「レプラコーンの涙」編:安田均 水野良 他 出版社:富士見書房

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「一角獣の乙女」作:水野良

記念すべきSW短編集の第一作目を飾るのは水野先生です!

物語は魔法の王国ラムリアースの聖地ユニコーンの森で繰り広げられます。

この「一角獣の乙女」という作品は「ユニコーンの乙女」というタイトルで漫画にもなってたりするんですよ。

あと「走れ!神秘の大森林」でもこの森が舞台となります。


ユニコーンの森といえば国が定めた特別保護地域、入っただけで罰せられます。

まして森に住むユニコーンを狩ろうものなら、どんな重い刑罰が科せられるか。

いずれもユニコーンとその乗り手が重要な要素となっています。

『泉の判定』というものでユニコーンと心を通わせられるようになるのが乗り手です。

そして乗り手は女性だけです。汚れていない純粋な心と体の持ち主にユニコーンが引き寄せられるからです。


ユニコーンは生命の精霊力や精霊と深い関係がある6レベルの幻獣です。

「混沌の大地」で登場した狂える生命の精霊はまんま馬っぽかったですし。

ユニコーンが物質界に定着した生命の精霊だという可能性もあるかもしれない。


そして、ユニコーンは癒しのスペシャリストでもあります。

精霊魔法は6レベルまでですが、知られざる生命の精霊に限っては10レベルとして使用できます!

つまり"ヒーリング"と"レストア・ヘルス"を2点で使えるのです、魔力は13扱いだから凄いですよね。

ユニコーンは基本的に♂しかいないようですが、ちゃんと生命の精霊を使えるのですよ。


そしてその魔力の源は螺旋状に伸びた角です。だから魔法を使いすぎると角が落ちてしまうのです。

角が落ちてしまったらもうユニコーンではいられませんし生えても来ません、最悪死んでしまいます

ユニコーンが死んでからも角にはいくらかの力があり、生命の精霊に関する魔法を使えます。

具体的には長さ50センチほどの螺旋状の角で、中には10〜200点分の精神力が詰まってます。

癒しの魔法を使う時はその基本消費精神力を角は失っていきます。


ちなみに取引価格は、残り精神力×1100ガメルとなります。

200点詰まってるようならなんと22万ガメルにもなるんです!

そりゃあ、欲の皮が突っ張った連中がユニコーンを狙うわけですよ。

その為にここには森を守護する二つの勢力があるんですよ。

1つはラムリア―スの森林衛視隊(ウッド・レンジャー)、もう1つは自然を尊ぶドルイドたち。


現実世界のドルイドたちは凄いです。何が凄いかってドルイドそのものがです。

ドルイドとはケルト人にとって知識の守護者のようなものです。

ケルト人は文字を持ちませんでした、そこでドルイドたちは自らの頭脳でこれを代用しました。

法律や天文学等必要な知識は全部頭の中、凄い記憶力でしょう。


本編に登場するドルイドのケニーはなんと8レベルシャーマン!(データでは7だけど、実際は8)。

自然と共に生きる彼らは精霊との結びつきが強いようです。

あの大陸随一の精霊使い、ロウラスもここに住んでます。ロウラスは大陸に二人しかいない超英雄キャラです。


さて、本編の主人公である3人(2人と1頭?)を紹介しますか。


ジュディス・ランロード 19歳

ラムリアースの貴族の家に生まれ、今は森林衛視隊に入ってます。

レンジャー5、ファイター3、セージ2なユニコーン乗り

ユニコーンの乗り手なだけにユニコーンを大切にしています。

実家に帰れば婚約者がいたりしてちょっと意地っ張りな所もある、あと「湖岸の国の魔法戦士」にも出てくる。


ケニー・アルバス 21歳

ドルイドです、ロウラスを除けば集落一の使い手だそうです。

シャーマン8? ファイター3、ハンター7、ファーマー3となっています。

ドルイド達は基本的に自然崇拝者で、外部の文明には否定的です。

ケニーは融通が効く方だと思いますけどね。


アンウェン ?歳

ジュディスを乗り手とするユニコーン、詳しくはルールブックで。

普通のユニコーンと同様ケニー(男)を敵視してます。

それは彼らの体質によるものですから、仕方ないといえば仕方ない。


彼ら3人?は「湖岸の国の魔法戦士」に登場します。

ラヴェルナとローンダミスと一緒に大陸を一周したりすることになります。

そして今回のボスもついでに紹介。今回はけっこうハイレベルなキャストなんですね。


アルナーフ 21歳

魔術師にして闇司祭なイヤな敵です、しかも実力派だから始末が悪い。

シーサラー8!で5レベルのクプリースト/セージ、シーフも3。

8レベル魔術師なんてスレイン並ですよ。ギルドだったら高導師間違いなし。


この男はロマールで女性を買い、その女性に「泉の判定」をやらせてユニコ−ンを誘き出します。

そうしてノコノコ出てきたユニコーンに"ファイア・ボール"をぶち込んだのです。

皮肉にもケニーとジュディスが出会ったのは、この男の悪事があればこそです。

いくら8レベルとはいえ一撃でユニコーンを殺すのは難しいんですが、まぁクリティカったんでしょう。


現場に駆けつけたジュディスとアンウェンは一足早く来ていたケニーを怪しみます。

ジュディスなんて事情も聞かずに未来の旦那に弓を射ます、最初は威嚇射撃ですよね。

幸いケニーは"ミサイル・プロテクション"をかけてたので、射殺される事は無かったです。


本当に第一印象は最悪ですよね、将来夫婦になるとは思えないほどですよ。

後々子供とか出来て、「お父さんとお母さんはどうして出会ったの?」って聞かれたらどうします。

まさか「うっかり殺されそうだったよ」とは言えますまい(笑)

いや、ケニーの一目惚れが根っこにあるんですけど。


精霊たちの弁護で疑惑はアッサリ晴れましたが、ジュディスは男嫌いだったりしました。

ユニコーンの影響か、はたまた自前なのかは知りませんけどね。

そもそも、何故にユニコーンがこれほど乙女を好んで男を毛嫌いするのか?

