいない。


バートは迷いを捨てようとしていました。このままではリザンはミルリーフに更に支配され、いずれは誰かに討たれる。

そうなるぐらいならいっそ自分の手で決着を着けてやるつもりです。ただいざリザンと対峙してもリザンを斬れる自信はない

一番いいのはリザンをミルリーフの支配から解放してやる事ですが、そもそも支配されてなかったらどうにもならない。

バートが本当に望んでいるのは、リザンを殺す事ではなく取り戻す事でしょう。殺し合いなんて本当は望んじゃいないに決まってます。


幽霊船との最初の戦闘は快勝でした。2対1だったし、ラムの一撃が決まった時点で相手の船の沈没は決まったようなものでした。

恐らくはこれらの幽霊船は6レベルのミルリーフの特殊暗黒魔法、"クリエイト・ゴーストシップ"によって創られたものです。

文字通り幽霊船を作る呪文であり、この呪文をかけると船はを幽霊船になる。そうなると本来の積載量以下の重量しかかけなければ沈まない

例え対象が沈没船でも難破船でも問題はありません。船底に穴が開いてても無問題?。ただし腐敗は進むので放っておくとドンドン腐る。

ただし船が原形を留めない程に変形すると、流石に沈むようですね。タイタニック号みたいに真っ二つになるともうアウトでしょう。


ミルリーフ司祭はこうして作った幽霊船に、スケルトンやゾンビといった下等なアンデッドを乗せるのです。

今回登場する幽霊船もそうです。どれもこれも死者を満載し、近づくとこっちに乗り移ってくるんですよ。骨のある連中です(骨だけに?)。

半分腐ってる船ならばラムの一撃でぶっ壊すのも楽ですね。船が新しいともっと頑丈で、死体は土左衛門風で色んな意味で嫌ですが(笑)

いっそ火をつけるとかした方が楽かもしれませんね。乗員の死者には"レクイエム"を"ウィンド・ボイス"で届ければ大分弱る筈。


バートは一段落着いた後、シラルムのアドバイス通りにもう少し楽に構えました。まだ先は長く、嫌でも結果を出す時はやってくるのだから。

辛い事や苦しい事は避けられない。それならばあれこれと詮索して怯えるよりも、楽に構えている方がマシですからね。


プラムは船が何処かに停泊した事を知りました。そして誰かが自分の所へやってくるのも。これからの自分を思うと不安でならない。

監禁されたままかもしれない、一思いに殺されるのかもしれない。縛られたまま何日も放置され、干からびて死ぬかもしれないと、想像力豊かです。

しかしそうはなりません。プラムの乗っていた船はツーレのいる大きな船に、神狩りの竜を召喚する儀式を行っている船と合流したのです。


プラムは幸運な事にマザイが助けてくれました。恩人を死なせるつもりはないからと、殺さないように計らってくれたんですよ。

暫くは窮屈な小部屋暮らしですが、ミルリーフさえ倒せばエレミアのシェイラの所ででも降ろしてくれるそうです。オランには寄らないらしい。

プラムは偶然にも今回の戦いの中心に潜り込んでしまったんですね。まぁマザイとしてはそこまで深く事情を話すつもりはないでしょうが。


バート達は出航から4日、幽霊船との戦いを繰り返していました。幸いまだ欠けた人数は少ないんですが、切りがないですね。

神官が多いから怪我は治るし、その神官の精神力も6時間寝れば回復する。一定のスパンがあるならかなり戦える筈です。

しかしこの日になってとうとうバート達の乗っていた船が沈没し、彼らは離れ離れになってしまうのでした。


その日も幽霊船の襲撃を受けたのですが、今度は敵の突撃を避けきれず、逆に船に大穴を空けられしまったのです。

シラルムが風の精霊に呼びかけて風を吹かせたりもしたんですが駄目でした。敵は自分達の船が沈む事は気にしませんからね。

それにしてもシラルムのやった事は呪文ではないですよね。呪文だとすると7レベルの"フルコントロール・スピリット"ぐらいしかないし。

それとも船を動かす程度の風なら、単純に精霊語で呼びかければ吹くのか。SWのルールはあくまでも世界の近似であるからそれもアリかと。


船が沈みそうになると、乗員達は幽霊船に乗り移ります。バートとガラードは同じ船ですが、シラルムは別の船に乗り込みました。

バートの方は甲板の死者を一掃すると、マストの根元にミルリーフの聖印が刻まれた板を発見し、怒りのあまり引っぺがします。

すると幽霊船が沈むのです。つまりこの紋章が"クリエイト・ゴーストシップ"と同じ効果を与えていただけなんでしょう。

本来の"クリエイト・ゴーストシップ"は6レベルの魔法ですから、そこまでの司祭がいないのか。いても労力を省きたかったんでしょう。

しかしバートは自分の怒りで同船していた多くの仲間を海に放り出してしまったんですね。やはり不用意な事はするものではないですね(苦笑)


