「ロードス島戦記5 王たちの聖戦」著:水野良 出版社:角川書店
★1
シューティングスターとの戦いに勝利したのも束の間、パーンはロードス南部の三国、モス、ヴァリス、カノンを回る旅に出る事にしました。
戦いの後、カシューが改めてパーンに王になってみないかと誘ってみたら、スレインが予想以上に食いついてきたのです。
今のパーンならアラニア王として立つ事も十分可能ですし、そっちの方が対マーモ戦が有利になるからです。
竜殺しとしての名声、フレイム王国からの援助、ラスターとアモスンに失望している民衆、これだけの条件があればアラニア王になれそうです。
しかしパーンは拒否しました。王になれば救える人は多いかもしれない、でも切り捨てねばならない人もいる。パーンにはそれが耐えられない。
確かにアラニアをまとめる事は必要でしょう。しかし、自分を殺してまでそれを行わねばならない義務はパーンにはないとも思います。
例え後にそれが禍根になったとしても、それを強制する事もやはり出来ないんじゃないですかね。今のパーンは既に"自由騎士"ですし。
パーンの性格を考えると王になっても何とかなりそうですけど、同時にパーン本来の持ち味も色あせてしまいそうな気がします。
結局話は平行線のまま、パーンは何人かの仲間達と一緒に南に旅立つ事にしました。
その旅を経験する事で、パーンが心を変えてくれる事をカシューやスレインは期待しています。
これからパーンはロードスの次代を担う三人の王に会う事になる訳ですが、答えはそれからでも遅くはありません。
旅の仲間はお馴染みのスレインとディード、それにシーリス、ホッブ、マールです。
カシューは当然フレイムに戻らないといけませんし、フォースは盗賊ギルドを、シャリーはマイリー神殿をまとめないといけません。
レイリアさんは小ニースの待つターバへ戻りますし、セシルはザクソンの抵抗運動を引き継がねばなりません。
レイリアさんは"リターンホーム"でさっさと帰りましたが、セシルは徒歩です。それぐらい"テレポート"で送ってやれよスレイン(笑)
一行は戦勝祝いで盛り上がっていたライデンの街から南下し、モスは"竜の目"ハイランド王国の王城オーバークリフを目指します。
なお、ライデンはシューティングスターからの被害が大きすぎたので、フレイムに保護を申し出ました。
長い間自治を行ってきたライデンも、とうとう王国の下に入る事になったんです。これはこれで、ちょっとした歴史的事件ですね。
モス公国はちょっと特殊な地域で、ロードスの他の王国とは大分毛色が違います。
"竜の王国"、"戦神の王国"と呼ばれ、"緑と褐色の山脈"アルボラにある複数の王国の連合国家なのです。
モス地方は古来より群立する小国同士の争いが続き、長い間統一国家が出現しない地域でした。
戦国時代のように、各国が時に協力し、時に敵対し、覇をかけて争ってきた地方なのです。マイリー信仰が盛んでもあります。
そんなモスも、ある時北のライデン王国が南征の兆しを見せた事で「竜の盟約」という協定を結びました。モス公国の誕生です(259年)。
これにより、各国は竜の体の一部の名を冠し、盟約に参加する国が外部からの侵略を受けた場合、他国も出兵して戦うようになります。
アレクラスト大陸は西部諸国のテン・チルドレンの間で結ばれた「タイデルの盟約」に似ていますね。
これにより、各王国の国王は太守となります。その太守たちの中から、モス公国の公王を選定します。ちなみに任期は終生です。
しかし一般に王国の下に位置する公国という言葉を使っていることから、各国の独立意識の強さが伺えます。
本来ならば、モス王国であり、内部の国々も公国を名乗るのが筋なんですけどね。実際事情を知らない人はそう呼ぶ事もあります。
竜の体の一部を冠する国はあまり多くありません。滅びた国も含めて、精々数国。もしかしたら発表されていないだけかもしれませんが。
モスの内部には様々な国がありますが、どうやら竜の名を冠する事が出来ずに、他国に従属・併合された国もあるようです。
竜の名を冠する事が出来ないということは、盟約に参加していないという事です。もしもの時は他国からの出兵を期待できませんからね。
ちなみに、竜の名を冠する国ですが、"竜の目"ハイランド、"竜の鱗"ヴェノン、"竜の炎"ハーケーン、といったあたりがメジャーです。
他にも"竜の爪"レントンや"竜の尾"リュッセンなどもあります。他にも"竜の翼"という国もありますが、謎の国です。
もっとも、リュッセンは魔神戦争で壊滅的な打撃を受けてハーケーンの属国になりましたがね。多分そういう国はもっとあるんでしょう。
魔神戦争の時の公王は、ハイランドのマイセン公でした。あの五色の魔竜の一匹金麟の竜王マイセンは彼から名を貰ったのです。
最近の公王はハーケーンの太守でしたが、英雄戦争の時にヴェノンが攻め込んで王族ともども抹殺してしまいます。
それからはヴェノンのヴェーナー公爵が公王を名乗り、今ではモスの殆どがヴェノンの傘下にあります。
パーンが訪れた時点では、この状況を打開できるのは竜騎士を擁するハイランドだけという状況になっています。
勿論この珍妙な顔合わせですから、色々疑われもしました。最後には正式な使者として迎えられましたけどね。