それは精霊力や生来生まれ持った体質の問題だったりします。


男は勇気の精霊バルキリーを、女は知られざる生命の精霊を使うわけですよね。

これは両者の在り方をも現しています。女は新たな生命を育み、男はそんな女のために勇気を持って戦う。

両者は相容れない性質なんですね、そしてユニコーンは生命の精霊の権化ともいっていいです。

だから、彼らは男は好かないんです。決してただ助平なだけじゃないですよ(笑)


もしかしたら、ジュディスの男嫌いもコレかもしれませんね。アンウェンと繋がってるから影響を受けてるのかも。

半ば喧嘩別れでジュディスは魔術師を追うことになりますが、いくらなんでも8レベルソーサラーには勝てないです。


ところで、アンウェンってなにやら凄い速さで走ってますよね。

「トトロ」の猫バスが走る時、森の木々は生きているかのように避けていきましたが、そんな感じの速さ。

でもユニコーンって普通の馬と移動速度は変わらないんですよね。


両方とも移動速度は30、でも敏捷度はユニコーンの方が高いです。

どっちかといえば慣れですかね、このアホみたいな速さでの疾走は。

普通の乗り手だったら落とされるんでしょうが、二人は心で繋がったバディだからそうそう落馬は無いでしょう。


アルナーフはユニコーンを誘き出す時に使った娘に、ユニコーンの角の価値についてこんなことを言ってました。

アルナーフ「闇市でおまえを買い取った値段のざっと1000倍よ!

"ファイア・ボール"を食らった例の黒焦げユニコーンが精神力を消費していないとすると、角の値段は22万ガメルになります。

そして売る時は半分の11万ガメルです。それが1000倍なわけですから、彼女の買値は110ガメル

いくらなんでも安すぎですよね、ロマールとはいっても人を110ガメルで買えないでしょう。


ジュディスとユニコーンは見張りの傭兵×2を簡単に葬ったまでは好調でした。

直後ジュディスはアルナーフの魔法に捉われてしまいますが、この時アルナーフが使った魔法って何でしょうね?

この距離で相手を一瞬で行動不能にするとは、そんな魔法あったかな?

"パラライズ"とは違うと思います、かといって麻痺毒を相手に植え付ける"ポイズン"は接触だし。


それにしても、アルナーフ恐るべし。アンウェンの角による攻撃を"フォース・フィールド"で防いでますし。

物理的攻撃を跳ね返す壁を作りる8レベルの古代語魔法、公式作品には珍しいですね。

基本的に8レベル魔術師なんてそう出ないしね。"ライトニング・バインド"じゃなくてよかったじゃないですか。


アンウェンを人質に取られ、どうにもできないアンウェンは賢明な判断をします。

それは尻尾を巻いて逃げることです。この状況でなかなかクールな馬ですね。

自分がいても何も出来ないから助けを呼ぼうとしてるんです。

プライドは高いけど、もっと大切なものの為にはそれすらもあえて破る、男だねぇ。


さて、アルナーフはジュディスにファラリスをおろして願いを叶えようとしています。

彼は5レベルの闇司祭ですから、"コール・ゴット"は無理でも"イモレイト"は出来そうです。

これは5レベルのファラリス特殊魔法でしてね、ロードス島ワールドガイドに載ってるんですよ。

どういうものかといえば生贄を捧げる事で願いを叶える魔法です、"コール・ゴッド"の廉価版ですね。


とはいえ、条件も制限も厳しいですけどね。

必ず相手の抵抗を破って、そのうえ20以上の達成値が要ります。彼の魔力では拡大しないと無理でしょう。

これをクリアして初めて願いを叶える土俵に立てるんですが、叶えられるものは大したことじゃないですよ。

生贄と同じ重さの黄金を出したり、能力値を1上げたりといった程度ですよ。

黄金に関しては、体重が40キロの場合で50万ガメル程ですよ。祭器なんかも作れませんし。


一方、ケニーとアンウェンは見張りに立たされていた傭兵ゾンビを倒しました。

散々ですね傭兵さん、悪の魔術師に雇われた時点で終わってたようなもんですか。

そこで今度はケニーVSアルナーフの8レベルルーンマスター対決となります。


アンウェンはジュディスと同じく金縛り状態ですし、

ケニー渾身の"バルキリー・ジャベリン"も大したダメージにはなりません。

逆に"ファイア・ボール"を食らって動けないときたもんだ。


しかしケニーは最後の手段を使うのでした。自分諸共"ファイア・ストーム"という捨身の攻撃です。

ていうか自爆、弱りきった今のケニーに確実に死にますよ。

ケニーの心に死の恐怖が満ちる瞬間、勇気の精霊は彼に勇気を与えました

勇気とは恐怖に抗う事、恐怖を支配する事といいますよね。

男のみがバルキリーを使えるのは、命を生み出す女性という存在を守る為なのかもしれません。


全てが終わってジュディスが救出された頃にはもう、ケニーは黒焦げでした。

これがきっかけでジュディスの心に変化が見え、その勇気に感化されたアンウェンも最後の手を使います。

それは、角の魔力を全開にしてケニーを蘇生させるというものでした。


こうしてケニーは息を吹き返しました、なんか映画みたいなラストシーンです。

力を使い果たしたアンウェンの角は落ち、土に還りました。

死んでもおかしくないというのに、角を失うだけで済むなんて奇跡ですよ。

角以外にも魔法とか、幻獣としての力も失ったんでしょうか。


まるで「太陽にほえろ」のラストシーンのような爽やかなオチ。

アンウェン「お前の勇気には妬けるな

ケニー「ハッハッハ、俺は全身焼けちゃったけどな」みたいな(笑)


なんかこの3人?の後日談とか読みたいですね。

「湖岸の国の魔法戦士」にも出てますけどチョイキャラですし。

きっと苦労したんでしょうね、ドルイドと貴族の娘の結婚なんて。

彼らの結婚生活は「湖岸の〜」を読めば少し分かるかもね。


「レプラコーンの涙」作:水野良

表題作ですね、これも水野先生。

1つの短編集に同じ作家が2作品書くって珍しいですよ、ていうかこれだけですよ(多分)。


舞台はオーファン、リウイなんて全然出てきませんよ。

王城シーダーでのお話ですが、シーダーの描写って限られてますよね。

ヘッポコの7巻と「剣の国の〜」ぐらいでしょうかね。

ナイトブレイカーズではローンダミスとラヴェルナがチラっと出てきましたね。

アレは確か自宅でしたから、城の外だったと思います。


さて、剣の王国として大陸にあまねくその強国ぶりが知れているオーファンですが、

たった1匹のレプラコーンにきりきり舞いのご様子。

大陸最強とも言われる騎士団と国王とはいえ、精霊は専門外ですよ。

バットやグローブを装備して水泳をするようなものです。


ていうか、城には精霊使いもいないのか?1人ぐらいいてもおかしくないですよ。

そんな理由で街にいた唯一の精霊使いフレアが呼び出されるわけです。

今この街にいる冒険者はフレアだけってのも本当ですかね?