しかし恐るべき事はこれからでした。シラルムの乗り移った方の船はオートで動き、仲間の船に激突してしまったのです。

多分死人が動か働いてしていたのではなく、船自体がミルリーフの魔力で動いていたんでしょう。元から操作なんて受けつかなったんです。

そのまま船は霧の彼方に消え去り、バートやガラードを初めとする多くの人々は海のど真ん中で置き去りにされてしまいました。

ガラードは板切れのビート板で必死に泳ぐんですが、元から泳ぎが苦手なドワーフだから大して泳げません。霧が濃くて他の人も見えないし。

このまま死者としてミルリーフの配下になったら洒落になりません。バートはガラードを押しながら、霧の彼方に見えた黒い影を目指します。


一方要領よく沈まない方の幽霊船に乗り込んだシラルムは、船が味方の船に突っ込む大混乱の中、例の紋章を発見していました。

シラルムはこの紋章を発見する際に不吉な気配を察知していました。また正体不明の能力が増えています。精霊使いってそこまで分かるのか?

バートと同じく紋章を引っぺがしますが、衝突は避けられずにやっぱり船は沈む。シラルム以下多くの仲間達は海に飛び込みました。


シラルムはこの海水には精霊の力があまり感じられないと言っていました。この辺の精霊力もミルリーフが食ったんでしょうか。

環境が悪いのに無理に精霊を呼び出すと精霊が狂う事がある。この状況で狂える精霊を呼び出すのはマズイので自粛します。

この辺にいたであろう様々な魚介類や、マーマンやシードラゴンのような海の種族はどうしてるやら。まさかそれもミルリーフの力に?

また霧の精霊とやらに呼びかける事もできないそうですが、そんな精霊がいるなんて初めて聞いた。随分レアな精霊なんでしょうね。


海を漂うシラルムはファリス神官のクルドと知り合いになりました。ファリスだけど随分とリベラルで気さくな人で、好感が持てる。

救助を待つ2人でしたが、どんなに待ってもそんなもの来やしません。仕方なく側を通りかかった例の黒いガレー船をシージャックします。

船に乗り込む際は"ウォーター・ウォーキング"で足場を固め、オールにしがみ付きます。漕ぎ手はスケルトンズなので重くなっても気にしない。

この時足場が微妙に柔らかいのが怖かったです。やはり水の精霊力が弱っているんですね。もしかしたら持続時間が短くなってるかも。


船に乗り込んだシラルムとクルドは、そこで黙々と働くスケルトンズを見ました。オール1つに3体がついています。疲労しないから都合がいい。

彼らは甲板にある伝声管越しに命令するとその通りに動きます。「微速前進」とか「漕ぎ方やめ」とかいうファジーな命令でも従いますよ。

スケルトンの知性は「命令を聞く」なので、そんな微妙な加減ができるか疑問ですけどね。あるいはそういう魔力のある伝声管なのか。


この船が何をしてるかというと、乗り込んでいるミルリーフ司祭が死体を引き上げているのです。当然ミルリーフへの生贄でしょう。

人目のない海のど真ん中にきたのはいいけど、そうなると今度は生贄を集めるだけでも大変です。そういう意味でオラン軍は都合がよかった。

しかしその司祭もシラルムの"バルキリー・ジャベリン"を受けて死亡。襲い掛かるスケルトンはクルドの"ホーリー・ライト"もあって全滅。

シージャックに成功したシラルムとクルドは、海を漂う生存者を救助して回ります。しかし助けられたのはたったの26人、もっといたのに……。


……という一連の様子をマナ・ライ達が見ていました。海はミルリーフの領域。そこにこっちから入るのは無謀だったようです。

海の上では船しか足がありませんからね。それをやられたらいかに戦力があってもどうにもなりません。所詮人間は陸上の生き物なのです。

ここでバレンは自分が行くのだと言い出します。船で行くつもりのようですが、この映像から"テレポート"じゃ駄目なんでしょうかね?

バレンがきたら幽霊船はどうにでもなりますね。"メテオ・ストライク"でも落としまくればそれで終わる。5点魔晶石なんて安いもの。


しかしバレンは導師なので、冒険者であった頃のように自由には動けません。ここで"見つけるもの"が出てくるともうバート達の出番もないし(笑)

次の出陣は王の判断を仰いで1週間ぐらい。その間は幽霊船団が上陸するであろう場所に軍を派遣し、二次船団の様々な準備をするのです。

国のしがらみというのは面倒なものです。さっさとバレン達を送り出せばそれで大分違うのに。バート達の出番はなくなるけどね


神狩りの竜はついに肉体を得ていました。という事は今までは肉体がなかったという事でしょうか。相変わらず謎の多い竜です。

神々しく輝く純白の体にはまだまだ魔力が送り込まれてきます。あとは"門"を開くだけ。砂漠の民も最後の追い込みをかけている筈です。


第四章 死者の島

マザイに保護されたプラムは退屈の極みにいました。グラスランナーに忍耐という物は無い。彼らはとても行動的な種族なのです。

しかしもし脱走して見つかったらマザイだって庇いきれないし、下手したら彼の立場を悪くする。それは流石に恩知らずです。

それにツーレやラテリアとも無関係を装う必要がある。そうしないとプラム達の命が危ないんです。ツーレやラテリアも恩人相手に心苦しい筈。


あらゆる意味で大人しくしているべきだという結論が出ているのですが、例の神狩りの竜の儀式の詠唱や香の匂いが気になって仕方ない。

そこでプラムは暇潰しに通風孔らしき場所を見つけ、暇潰しで格子をいじくって全部外します。いやそれは故意でしょう(苦笑)