冒険者でひしめくオーファンで1人を除いて全員精霊使いがいないって不自然ですよ。

アレですか、なんかの会合ですか。彼女自身にはパーティーの仲間とかいないんかい。


街から精霊使いを呼んでくるの大正解ですけどね。

もしかしてオーファンって人探し下手?(笑)


まぁ文句も言ってられません、レプラコーンのイタズラが思いのほか酷いんですよね。

蛙や蛇をベットに入れ、スープには塩、小麦粉の代わりにコショウ。

それでもって壁には落書き、廊下は滑りやすくなっていると、「ホーム・アローン」みたいですね(苦笑)

いけるよ、きっと泥棒を撃退できるよ。ブラウニーよりもレプラコーンの方がお留守番には向いてるかもね。


レプラコーンといえどもこれはちょっと酷すぎ

ここでレプラコーンについてちょっと見直してみたいと思います


レプラコーンは混乱と孤独、イタズラなんかの性質を持っている下位精霊です(下位精霊は一律4レベル)。

孤独というのは意外かもしれませんが、孤独とイタズラは密接な繋がりがあります。

外見は全裸の子鬼で性別を思わせる特徴はない。

精霊魔法を4レベルで使えますが、実際使えるのはレプラコーンの魔法だけです。

つまり、集中をかき乱す"デストラクション"、混乱させる"コンフュージョン"、記憶を飛ばす"フォーゲット"だけです。


攻撃的ではありませんが、面倒なことです。

敏捷度も18と高いからいきなりアッパラパーにされることもあるんですね。

直接攻撃は一応牙、通常武器無効のくせに触れるんですね。

普通では攻撃できないけど向こうはダメージを与えられる、まるでマンキンのオーバーソウル(笑)


なお、視界内のみの移動が可能なテレポートなんかもできるんですよね。

バルバスのタレント"リーブ"みたいですね、出たり消えたりのトリッキーな戦法が得意なんでしょう。

リジャールとはいえ間合いに敵がいなければ切り捨てる事もできませんし。


一方、フレアは3レベルのシャーマンです。

まぁ倒して精霊界に送還するぐらいならできるかな?

あとファイターとバードも何故か1ずつ取ってます。

ハーフエルフの16歳ですから、まだまだ経験は浅いはず。


あまりのイタズラの酷さにメレーテ妃失神、リジャール悩む。

こんな事で危機に陥っていていいのかオーファン(笑)

こうして若い騎士マルダーとフレアがレプラコーン退治に乗り出すとなるわけです。


マルダーは一応3レベルファイターなんで、なんとかなるでしょう。

それにしても、この事態を若い騎士と半エルフの娘にやらせるってのはどうでしょうかね。

せめてもう1人ぐらい暇そうな騎士をつけた方がいいんじゃ・・・・。

マルダーはかなり真面目な男らしく大張り切りです、体育会系な男ですねぇ。

こういうタイプに限ってコロリと魔法にかかっちゃうんですよね。


さて、今度の事件の真相はある子供の死が引き金となっております

亡くなったとある侍女の息子ロルト君にはどうやら精霊使いの素養があったらしく、

イタズラをする時に無意識の内にレプラコーンを召還していたそうです。

しかし、彼は井戸に落ちて死んでしまいました。それでレプラコーンは精霊界に帰れないんですね


あともう1つ、彼の母親の孤独な心も影響しているようです。

レプラコーンは孤独をイタズラで補おうとしています、つまり別の感情に置きなおそうとしています

だからこそ混乱の精霊とも言われるんですねぇ、レプラコーンってけっこうホロ苦い精霊なんですね。


そんな事情も知らない二人の前にレプラコーンが現れるのですが、散々でした

マルダー君なんて普通の武器で斬ろうとしてましたしね。

普通の剣で精霊に斬りかかるとは、リウイか君は。1レベルのセージを持ってるくせにね(笑)

騎士だったら普通の武器が聞かない相手かどうかぐらい、ちゃんと覚えていおいた方がいいですよ。


そんなマルダーにレプラコーン伝家の宝刀"フォーゲット"が炸裂します。

あの英雄グラックスを死に至らしめた魔法です(結果的にね)。

翼が無いと使えないとも言われる魔法ですが、その源である精霊なら使えても不思議は無いです


そしてマルダー君はフレアの事を忘れて斬りかかります。

マルダー殿、殿中でござる!殿中でござるぅぅ〜〜〜!(ドップラー効果)

あわや止めを刺されると思った時、レプラコーンは術を解きました。

レプラコーンとしてはアタフタした状況を見たいわけであって、別に人殺しには興味ないんでしょうね。

その代わりしっかり顔に落書きをされていました、額に「肉」とかね(笑)


ようやく二人は例の侍女の話を聞いて、事の真相を知る事となります。

そしてフレアはなんと自分の身体にレプラコーンを入れて鎮めようとします!

きっといいシャーマンになれますね(いやマンキンじゃなくて―笑)。


根性の続く限りのイタズラはいっそ爽快。

私はイタズラとかはあまりしなかったけど、こういうのよく分かります。

たまにありますよねぇ「ハジケたい・・・・・・」と思う時が(笑)


2人のイタズラはとにかく凄かった、古代王国の壺を叩き割り、カーテンにぶら下がる。

マルダーに至っては窓から飛び降りました!!ハジケリストだなこの男(笑)