そして好奇心を押さえきれず、中に入って船内を移動するのです。ついこの前それで怖い目に遭ったのを忘れてます、学習しろ(笑)


通風孔に入ったプラムは神狩りの竜の召喚の儀式を覗きます。またよりにもよって最もヤバイ物をピンポイントで見つけるんだから。

奇妙な香を焚き、丈の長いローブを着た10人ほどの呪術師が円陣を組んで何か詠唱しています。そして円陣の中心にはあの神像

そこにはツーレとラテリア、そしてマザイの姿もあります。久しぶりの再会ですが、流石にそこで「やっほー!」とか声をかけるほど短慮ではない。

でも部屋を出た彼らが気になって通風孔の中で追跡します。流石は敏捷度の化物グラスランナー、奇しくもその盗賊としての技術は一流です。


やがてラテリアは1人で私室らしき部屋に入ります。プラムは不意に両手で顔を覆った彼女が心配になり、乗り出すと音を出して気づかれます

ラテリアはそれはもう驚いたでしょう。そこで彼女の声を心配した兵士が入ってきますが、咄嗟に機転を利かせてプラムを匿ってくれます。

こうしてラテリアと再会したプラムはツーレやマザイとも顔を会わせます。こんな形でなければ会えないのは残念でならない。


ラテリアは再会を喜んでくれましたし、ツーレも全てが終わったら送り帰すつもりです。マザイもお咎めなし、むしろよくやった

プラムがマザイに謝罪とお礼を言うと、マザイの顔がまた微妙に綻ぶんですよ。ラテリア曰く、それが彼の照れた顔らしい(笑)

ただし儀式の事は口外しないよう釘を刺されますけどね。もしそれ以上を知られてたら帰せなかったけど、本当にいい人達でよかった


しかしこの時点でオランの戦船は全滅?してるようでした。彼らはそれを何かの魔法で知ったのですね。

もしその船にシラルムとかが乗ってるとプラムが知ってたら、また恐慌を起こしたかもしれない。まぁ無事なんですけど。

あとプラムの口からミルリーフ復活の経緯もツーレ達に伝えられます。彼らも思わぬところで貴重な情報が手に入りましたね。


リザンは死者の島(仮)真の神殿にいました。この島と神殿は永らく海底に没していたのですが、最近浮上したのです。

永い間海底にあったので神殿には海草や藻がこびり付いているし、外の土地は無数の腐れた沈没船が横たわる船の墓場といった風情です。

ある意味ミルリーフらしい装飾と言えなくもない。でもミルリーフが完全に復活したら、この神殿もかつての姿を取り戻す筈。

この神殿は神話の時代に造られたものですが、その出来はドワーフの目から見ても見事としかいえない代物です。一体誰が造ったのやら。


その秘所にミルリーフは鎮座し、リザンをはじめとするその信徒達は彼に生贄を捧げています。オラン軍の死体ですよ。

ミルリーフの復活をきっかけに複数のミルリーフ信者がリザンの元を訪れ、その配下となっています。暫定的な最高司祭ですね。

生贄が大量に手に入ってミルリーフはご満悦ですが、不安材料が一つあります。それは沖に泊まってる一隻の船です。

この船こそはツーレ達が乗っている船です。死者の船団はオラン軍の七隻の船は簡単に沈めたのですが、この船は沈められないのです。

何か強力な呪術の護りがあるようです。砂漠の民の謎魔法ですね。確かに彼らの魔法なら幽霊船如きは敵ではない。問題はミルリーフです。


なおこの情報は円形の部屋で瞑想する信者がもたらしますが、これは何の魔法だろうか。まるでフォルティノのビーストマスターです。

"ビジョン"を使える魔術師であっても、それは視力を拡大するだけだから外に出ないといけないし。瞑想だけで外界の様子を知るなんて無理。

どうやらこの部屋は展望室と呼ばれているようなので、部屋自体にそういう魔力でもあるのかもしれませんが。

それにしてもリザンが上司風を吹かせていますね。配下の司祭達を顎で使ってます。こうでもならないと、こんなリザンは見られない(苦笑)


リザンは幽霊船ではなく、直接船に乗り込める配下を作り出そうと、ウェブのような混沌界の混沌を召喚します。

それは魔法陣のあるリザンの魔術室で執り行われます。混沌の召喚なんて、極めて貴重なシーンですよ。参考になる。

まず香炉と蝋燭に火をつける。次に鶏を用意し、首を切って血を流させ、陣の中央に放り投げて準備完了です。

この時エルドースが散々リザンをなじってましたが、シカトできるようになったらしい。でもウェブは混沌の中でも大人しい方なんだとか。


詠唱はこうです。

「この世に三大世界あり、現、妖、精の三つなり。その外、次元と呼ばれる間の向こうにありし世界よ。夢、幻の世界へ、我は呼びかける。妖魔よ、悪魔よ、名もなき異形よ、命なくて生きるもの、存在する無よ、形あるもの、交わるところより、現れいでる獣よ。幻の牙で、肉を裂く妖獣"ロガンティス"九つの鼓動と黄金の一つにおいて、我はなんじを召喚せり!」

まずこれで夢幻界(混沌界)へアクセスしてるのは間違いない。そこに存在するもの、混沌を呼び出してるのも間違いないでしょう。

このロガンティスという存在は鶏に憑依?します。結果それは前脚が三本の大きなの狼のような姿になります。腹からは触手がダラリ。

リザンはこいつに"トゥース"と名づけ、その迫力で手懐けます。混沌の獣も自分より強い存在には服従するんですね。

また詠唱の締めに使われた「九つの鼓動と黄金の一つ」という言葉がキーとなっているようです。何かの隠喩でしょうか?