窓から飛ぶってけっこう勇気要りますよ、いくら下が泥だからって危ないですよ。


こうして呼び出されたレプラコーンはフレアの心に還りました。

こんなことも可能なんですね。精霊界ではなく、心に還す。

精霊使いとしては決して間違ってはいない態度だと思います。。


「契約の代償」作:下村家恵子

このお話は他の作品には見られない場所がとり挙げられてます。

オランの南東にある小さな島群、その1つティルク島が舞台です。

実際には地図には載っていないような島なんて星の数ほどあるでしょうけど、こうして扱われるのはあまりないなと。


アザーン諸島とは違って本当に小さい。島とはいえ、アザーンは決して小さい島々ではないですから。

そういえばデュダさんは海賊ビュヒナーの宝を探してオランの沖合いに出ましたっけ。

もしかしたらこの島群のどれかだったのかもしれませんね。


この島々はオランの領土ではないようにも思えます。

色々な人の口ぶりからすると大陸との繋がりは希薄のようですし。

でも一応領主はいるのだから、その領主が仕える偉い人もいるはずなんですけどね。


普通、領主は領土を誰かから預かるからこそ領主になるんです。

でも自治の強い土地なんかは何処の国にも属さず、地元の名士が領主になることもありそうです。

やっぱり何処かの国に属しているのならオランなんでしょうけど。


大陸の他の山間や海にもそういった集落がありそうですけどね。ロードスにおけるライデンのような自治区です。

とはいえあんな商人の治める街じゃなくて、極々普通の田舎町でしょう。

でもそういった町って納税の義務は無いけど、その代わり国の保護を受けられませんからね。


山賊や野党、果てはダークなカルト集団の隠れ蓑にもなりかねません。

冗談抜きでありそうですよ、悪党の支配する町

そういった町から抜け出してきた人からの依頼で、町に巣くう悪党を討伐するなんてシナリオも出来そうです。


さて、話はずれましたが戻しましょう。ティルク島は今大変危機的状況に陥ってます。

海賊に占領されつつあるんですよ。領主も死んでしまっているらしく、このままでは先が見えています。

そこで領主の娘アラミアは状況を打開すべく、カストゥールの遺産に頼ります。


実はこの島々、カストゥール人の生き残りの末裔たちが住んでるんですよ。

色々な生き物を生み出していたところから、創成魔術師だったのかもしれません。

彼らは海上都市?ダリートが水没する際に周囲の島々に逃げたんだそうです。

辺鄙な所だったから殺されずに済んだのかもしれませんね、今となっては忘却の彼方の出来事です。

ただ1つ、干潮の際に現れる遺跡に眠ると言われる"命ある魔力"を除いては。


それこそが遺産、アラミアはそれを頼ってるんです。でもこれがとんだ食わせ物なんですよね。

ガザイル(仮)と名乗るこの"命ある魔力"は本名を"無知なる邪悪"といいます。

コイツは力を貸してくれる代わりに島の人々を戦闘狂にしてしまうんです。


アラミアに同行したのは3人、この小さな島にしては悪くない腕の持ち主です。

本人は2レベルファイターでセージとレンジャーも1ずつとっています。

アラミアの印象としては、年相応の女の子だけど領主の娘ということで責任感が強い。

怖いけど、島の皆の為にも逃げるわけにはいかない。いい子ですね、アラミア19歳。


その仲間達ですが、まずは本編の主人公?グラランのリックはシーフ3にレンジャー2。

海の男っぽいダインは3レベルのファイター/レンジャー。

ライクは3レベルのソーサラー/セージで1レベルのファイター/レンジャーと努力家。

3レベルパーティーとしては悪くない、魔法面が弱いかな?


いきなりシーサーペントを倒してたり、結構強いかもね。

シーサーペントって6レベルですよ、素人に倒せる相手じゃないです。

全長は10〜20メートル、デカさだけならドラゴン並み。なんか普通に倒していてビックリ。

多分この遺跡の主でしょう。こういう荒地では普通、強いモンスターが縄張りを主張しているしているものです。


例のブツがある部屋の扉には"ロック"だか"ハード・ロック"やらがかかってるらしい。

魔術師のライクは何度目かで開けましたね。

ライク「我ながら不勉強で困りますよ。」

いやいや、危険物を封印した扉を数度で開けるのは結構凄いと思いますよ。

決して低い達成値でかかっていたわけじゃないでしょうし、6ゾロでも振ったかな(笑)


そんなこんなで"命ある魔力"ガザイル(仮名)をゲッチューし、村に帰ってみると大変なことに。

死屍累々阿鼻叫喚、海賊の襲撃を受けてエライ事になっていた所で到着したんです。

海賊達と切り結んでいる内にガザイル(仮名)が話しかけてきて、アラミアは修羅のように海賊たちを虐殺していくんです。

その狂気は島民たちにも蔓延していき、海賊達は逃げ惑うだけでした。


ガザイル(仮名)は力が欲しいと言われて、力を貸そうとしたんですね(素直に)。

でも彼は"無知なる邪悪"、戦いの意味をまるで分かっちゃいなかった。

アラミアが望んだのは征服者から島を守る為であり、征服者になることじゃないというのに。

力が欲しい→その力を誇示する、なんて短絡的もいい所です。


具体的には一種の精神支配ですかね。

霧のようなものに包まれ抵抗できなかったらガザイル(仮名)に支配されます

殺せ、殺せ、殺せ、殺せ!といった具合に、まるで狂戦士になった時のオルソンみたいですね。

あの時はヒューリーが「怒れ、壊せ、破壊しろ」なんて訴えてきましたっけ。

後に"封印の壷"で封じられる所を見ると、彼は一種の精霊なのかもね。


こうして狂気に支配された島民たちは無謀にも周りの島々と戦争を始めようとします

無茶だって、周りの島ならともかく大陸を支配するなんて。

まぁ、ガザイル(仮名)の力がどの程度なのかによって被害規模は変わってきそうですが。

ものすごい強制力が強くて効果範囲も広い支配だったらオランの正規軍も飲まれてしまうかも。

もしそんな事が出来たら本当に国の一つや二つ落とせるかも。


ガザイルに与えられる力はやっぱり凄いらしく、アラミアに至っては首級を上げた上に握り潰してますし。

うわ、一体どんな握力があればそんな事出来るんでしょう。

握力が60〜70sあればリンゴは割れるそうです。

でも人間の頭を潰すってそれよりも難しそう。いや、リンゴを潰せるなら骨とかも砕けそうな気もするし。


アラミアの馬"波頭"のおかげで辛うじてリックは支配から逃れます。

案外高効果範囲は狭いのかも。あるいは一度支配すればある程度遠くても操れるとか?