その頃ツーレ達の儀式はまだまだ続いていました。神像が白く発光してるのだから、さっきよりは大分進行してる筈ですが。

襲い掛かる幽霊船は呪術によって作り出した守護陣で跳ね返しています。強力な魔力の場を生み出すような、儀式魔法の一種らしい。

外敵を排斥するような結界で、"リパルジブ・フォースフィールド"に似てる。でも一瞬で船を包むほどに拡大するのは困難。


またここでヴァルルードという男が出てきますが、彼はゲームにも出てる。途中で冒険者達の助っ人NPCとして参入するんですよ。

それによるとファイター7、シャーマン5、セージ3ですね。能力値もかなり優秀で、敏捷度と筋力が18あったりする。

古代語魔法は使えないらしいけど……この陣は精霊魔法とは思えない。まぁ小説とゲームは一致しないもんですしね。

私のパーティーのガラードなんて神聖魔法が使えないし(笑)。実はデフォルトでは習得してなかったりするのです。


余裕で幽霊船を退けている時でした、リザンが遣わしたトゥースが船に闖入してきたのです。結界を破るとは恐るべき混沌です。

トゥースは散々大暴れした挙句、儀式を行う部屋まで行ってしまいます。実はこの混沌は使い魔でもあるので、儀式の様子がリザンに伝わります。

またこの混沌との戦いで、更に砂漠の民の謎魔法を見る事ができました。知れば知るほど訳が分からなく点では混沌と一緒ですね(笑)


まずヴァルルード達呪術師が、片手を下に突き出すと敵が床にへばりつく魔法を使っていました。見えない力で押し付けてるんですね。

まるで"グラビティ"のようですが、あれは重力場を作り出す魔法であり、Gがかかるのは敵だけではないのでちょっと違う気がする。

あと呪術の長がトゥースを混沌界へ送還していました。ここでもやはり「九つの鼓動と黄金の一つ」という言葉を使っていました。

リザンもこれを使う以上、この魔法だけは古代語魔法に違いない。やはり彼らの魔法体系は知られざる古代語魔法なのか?


その頃リザンは使い魔を倒された反動か、呪詛返しのようなものなのか、微妙に血を流していました。どちらかというと前者かな。

リザンはその傷を自分で"キュアー・ウーンズ"をかけて癒し、彼らが神狩りの竜を召喚しようとしている事まで突き止めます。

例の教典に色々と書いてあったんですよ。神や精霊を狩りつくそうとする一派、"神を狩る者"というのがいたというのです。

彼らは"神狩りの竜"を自在に操り、神や精霊を消滅させたり追放したりしてきました。砂漠の民はその一派の末裔なのでしょうか。

「一派」という事はカストゥール王国を挙げての事業ではなかったようですね。どこまでが事実なのかは分かりませんけどね。


その事をミルリーフに告げると滅茶苦茶怒り狂ってらっしゃる。相当嫌な事をされたんですね、その神を狩る者達に。

その時リザンにはミルリーフの記憶が流れ込んできます。かつて彼らに滅ぼされ、万華鏡の夢幻回廊に封じられた忌まわしき記憶です。

そのミルリーフの怒りに恐れおののく信者達。しかしリザンは別でした。ミルリーフの怒りを代弁し、奴らを滅ぼせと焚きつけます。


リザン「いでよ!神のしもべたちよ!今こそそなたたちの目覚める時!」

目を青白く光らせ、リザンが命じると島中のミルリーフのしもべ達が動き出すのです。死者、彫像、魔物が次々に活動を開始します。

どうやら神殿の装飾のようであった動物や魔物や人骨の彫像もそのしもべだったようですね。ゴーレムの一種でしょうか。

海の中からは死者を乗せた幽霊船が浮かび上がり、死体という死体が動き出します。信者達も憑かれたように出陣します。これがミルリーフの力。

リザンに至っては怒りの咆哮をあげます。ぶっちゃけ今までで一番輝いている。その手の中のエルドースは人知れず恐怖に震えていました。


一方バートとガラードは運のいい事に死者の島に漂着していました。バートが見た黒い影はこの島だったようですね。

幸い2人とも無事です。無事なんですが、無事なのは本当にその2人だけでした。他に漂着した人はもう冷たくなってるし。

ガラードは斧を海に落っことしてしまったので、バートの魔法のショートソードを貸してもらいます。革鎧じゃなかったら沈んでましたね。


周りにはちょっと触っただけで崩れ去る古い船が転がっているだけで、生物や植物の類はない。このままでは餓死を待つだけです。

援軍が来る保障も全然ない、そこで2人は唯一目に付いた建物に、真の神殿に乗り込みます。生きている内はできる限りの事をするのです。

ガラード「あの時も大丈夫だったのだから、今度も大丈夫だ!」←ミード湖の時の事ね

そう言って笑うガラードでしたが、それは死亡フラグが立ちまくるセリフですよ。そういう事を口にしたら最後、十中八九死ぬ。


2人は神殿に入っても敵が全然いない事を不審に思います。彫像の類がガーゴイルのように動く、という事もない。今のところは。

しかしガラードが何者かの怒り(当然ミルリーフ)を感じると、今まで眠っていた彫像達が目を覚まします。

このままではこいつらに袋叩きになる、と思ったらスルーされます。どうやら命令された相手を狙うしか能がない連中らしい(今は砂漠の民)。

彫像はともかく、信者にまでスルーされるとは思いませんでしたがね。彼らも憑かれたように神の敵のみを狙ってるのです。


2人はある部屋に入ると罠に嵌りました。通路が全て閉ざされ、閉じ込められてしまったのです。盗賊がいないのが悔やまれる。

扉をぶち破ろうと体当りすると力を吸われる。では壊してみようと剣で傷をつけても再生するのです。かといって魔法は効かない

この扉は魔力を吸収する。しかし魔力のこもった武器なら、少しの間は有効打を打てる。また嫌らしい罠ですね。


この扉はガラードがバートのバッソーを借り、コモン・ルーンでエンチャントしまくってこじ開けます。物凄い力技です。

精神力は24だから、気絶を避けて最大7回エンチャントできる。剣の魔力が吸われては付与し、最後には突破できたのです。

しかしこれでバッソーがウェブにつけられた傷を境に真っ二つになります。父親の形見なんですが、また直せるからよしとする。


ガラードはよろめきつつもバートを促して前に進みますが、そこが彼の最期の場所となったのです。

金属でできた雄牛の彫像が動き出し、2人に襲い掛かったのです。ガラードはそれを阻み、バートを先に行かせました。

なんとこの彫像は炎を吐き、見た目通りに物凄い力をした強敵です。それをガラードは武器もなしに阻んだのです。


ガラード「馬鹿者!さっさと行け!なんのためにわしがこんな事をしてると思う!早くミルリーフを……うがぁっ!」←えっ!?

バート「うわあぁぁぁーっ!」←怒りと哀しみで叫んでダッシュ

ああ、さっきからどうも頑張りすぎていると思ったら、バートを先に行かせようと思うあまり、色々と無茶をしていたようでした。

嫌な予感がしていたんです。それが死に急いでいるかのようで、最期の輝きのようで。バートも仲間を失う悲しみを味わったようです。


そしてバートは辿り着きました。リザンとミルリーフのもとへ。ここからはこの兄弟の戦いです。


一命を取り留めたシラルム達の方は、深い霧のせいで動けなくなっていました。食料はない、方角も分からないで漂流も同然。

でも実は彼らももう死者の島のすぐ側にいます。円を描くような謎の潮流は、ミルリーフの起こしている島を取り巻く流れでしょうか。

そこでクルドが邪悪な気配を察知しています。また謎の能力が出てきました。まさか"ディビネーション"の応用でしょうか。

これは死者の島の事のようです。ミルリーフの強大な力を感じているんです。それとは別に小さな気配も察知し、それはどんどん近づきます。


それこそは砂漠の民とミルリーフのしもべ達の戦闘でした。幽霊船に追われながら移動し、空を飛ぶ魔物達に取り巻かれています。

この空を飛ぶ魔物はミルリーフの眷族なのか、見た事もない奴ばかりです。エイのような魔物や、クラゲのようなブヨブヨした奴。

そいつらが空にびっしり浮かんでいるのです。守護陣を張れば防げそうなものですが、多分それだけの力の余裕もないんでしょう。


シラルムはその砂漠の民の船にマザイの姿を発見します。ここで2人は何故か精霊語で会話します(何故に)。ていうかマザイも精霊使い?

これで砂漠の民からの攻撃を受ける事はなくなりました。次にシラルムは仲間達を説得し、彼らを助けようと訴えます。

怪しげな噂が横行する砂漠の民だから、皆は渋りました。しかしクルドの説得が功を奏して彼らは砂漠の民の加勢を始めるのです。

この時のクルドの説得は、恩を売って食料や脱出方法を貰おうというものでした。ファリス神官から恩を売るなんて言葉が聞けるとは(笑)