コッソリと島から脱出する為に屋敷へ帰ってみたらまた一騒動。

支配されたダインは戦争を否定するリックにキレますし。

私は戦争を外交手段の一つと見なしてます。ただ多くの命を奪うという揺るぎ無い事実は確かです。

その結果どんな物を得たとしても、それは帰らない。それだけは間違いないことです。

大切な事は戦う事で何を守れるか、何を得られるか?それが不正確な戦いは悪しき戦いです。


今度もうっかり支配されそうになったリックを助けたのは波頭でした。

本当にいい馬です、ていうか賢い。アニメ版クリスタニアのグランビア並にいい馬です。

それはもう、中に人が入ってるんじゃないか?と思うぐらい(笑)

リックとしては逃げたいけど友達を放っては置けないということで、あの遺跡に再挑戦です。


ほとんどのモンスターは前回の探索で倒してるんでスイスイ進めます。

ガーゴイルを生け捕りにしたり、奥で"封印の壷"を見つけたりと大活躍。

うっかり窓から海へ落ちたりとヒヤヒヤさせますよ。


島民たちが出陣する間際にリックが到着します。

"封印の壷"を目にした途端ビビリまくりのガザイル(仮名)、やっぱり怖いんか。

コイツの主張としては「戦う力を求める」→「戦いも求める」なんですね。

本当に無知ですよね、"無知なる邪悪"とはよく言いましたよ。

無知というか、人の心が分らないだけという気もしますし。


リックは"無知なる邪悪"という本名を知らなかったばかりにちょっと慌てます。

"封印の壷"は合言葉が分からないと意味が無いんですよ、この場合はガザイルの本名が合言葉でしたね。

「西遊記」の金角と銀角が持っていた名前を呼ぶと吸われるヒョウタンみたいです。


ライクは必死に唇を動かして何かを伝えようとしてくるんですが、もしかして意識はあるのかな?

とにかく、彼の助言でガザイルの本名も分かって封印成功!

まるでドラゴンボールの魔封波みたいです。見た目電子ジャーな"封印の壷"とか面白くないですか(笑)


こうして島の危機は去りました。でもリックは島を出てしまうんですよね(壷を抱えてオランへ)。

別に島の皆が嫌いになったわけじゃないですよ。彼はグラスランナー、ひとつ所に定住するのは向かないんですよ。

オランに行くと言う事で都会を夢見るライクも同行します。このまま冒険者になりそうですね、彼ら(笑)

「ジェライラの鎧」作:山本弘


★1

いよいよトリです!西部諸国を扱う作品にしばしば顔を出すジェライラの登場です。

最初に読んだ時、いきなり死にかけてるんで何事かと思いましたよ(笑)

まぁ、その辺は最後の方に回すとして。★1では彼女の年齢についていくつか書きたいと思います

結論から申しますと、彼女は新王国暦500年生まれです。丁度オーファンが建国した年ですね

フォーセリアでは数え年で年齢を数えたりはしなかったと思うんですが、もし数え年だったら全体的におかしくなっちゃいますね


彼女が出る作品の記述を一つ一つ拾って検証しますと、

作品名:年齢:年号

「ジェライラの鎧」:15〜19: 515〜519

「盗賊たちの狂詩曲」:21:521

「西部諸国ワールドガイド」:23:523

「鏡の国の戦争」:24:524


こんな感じになるはずです。ワールドガイドのジェライラの項を信頼するなら、そうでないと辻褄が合わないし。

西部諸国ワールドガイドの後ろの方に年表がありますが、ジェライラが騎士団に入団したのが517年になってます。

しかし、同じワールドガイドでは523年の時点で23歳となってます。

そして彼女が入団したのは15歳の時というのは、この短編でハッキリ書かれていますから、年表は515年の間違いのはずです。

年表だけを修正すれば他の記述は全部辻褄が合いますから、こう考えるのが自然だと思います。


あと、またも西部諸国ワールドガイドではリファール王ローリスV世の死去が518年になってます。

これは519年のはずです、ジェライラが王都にきてから4年後のことですし。

さらにワールドガイドの年表ではローリスV世の死去が7月になってますが、おそらく1月〜3月頃だと思います。

王の死去から3ヶ月でルバートと会い、そこから更に半年たった「秋の祝いの日」で彼女は騎士に叙勲されたわけですし。


ついでにですね、「鏡の国の戦争」では王女が7年前にジェライラの父が死んだと言っています、つまりは517年ですね。

一方、この短編ではジェライラが王都に来てから3年後の518年頃に亡くなっていますが、

ピッタリ7年前と言うわけではないでしょうし、「鏡の国の戦争」は524年の春から夏ごろの言葉です。

仮に524年の7月頃から6年半ぐらい前だったら辛うじて518年になります(笑)


色々書きましたが、これだけ色々書くとどこかで間違っていそうな感は否めません(笑)

まぁそんなもんかな、程度に受け取ってくださいね。


★2

本編ではジェライラの半生を追うかのように話は進んでいきます。

ジェライラは元騎士の父に剣術の相手をさせられたりなんだりで、すっかり剣で身を立てようと思うようになりました、

ちなみに、母は落馬で落命したそうです。馬から落ちて死ぬのかといえば、死にます。

落馬で首から下が動かなくなっててしまった人もいるぐらいです、ありえます。落ちて暴れる馬に踏まれたらやはり命が危ないでしょう。


彼女の父、ブラム・フェルスは元はリファール一の騎士でした。とはいえ、小国リファールはオーファンやオランのそれとは訳が違います。

騎士団長がだいたい5レベルぐらいでしたっけ、オーファンだったら一騎士隊長ぐらいですね。

多分親父さんも5ぐらい、老いて1〜2レベル程度だったと思われる娘に負けるのだから多分そのくらい。

キャラデータではジェライラはファイター3ですが、15歳の時だともっと低いでしょうね。

でも何で親父さんは騎士を辞めて牧場経営なんかしてるんでしょうね?ある事件がきっかけなんだそうですけど、一体何が。


父親としては、自分の娘の幸せが何より大事でしょう。だからこそ、ジェライラが剣で飯を食おうとするのには反対したんです。

普通は騎士ってなろうと思ってなれるもんじゃないですけどね、小国だからこそですよ。

普通は騎士の家系に生まれたら数年の見習い期間を別の騎士のもとで過ごします。そこで騎士道などを身につけ、ようやく叙勲となります。

ジェライラの場合は親父さんのコネで現騎士団長にいきなり会い、そのまま城で見習いとなったわけです。


もしジェライラが騎士とは無縁の家に生まれていたら、彼女の騎士への道は更に熾烈を極めたでしょう。

そんなジェライラの印象としては我侭ですかね。なんか世の中舐めてると言うか、身の程知らずというか。

エイブ騎士団長との試合も、慢心が原因で負けたわけですし。


決まった型しか使えないエイブもエイブだけど、あっさり剣を落とされるジェライラも青い。外の世界にはもっと強い戦士がたくさんいるんです。

女性だけでいっても、ジーニやイリーナやレジィナやシヴィル、みんな6〜7レベルです。

そういえば、ディードもファイターが6あったしピロテースも7ありましたね。8レベル以上の女性はいないんだろうか?