どうせ霧から脱出できないんだし、あの魔物達は確実に敵ですからね。ならばそれと戦う砂漠の民と手を組む余地は十分ある。


オラン軍の加勢は予想以上に相手の意表をつくもので、指揮官らしきローブの男をあっという間に討ち取ります。

この時ローブの男にはシラルムの"サイレンス"だか"ミュート"がかかり、兵士の1人がトドメを刺したのですが、死に際に何か祈っていた

すると驚いた事に、気がつけば男のいた場所に二足歩行で鱗の生えた化物が現れたのです。変身したのか、召喚したのか、何なんでしょう。

体格はオーガーもさながら。手足に鋭い鉤爪を持っています。指の間には水掻きもある。明らかに水棲の魔物で、魔神のメルビズにも見える。

これがロードスの終末戦争の時だったら、自らを生贄に奇跡を起こしたとでも解釈できますが……こいつは一体。


こいつがまた強い強い。シラルムの"バルキリー・ジャベリン"を2発も食らい、魔法の一斉掃射を受けて倒れたかに見えました。

しかしまだ生きていて、近づいたシラルムに深手を負わせます。あれは死んだフリだったのか、死んでなおミルリーフの力で動けるのか。

大暴れするこの化物にはなかなか近づけなかったけど、砂漠の民の魔法攻撃で海に落とされます。今度こそ死んだと思う、多分


重傷を負ったシラルムはクルドや砂漠の民の戦士にも助けられて元のガレー船に戻ります。精神力を使い果たしていて、もう戦えそうにない。

砂漠の民は鎮圧した幽霊船を謎魔法で沈没させます。これは"クリエイト・ゴーストシップ"の効果を打ち消したという事でしょうね。

しかし"クリエイト・ゴーストシップ"は非解除の魔法であり、"ディスペル・マジック"や"リムーブ・カース"では解除できない。

可能性があるとすれば10レベル遺失魔法"パーフェクト・キャンセレーション"。もしこれを使ったとしたら、恐るべき使い手です。


ひと段落したところでオラン軍は砂漠の民と交渉します。この時はラテリアが自ら出てきて、食料と方角石を分けてくれると約束しました。

方角石は、多分方位磁石のようなものでしょう。歴史的には11世紀の中国が初出で、ペルシャ人の手で欧州にも流れたそうです。

それならばカストゥール王国の優れた技術があれば、製造は十分可能でしょう。でも作っても使えるのかな。地磁気とかあるのかな。

一応大地と闇の複合精霊力は磁力っぽいんですけどね。まあ細かい事は考えず、方角が分かる石とだけ認識すればいい。


プラムもシラルムと再会できました。色々な人に多大な迷惑と心配をかけましたが。まぁグラスランナーだし(笑)