剣を落とされたらその時点で負けだと思いますけどね。

試合だったら参ったすればいいし、実戦だったら予備の武器とかで足掻くのもいい。一番賢いのは撤退ですけどね。

エイブの言うとおり、落ちている剣を拾いに行ったら首を取られるし、剣無しでは戦えない。

この経験がなかったら彼女は命果てるまで押す事しか知らない無鉄砲になってましたよ。


こうして入団したジェライラは、リュキアン王女の護衛として働く事になりました。

王女はジェライラよりも2つ年下です、それはそうとジェライラって言い難くありません?

タイピングも面倒だし、なんか「NARUTO」の自来也と言い間違えちゃうし(笑)。「ジェライラ」と「ジライヤ」似てますね(そうか?)


リファール城や王都の概観は西部諸国ワールドガイドが見やすいでしょう。「西部諸国シアター」の「鏡の国の戦争」でも挿絵が拝めます。

この挿絵がなんとも壮観でしてね、城がとてつもなく立派で大きいもののように見えるんですよ。

映画の方の「指輪物語」でも出てきそうな感じ、ミナス・ティリスや角笛城とはまた違った風情です。

最初の内はリュキアンに馴染めないジェライラですけど、後々親友とまで言えるほど親しい主従になります。

ふと思い出したんですけど、リュキアンって「鏡の国の戦争」でジェノアとゴニョゴニョなんですよね。22歳の事ですか…まぁ早くはないか。


★3

ジェライラは支度金を貰って鎧の発注に出掛けます。なんでも城内の職人は修理はともかく造るのはダメなんだそうです。

親父さん御用達のロスキンズという鍛冶屋を尋ね、そこでルバートとの運命的な出会いを果たします。

別に漫画みたいな劇的出会いというわけじゃないですよ、真実の愛にまで至った出会いはどれも運命的といえるのです。


このルバート、ジェライラのダーリンになるわけですがその腕がスゴイの何の。驚くなかれ、10レベルのクラフトマンです!

一般技能が10レベルって他にいないんじゃないかな(多分)。そんな人がなんだって下積みなんてしてるんでしょうね?

この時はまだレベルが低いんでしょうか、それでも4年で親方を抜くなんて本当に天才ですよ。


ときにこの場面、実に興味深い。チェインメイルアーマーやらレザーアーマーやらの造り方がやけに細かいんですよ。

これってもしかして史実を参考にしたんでしょうかね?レザーアーマーが沸騰するニカワに浸して造るなんて知りませんでしたよ。

チェインメイルの鎖が棒に巻いた螺旋状の鉄を一つ一つ切り取って造られるなんて知りませんでした。

そういえばエジプトでは、人間の死体をニカワでミイラにして観光客に売る輩がいるそうですが、本当かな?


鎧の値段について、ここで出てきた出来立てのチェインメイルは600ガメルだそうです

チェインメイルの値段は(必要筋力×50+50)ですから、筋力11ぐらいですね、

チェインメイルの必要筋力は最低10からですから、本当に軽い部類に入ります。


高い物が1000ガメル以上するというのも本当です。一番重い19のやつが丁度1000です。

これを高品質+5にすれば2000、確かに上回ります。革鎧の値段がその半分というのも大体あってます。

ハードレザーが(必要筋力×30+30)でソフトレザーは(必要筋力×15+20)です。

ハードは2倍ぐらいですね、ソフトだと3倍ぐらいにはなりますね。


鎧造りも実に細かい。針子が体中のサイズを計り、胸の成長まで計算に入れます。女性は胸がありますから、胸パーツの造詣を工夫しないと。

ところで、ファンタジーキャラって何故か巨乳ばかりなんですよね、なんでだろう(笑)

あと肌に直接鎧を着る女戦士とかいますが、そんなことしたら痛いですよ、鎧下をつけなきゃね。


重りを仕込んだチョッキで必要筋力を測ったりもします。どうやら重りの数がそのまま筋力となるようです。

成長したジェライラの筋力は17、重りの個数も17、意図的な一致としか思えません。

この時は15個ですから筋力15ですね。13〜14歳ぐらいだと筋力は5/6になるんですが、微妙に合ってますね。

今15歳ですけど、その辺は個人差と言う事で。当時はまだ完全版ルールはなかったというのに、凄い一致です。


その後、どうしても17個と言い張るジェライラはそのままルバートと競走して負けます。

実はルバートって筋力が18もあるんで17程度ではなんでもないんですよね。ジェライラの場合は2も重いわけですから、遅くなって当然。

ベルド陛下は24個もつけて自由に動けるんですよね。イリーナなんて25個、やっぱり人間離れしてます(笑)

走り終わり、ルバートが気になってしょうがないジェライラは初々しくて可愛いかったです。


★4

5日で完成したレザーアーマー、結局お金がないから革鎧なのね。リュキアンもセコセコせずにもっと多く渡してやればいいのにね。

必要筋力一杯のハードレザーのようですから420ガメル(必要筋力13)駆け出しの冒険者とそう変わらない予算だったようです(苦笑)

いくら見習いがプレートアーマー着ちゃいけないからってねぇ、せめてチェインメイルぐらい買えても良さそうなのに。

ルバートとしてはこれからも彼女の鎧を造っていく気満々ですね。ルバートってどの時点でジェライラへの恋心に目覚めたんだろう?


所変わって某酒場、自分の武勇談(とはいえ狼―笑)を熱心に語る大男とルバートは喧嘩を始めます。

その話があまりにも支離滅裂で、鎧作りの参考にしようとしているルバートはツッコミを入れざるを得ませんでした

大抵はそういうもんですよね、酒の勢いであることないこと吹聴する嫌なオヤジ。いや、オヤジでなくてもそういう奴いますよね(苦笑)


ルバートもこんな小さな国じゃ高レベルな冒険者にはそうそう合えませんよ。

オランとかファンとかだったら信憑性のある本物の冒険談をあちこちで聞けますよ。ルバートもなんかその辺の世事には疎そうですもんね。

インチキっぽい大男じゃない、本物の冒険者と冒険談を見分けられるか?