あと食料を運んで黙々と働く砂漠の民ですが、その顔には疲労の色が濃い。余裕と見せかけて実はギリギリ、これも彼らの民族性なのかな。


しかし安心したのも束の間、気づけば彼らは幽霊船の大船団に包囲されていたのです。夥しい量の魔物がまた空を埋めている。

咄嗟に砂漠の民は例の守護陣を張りますが、もう一杯一杯なのかすぐに消えます。それからは血みどろの戦いが繰り広げられました。

空も海も魔物で埋め尽くされた中、彼らは必死に戦いました。しかし数が違いすぎる。次々と魔物の攻撃に倒れていきます。


特に不気味だったのはあの空飛ぶエイ。こいつは敵に食らい尽き、血を吸って赤く染まるのです。刃で肉を添いでも離れやしない。

シラルムもこいつに食いつかれて大量の血を持っていかれました。しかしマザイが松明を押し付けてエイを引き剥がしてくれて一命を取り留めます。

あれだけ攻撃しても剥がれなかったのに、火に弱いんでしょうかね。確かに見た目はクラゲのようにほとんど水分っぽいし。


出血多量で目が霞み、もう本当に抵抗不可能なまでに衰弱したシラルムは、その時シーサーペントっぽい魔物に食い殺されるクルドを見ました。

そのシーサーペント・モドキも奇怪な魔物で、海草と泥でできたかのような姿をしています。ミルリーフのしもべはいずれも趣味が悪い。

血の海、死肉の絨毯、苦悶を浮かべた死体、血を吸われる仲間達。既に船上は地獄でした。もうこのまま全滅を待つだけかと思われました。


その時でした。召喚の儀式は完成し、神狩りの竜が現れたのです。純白の光をまとった竜は、そのブレスで幽霊船や魔物を消滅させます。

一瞬で幽霊船団の1/4を消滅させ、多くの魔物も光の中に消え去る。それからも竜は猛威を振るい、ミルリーフの軍勢は壊滅します。

竜はミルリーフの力を根絶しようとするかのように、目に付くものを片っ端から消し、死者の島をもターゲッティングします。


それにしても恐るべき力です。明らかに古竜以上の実力はあるでしょう。その強さは見ていて痛快ですらある。敵が敵ですからね。

もっとも始原の巨人の鱗から生まれた"神殺し"の竜王達ほどの力があるかは疑問ですが。でも彼は精霊や神を狩ってきたんですよね。

18レベルの精霊王を狩ったとしたら本当に凄いし、衰えたとはいえそれ以上の力はあるだろう神を狩るなんて、にわかには信じ難い

魔神王ですら20レベルで、創造主である神は完調ならそれ以上でしょうからね。アトンとも比較したくなります。流石に勝てないでしょうが。

でも精霊と言っても精霊王ほどの力のない太古の霊かもしれないし、神とは言ってもあまり神格も高くない地方神とか職業神かもしれないし。


砂漠の民の魔法についてはその内発表されるそうなので、それを待つしかない。恐らくは「SWツアー」シリーズで出るかと思います。

現在(07年3月)では夏にケイオスランドが発表される事になってますし、その後はイーストエンドと聞きました。

するとその後に「カーン砂漠」とか「エレミア」とかいうタイトルで情報が公開されるかもしれない。今のSWの展開速度なら信じてもいい。


ついに目覚めた神狩りの竜は、ミルリーフを劇的に刺激しました。怒り狂うミルリーフは自ら出陣します。神そのものの戦いなんて貴重です。

クリスタニアの神獣達の戦いも凄まじいものでしたが、アレですら力を抑制されていたんですよね。神の力はいつだって奇跡だと言うし。


ミルリーフに力を与えたのはリザン(バートが着く前)でした。すると巨大な肉塊だったミルリーフが変形を始めるのです。

その姿は巨大なエイといったものでした。ただし横一文字に口が開き、中から無数の触手と牙が覗き、大小様々な目も現われます。

海の神に相応しいといえば相応しいかもしれない。でもなんでエイなんでしょうね、さっき飛んでた魔物にも似たようなのがいたし。


本来、神の姿は巨人です。人間に似ている、いや人間が神に似ている筈です。でも神の姿形は自由自在だから、今はこうなってるだけ。

それが今はエイが精一杯という意味だとしたら、ミルリーフはまだ完璧ではないのかもしれない。完璧だったら魔法を使うでしょうし。

正確には、神の言葉や当然の動作が魔法現象を起こす、でしょうか。詳しい事は「魔法王国カストゥール」参照。


今しも死者の島を消し去ろうとした神狩りの竜は、ミルリーフと壮絶な空中戦を繰り広げます。最早人間が介入できる次元ではない。

竜の力は圧倒的です。その爪やブレスはミルリーフの体を激しく損ないますが、ミルリーフは無限に再生する事ができたのです。

しかも海中戦に引きずり込むと俄然動きが良くなります。どうやらミルリーフは海の中の方が動き易いらしい、ガメラかお前は(笑)


再生能力の秘密はミルリーフの魂にある。例の赤い宝石がミルリーフの魂であり、それは今リザンの所にあるのです。

このエイの姿のミルリーフはただの肉の塊です。本体である宝石をどうにかしないと無限に再生する。よくある手ですね(そうか?)。

ところでこの再生能力はミルリーフが海水に使ってる時しか見かけなかったのですが、再生には海水が必要なのか。


初めの勢いは良かったけど、あっという間にミルリーフが竜を押さえるようになってしまいます。

噛み付こうとしたらその部分の肉体が消え、触手の吸盤が魔力を吸い取り、海中で動きを封じられて万事休す。

その時竜は死の恐怖にビビっていました。今まで散々狩りをしてきたくせに、狩られる側になったら動揺するとは、微妙にヘタレてます。


ミルリーフの再生能力を封じるには魂を砕くしかないならば、この戦いの鍵は現場にいるバートとリザンが握っている。

しかし今2人は殺し合いをしていました。バートは魔法のショートソードを振りかざし、リザンも魔法を唱えます。

だがリザンは疲労困憊で魔法が不発(1ゾロ?)。咄嗟に短剣を握りますが、武術の戦いならばバートに勝てる訳がありません。


バートはリザンに拳を叩き込んで気絶させる事に成功します。あとはショートソードを振り下ろせばそれで終わる。

リザン「だめだ……できない。俺には……俺にはできない!

やっぱり無理でした。弟を殺す程に非情にはなれません。でも少し安心しました。これで躊躇いなく殺しても後味が悪い。


その時エルドースがバートに助言をしました。玉座にある魂を砕けと。それでミルリーフが滅びるのだと。

誇り高いカストゥールの付与魔術師であるエルドースですが、こんな状況でまで蛮族を蔑む余裕はなかったらしい。

彼も大分怖い思いをしてきたようですからね。どんなに偉大な魔術師でも、人間である以上無慈悲な神は恐怖です。


バートは魔法のショートソードを赤い魂に振り下ろしましたが、逆に刃が砕けます。ミルリーフの魔力でしょうか。魔剣ですら砕くとは。

こうなるとよっぽど強力な魔剣か、あるいは別の魔法的手段でないと壊せそうにありませんね。通常武器なんてお話にならないでしょう。

しかしその時目を覚ましたリザンは短剣をバートに突き刺していました。これでバートは力尽き、命を落とします(多分)。


予想外の展開に、もうミルリーフを倒す手段はないのかと絶望しかけました。しかしここにはもう1人いる、リザンが。

リザンは正気に戻りました。兄を手にかけた精神的衝撃、あるいは懐に忍ばせたバートからもらった神像のお守りが、支配を解いたのです。

バートの声がようやく届いたようで、胸が苦しくなりました。本人の命と引き換えに、優しいリザンが戻ってきたのですから。

しかしそれは彼にとってこの上なく残酷な事でした。元も優しい心を取り戻したリザンにとって、自分の犯した罪は重かった


リザン「僕は馬鹿だ!自分だけを哀れんでいた。自分だけが不幸だと思っていた。僕は自分の弱さに溺れて、悪魔に魂を売ったんだ!」

何度呼んでも返事をしないバートや、自分が殺してきた人々を思って慟哭するリザン。彼のしてきた事は取り返しのつかない事ばかりでした。

こうならないようにとバートは何度も何度も話しかけてきていたのに、今度は自分が何度も何度も話しかけても返事をしてくれない。


しかしリザンにも一つだけできる事がありました。ミルリーフの魂を砕く。それが今の彼がすべき事です。とても贖罪にはなりませんが。

ミルリーフの魂にはちゃんと傷がついていました。魔剣の一撃は完全に弾き返した訳ではなかったようですね。しかし手持ちの短剣では駄目です。

リザンは懐から出した神像のお守りを魂に叩き付けたのです。さっきから熱くなっていて、リザンが目を覚ましたのはこれのお陰でもある。


リザン「たのむ僕に力を!償いの力を!

これを神狩りの竜や自分が殺してきた人々の魂に祈りました。すると竜はそれに力を裂いてくれたようです。

リザン「滅びよ、邪神よ!滅びよ!僕の邪悪よ!

これで魂は砕け散り、ミルリーフは再生能力を失います。しかし消えてはいません。神の魂は不滅なのですから。

これからもミルリーフ司祭は暗黒魔法を使う事が可能です。ようやくミルリーフも他の神々と同じ存在になれた(と思う)。


神狩りの竜はリザンの祈りに応えた瞬間、エイの姿をしたミルリーフの力は緩みました。そこで竜は一気呵成に肉体を滅ぼします

更には全ての力を込めて、死者の島をも粉砕します。光の玉を投げ込んだそうですが、それはブレス風なのか、元気玉風なのか(苦笑)

竜は自分の役割を終えたので、大人しく"門"を通って元いた場所に帰ります。本音を言うと彼の出番はもう来ない方がいい


死者の島も軍団も消え去り、残されたのは生き残った人々だけ。砂漠の民の帰り際に、ツーレとラテリアが少しだけ手を振ってくれました。

シラルム達も、遅れてやってきたオランの船と共に懐かしのオランへ帰還しました。これが「ミルリーフ事件」の結末です。


終章 別れ

一度は死を迎えたバートは、リザンによってオランの街まで運ばれ、神殿で蘇生してもらいました。一度は本当に死んでた?んですけどね。

リザン曰く、もう半日遅かったら蘇生できなかったそうですが、それって魔法ではなく医療で蘇生したって事でしょうか。

実は仮死状態で、医療的にはあと半日遅かったら完璧に死亡していた。その状態になると神聖魔法の"リザレクション"が必要だった、とかかな。


ベッドに横たわっていたバートは、その直ぐ側に優しい顔をしたリザンがいる事に気づき、心の底から嬉しかったでしょう。

また一緒に冒険できる、バートはそんな希望を抱きました。でも駄目です。リザンはバートの前から去る事にしたのです。

バートが許してくれたとしても、自分自身が許せない。そんな思いを抱えてしまったなら、何らかの形で裁かれ、罰を受けねばなりません

それにガラードもやはりいません。リザンはバートを連れ出すだけで精一杯だったようで、彼までは助けられませんでした。


リザン「兄さんありがとう。兄さんの人生に、大きな祝福がありますように。父さん、母さんをよろしく」

バートが大好きだからこそ、その前から去る事が最大の罰となる。いずれ2人の道が交わる時が来る事を、心から祈っている


眩暈で気を失ったバートが起きた時、シラルムとプラムがいました。2人とも大急ぎでここまで来たんですよ。

魔術師ギルドの導師がそんな伝言を残したそうですが、それはリザンでしょうか。あれが夢だなどと思いたくないので、そう思っておきます。

ギルドは詳細を教えてくれなかったそうなので、その可能性は大きいと思う。本当にギルドの導師だったら教えない理由がないし。


それから3人は一緒に酒を交わしました。今街では戦勝祝いの宴が行われているので、その予行練習ですよ。まだまだ騒ぐのです。

「三人は肩を抱き合い、笑い、そして泣いた」。彼らは多くの仲間を失いました。それでも彼らはここにいて、また冒険を始めます。


その頃リザンはウェブ(普通の馬に見える)に乗って、オランの街の通りを歩いていました。これから街を出るのです。

そこでリザンはお祭り騒ぎをする人に捕まって酒を勧められます。リザンはそれを一気します。少しは人付き合いができるようになったかな。

あとウェブが樽に頭を突っ込んでガブ飲みしていました。酒好きの混沌とは、こういうお茶目な所があるから憎めません。

それからリザンはオランの街を去りました。一度だけ振り返って、もう二度と振り返らなかったのは、彼の贖罪の意思でしょうか。





これにて「死せる神の島」は終了です。彼らの後日譚や外伝などは短編集に度々現われているので、チェックしといて損はない。

1つは「緑の都市」。仲間の元を去ったリザンの後日譚。ウェブとエルドースという愉快な仲間も登場します。

1つは「立ち枯れの森」。これはシラルムが主役の話で、舞台はロマール。まだバートとリザンに出会う前。プラムも出ます。

1つは「父と子の剣」。こちらはバート達の後日譚。普通の冒険者らしく、依頼を受けて魔神と戦います。






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