喧嘩はジェライラの登場で事なきを得ました。ルバートとしては鎧作りの参考にしたかっただけで、一切悪意はないんですけどね。

ついにはジェライラから剣を教わって今度はそれを参考にしたいとまで言い出しますし。鎧バカというか、プロというか(笑)

でも、確かに実戦の動きを知ることは鎧造りには役立ちそうですね。

例えば狼。狼と戦うか戦った人の話を聞かなければ狼への対処法は分かりません。最初に狙ってくるのが脛というのもね、勉強熱心ですよね。

結局は鎧の代金をチャラにする代わりに稽古をつけてもらうようになります。これって傍から見たらカップルですよね(笑)


★5

それから2年半の時が流れました。サラリと凄い時間を経過させますね、ジェライラももう17ですかね?

その間毎月稽古をつけてたんですね、2人はその後酒場に行ったりと2人でブラブラ。世間一般から見たらこれはデートでは(苦笑)


でも、ジェライラってなんとなく平民を見下してません?「下賎」だとか「たかだか」だとかね。

騎士はどうなのかと言えば確かに地位はある、でもだからどうした?といった感じですね。


人間の価値というものは生まれや仕事や財力や権力や暴力で決まるものではありませんし、優劣をつけるのも無意味な事です

等しい人間なんて一人もいやしない。ただ、どういう役割を果たしているかが重要なんです。

農民がいなければ町の人間はものを食べられない、だからこそ農民の仕事は尊いんです。

職人がいなければ生活用品や武器が手にはいらない、だからこそ職人の仕事は尊いんです。

領主は土地を治め、騎士は国を守り、平民は国を支える。どれも大切でどれがなくても困るでしょうに。


ただ、拭い切れない差別意識というのはどうも存在しますよね。

自分より下の存在を意識せずにはいられない、そうする事で自己を立脚しようとする。

愚かしいとは分かりきっていますが、それでも捨てきれないのは人間だからでしょうか。


フォーセリアもまた然り、だからこそ騎士や貴族は平民の有難さをもっと知るべきです。ナシェルみたいに市井に触れて育てるべきです。

自分の治める土地を歩きもしないでロクに仕事もせず、税ばかり持っていくんじゃ泥棒と変わりませんよ。

いや、泥棒と違って自分を尊い人間だと思い込んでる分余計タチが悪い。


リュキアンはその辺分かっていそう。平民に憧れるというのもその表れですね。

平民は王侯貴族に憧れ、お姫様が平民に憧れる。自分では叶えられない物に魅かれるものですね。


そして最初の頃から3年経ました、ジェライラ18歳。

城に来たころはロードスでは支配の王錫を巡る戦いがあったのにね(笑)

この時点で親父さんが亡くなったんですよね、かつては騎士団一といわれた男の最期が馬に踏まれて死んだとはね。

人生なんて、本当に呆気ないものです。幽霊って、自分が死んだのに気づいていない人のことを言うのかもしれませんね。


ジェライラも自分の生き方に疑問を持つようになってきました。騎士の仕事が思っていた通りの華やかなものではないわけですし。

華やかかどうかはともかく、波乱の人生を送りたいなら冒険者でしょうね。普通に生活している分には絶対経験できないような事ばかりです。

どうして大人になると忘れてしまうんでしょうね。少年の頃の夢や希望、少女の時の理想やトキメキを。

そういう意味ではルバートって未だに子供以上に夢に燃えてるんですよね、羨ましい限りです、


そんなルバートの夢、自分の店を持つと言う夢をかなえるためにジェライラは遺産を譲ろうとします、

彼女としては父親の遺産を受け継がずに生きていきたいわけですし、ルバートもただ貰うんじゃ情けないと考えるのは当然。

結局は借りるだけ、ということです。妙に頑固な所はよく似てるのかもしれませんね。似た者夫婦ですか。


★6

更に翌年、国王崩御。こうなると次に国を治めるのはリュキアンしかいません

かつてはどうでも良さ気だったジェライラの仕事も最重要な仕事になりました。

丸3ヶ月間、彼女はよく頑張りましたよ。おかげでリュキアンも無事に統治を行えるようになりました。


その間ルバートとは全然会えなかったわけですね。でも働きを認められたのか、ジェライラもいよいよ叙勲です!

ルバートも腕によりをかけてプレートメイルを造る時がきました。


ルバートも店を持ったわけですが、なかなか大変そうですね。完璧な仕事をするだけに、時間もかかって値段もほとんど倍です。

もしかしたら、彼は全ての鎧を高品質+5で作ってるのかもしれませんね。手を抜かず、全力を向ける事で高品質の物を造ってしまうとか?

それなら時間もかかるでしょうし、値段も倍になります。高品質のものを造るってこういうことを言うのかもしれません。


さて、その鎧の造り方というのもまた斬新。ジェライラをパンツ一丁にして全身に石鹸水を塗り、糊に浸した布を1枚1枚貼っていく。

それが乾けば身体を完全に象った型が出来るわけですね。それを元に体のラインにあわせたジェライラだけの鎧を造る。

なんかヤバイ趣味の職人みたいですね。その型を利用してゼリーとか1/1フィギュアとか普通に作れそうです。


そうそう、ルバートがジェライラに手を出さない理由は花は咲いてこそ花、だからだそうで(照)。

今のジェライラが好きだから、いまのままでいて欲しいんだそうです。凄いな〜石田純一みたいな歯の浮くこと言いますね(笑)


でもジェライラの心にはキタらしく、心はすっかりルバートのものになってしまいました。

丁度子牛に焼印を押すように、ジェライラの心にはルバートという名の焼印が……。甘すぎる!書いていて恥かしくなってきた(悶絶)!


★7

なにやら市壁について大臣が小うるさく城壁を作ろうと主張しています。リファールには他の国のように町を囲う壁がありません。

それ故、外の人たちからは「夢を見ているのか?」と嘲笑されてるんですよ。


他にも、リファールはその立地条件から様々な問題を抱えてます。

西のラバンとの国境問題、北のゴーバの自然破壊、南のドレックノールからの犯罪や麻薬、そして西の未開地からの侵略の危険とね。

しかし国民には危機感はなく、その日その日を楽しく生きてます。だから"夢見る都"なんていう恥かしい名前をつけられてるんですよね。


大臣としてはせめて壁だけでも作ろうとしているわけですが、無意味ですね。

焼け石に水、浅学無才、少ない予算から作る貧弱な壁では使い物になりません。まして、隣のラバンを警戒させる事にも繋がります。

城塞都市であるプリシスのような立派なものでなければわざわざ作る意味もない。


テン・チルドレンの外からの侵略には「タイデルの盟約」が発動します。

要はロードスのモスにおける「竜の盟約」のようなものです。外敵には全ての国が協力して戦うと、そういうことです。

西部諸国全ての戦力が結集すればロマールのような強国と戦う事もできます。多分ね、本当に多分。

騎士の数や質や国民の総生産力などなど、そういったものがちゃんと分からないとなんとも。


「タイデルの盟約」が締結されたのは新王国暦500年、丁度オーファンが建国された頃。しかもジェライラが生まれた頃ですね。

それまで、中原ではファンやモラーナが滅亡したり、オーファン・ファンドリアが興ったり。

強国であったレイドがロマールに併合されたり、ザインで色々あったりと、荒れていました。

西部諸国の一つ一つでは外の脅威とは戦えない、だからタイデルで盟約を結んだんです。


われら十の国は、その生まれは違えど、盟約で結ばれた兄弟である

われら十の国の軍は、外に対してはひとつである

われら十の国のうちいずれかが、外なる勢力より侵略を受けたら、十の国の軍すべてを結集してこれに当たる


新王国暦513年、ガルガライズ城が"海賊王"アルジャフィン一派に包囲されたときのみ発動されました。

危ないのはロマールと国境を接しているベルダインとオーファンと接しているタイデルでしょうか。

ケイオスランドや海からの危険があるのはコリア湾に近いベルダイン・ガルガライズ・ドレックノール(ついでにザーン)とかかな?

内陸のゴーバなんか侵略されるのは最後になりそう。


ところで、これって「竜の盟約」のように内戦には発動しませんよね?

魔神戦争の時、魔神たちはスカード公ブルークの姿を利用することで「竜の盟約」を破棄させましたね

これはモスの身内であるブルークならば外敵ではないから盟約は適用されないと言う理屈です。

もちろん、このブルークは偽者なんで魔神たちの思う壺でしたね。


同じことを西部諸国でやったとしたら、成功しそうですね。入れ替わりと何らかの戦力を使って内から西部諸国を征服する(ヲイ)。


閑話休題、リュキアンはジェライラに武勲をあげさせるために1つの話を持ちかけます。

それはメジオンの異変でした。メジオンというのはリファールとドレックノールの間にある広い湿地帯です。

実はこの事件、スキュラが人間を捕獲して食料にしてるんですよね。

"スリープ"で眠らせてしまえばいつでも食べられる、ということだそうです。


チャンスと言えばチャンスなんですけどね。ここで功績を立てれば堂々と騎士になれる。スキュラかぁ、決して強い相手ではないんですけどね。

4レベルモンスターですから、3レベルのジェライラなら魔法の援護があればどうとでもなるはずです。

6本の蛇の頭部を使って攻撃するわけですが、1人の敵には1ラウンドにつき3回までです。

打撃点は12、ジェライラの場合は鎧が6発止めるとして、3点は通りそうですね。"プロテクション"でもかければ上等でしょう。

回避点も11(4)なんで攻撃点が6なジェライラなら75%程で当たります。ついでに防御点は7で、普通にダメージが通りますね。


このデータは完全版のものですから、旧版とはちょっと違ってきます。

旧版では攻撃点は12(5)だし、打撃点なんてたったの7、これじゃほとんど通りませんね、

どうとでもなる相手の筈なんですが、実際は凄い苦戦するんですよね。何でだろう?あんなに劣勢になるわけないのになぁ。

仲間が3人も一気に殺されたのが原因かな?魔法使いが失神したせいかな?それとも弱すぎたのか(笑)


★8・9

ということで、ジェライラたちは現場へ向かいます。嫌な同僚とか、変態っぽい魔術師とかいますが省略(切がない)。

小うるさいピクシーに導かれてスキュラの生息地へ。沼に生える木には"スリ−プ"で寝かされた大勢の人間が吊るされていたりします。

そこでスキュラは上半身だけを出して普通の娘を装うことで沼に騎士を誘き寄せます。


カラー挿絵ですね米田先生の女性は着てると綺麗なんだけど、脱ぐと色っぽくない(気がする)。

それにしても、スキュラ強すぎません?なんか蛇の頭の攻撃が凄い強力、"バルキリー・ジャベリン"なみの貫通力を持ってる気が(笑)

グリモールとマイスは水中で殺し、ニードは"シンク"で溺死です。"シンク"は4レベルのスキュラなら4点消費、元が15点だから残り11点。


その後、魔術師のリュウェインは"ファイア・ボルト"と"シェイド"を食らって失神。

合計4点消費、残り7点。もう7点ですよ、精霊使いを連れてくるべきでした。

3レベルぐらいの精霊使いでも2〜3発"シェイド"を打ち込めば倒れますよ(笑)


剣を使うことしか知らない騎士なんかよりも冒険者を雇うべきだと思うんですけどね

こういう事件には色々な技能を持った冒険者パーティーの方が向いてます騎士は国の治安を守ってればいいんですよ


先輩騎士のオーカスも"バインディング"で身動きできない所を殺されますし、打撃点が軽く20点以上ありそうな一撃ですよね。

3点消費、残り4点。8点以上の"シェイド"を打ち込めば逝きますって。早くも6人中5人が倒されてます、魔術師は生きてるけど。

その上"スリープ"をジェライラに飛ばすんですが、これで5点消費。それじゃ−1になってスキュラ失神するじゃないですか。


ジェライラ根性で抵抗、見事にスキュラの首を飛ばします!でもスキュラは首がないのにジェライラを持ち上げ、蛇リンチ!(笑)

うわ、強すぎですってスキュラ!実は7レベルぐらいあるグレーター・スキュラだったとか(それでも7かい―苦笑)


ところが、ルバートの愛が篭った鎧はジェライラを守りきりました!今更気がついた魔術師や後続隊とも合流し、結果オーライです。

間違いなく武勲ですからね、スキュラ一匹に4人も死人が出たけど。その後、ジェライラは騎士になり、ルバートは鎧職人を続けています。

2人は自他共に認めるラブラブカップルなわけですが、結婚はしません。何故ならば、結婚だけが愛の形ではないから。


ジェライラは騎士として生き続け、ルバートはそんな彼女のために鎧を造る。これが不器用ながらも辿り着いた2人の愛の形!

これでリファールにいったらルバートに鎧を作ってもらおうというプレイヤーが増えそうですね。ただし女性の鎧は造りませんけどね




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