それはそうと、魔神戦争の時にはいなかった宮廷魔術師がいるようですね。あんな事がなければウォートがここにいたかもしれない……。
マイリー司祭であるホッブは特に丁重に扱われました。この地方ではマイリーを味方につける事は大義名分を得るも同然ですから。
多分今の苦しい状況ですから、ホッブの来訪はちょっとした吉兆のようなものだったんでしょうね。
"竜の目"ハイランド王国は竜を駆る騎士、竜騎士の存在が有名です。
王国としてはモスの中でもかなり古く、どうやら祖先には竜司祭もいたようで、その時の技術の遺産が竜騎士のようです。
ハイランドの竜騎士とにかく強いのですが、空中から飛び道具などの卑怯な手段は使わないポリシーもあります。
そして王家が勇者の家系である事も有名です。「ハイランドに暗君なし」とまで言われています。
マイセンは当然、その息子の双子フロイとリーゼンは高名な百の勇者であり、「最も深き迷宮」で戦死したことになっています。
マイセンの甥にあたるナシェルにいたっては、「ロードス島伝説」の主役です。百の勇者の将軍として"栄光の勇者"とまで呼ばれた大器でした。
現在の王はマイセンの長男ジェスターです。
ジェスター 60歳
ファイター?。マイセンの息子であり、魔神戦争の時はモス公国の騎士団をまとめる将軍でもありました。
彼が魔神王と戦っていたら六英雄は七英雄になっていたそうですが、それはちょっと微妙(苦笑)
現在竜熱に侵され、ヴェノンを倒す事を迫られている厳しい立場です。息子のレドリックが奔放な性格をしている事も悩みの種。
竜熱のせいか、この3年後に死去します。享年63歳でした。
パーン達はカシューからの親書をジェスター公爵に届けます。その時のジェスターは竜騎士の職業病とも言える竜熱によって大分衰弱してました。
竜はその体内に炎の精霊力を宿しているので、その竜と親密な関係にある竜騎士は竜熱という不治の病にかかることがあるのです。
ちょっとした微熱にかかるぐらいですが、この病が治ることはありません。マイセンが早死にしたのも、この竜熱のせいでしょう。
竜熱(ドラゴンフィーバー)は進行ががとても遅いのですぐに死ぬ事はありませんけどね。細かい事は「伝説」の方に回したいと思います。
親書の内容はフレイム・ヴァリス・ハイランドの三国同盟の提案。そして、当面の敵への出兵の意思表示です。
前者はともかく、後者は問題でした。ジェスターのような英雄が他国の力を借りてモスを統一しても必ず角が立ちますからね。
それに、最近急成長するフレイムへの警戒もあります。今のフレイムは間違いなくロードス一の大国ですからね。
風と炎の砂漠、火竜の狩猟場、ライデンを手に入れ、多くの難民を抱えながらもそれを養う事が出来て人口も戦力も急成長。
これは警戒するなという方が無理ですよ。カシューが本気になれば、ロードス統一だって不可能ではないし。
もっとも、それは取り越し苦労なんでしょうけどね。今後もカシューはそういった兆しを見せませんし。
何故竜騎士を擁するハイランドがこんなにも苦戦しているかというと、ヴェノンには炎の巨人がいるのです。11レベルの巨人です。
ファイア・ジャイアントはその名の通り炎の巨人です。7レベルの精霊魔法(炎のみ)を使い、一切の炎は効きません。
つまり竜のブレスも効かないんですね。しかも精神抵抗19(12)だから、咆哮も効くかどうか。
竜騎士の乗る竜は成竜、精々10レベルです。最大で10レベルなので、実際もっと低いのもいるでしょう。6レベルとか。
10レベルでも咆哮に対する抵抗の目標値は17、余裕で抵抗しそうです。肉弾戦はちょっと微妙。格闘に持ち込めるなら巨人の方が強そう。
ホッブが「何か手を打たないのか」と聞き難い事をわざわざ聞きますが、どうも苦しそうな表情でした。
実は英雄戦争の時は12騎を数えた竜騎士ですが、今では4騎(ジェスター除く?)にまで減っているんです。
内1騎はレドリック王子です。この場にはラウドという竜騎士がいますが、彼はこれからの戦いで戦死します。
しかもその戦いではもう1人死ぬんですよ。つまり、この時代の竜騎士をTRPGで使いたいなら枠はあと一つです。
現在レドリックは行方不明で、ラウドがレドリックの話を持ち出そうとするとジェスターは厳しく叱責します。
王子なのに勝手な事をするからでしょうね。心配だというのもあるんでしょうけど……。
パーンとしてはハイランドに協力したいんでしょうが、フレイムの使者として顔を出した以上、それも出来ません。
一行は微妙な心境のまま王城を後にして、ヴェノン領を抜けてヴァリスへと向かいます。早くも前途多難な予感……(苦笑)
★2〜10
アルボラ山脈は"緑と褐色の山脈"と呼ばれているんですが、ここでのスレイン知識では"緑と青の山地"になっていました。
「永遠の帰還者」のP.108や、「亡国の王子」のP.191にも同じように書かれていました。間違いかな?
途中までは割と楽しそうな道中でした。パーンがただの遺跡をヴェノンの砦と見間違えたり、微妙に天然でせっかちさんですね(苦笑)
「小さく舌を出して、スレインの背中に回りこむ仕草」をしたり、こんなユーモアな面もあったんですね、パーン23歳。
この後にも遺跡が出てくるんですが、この場で見たのとは別のはず。マールは何か動くものを見たそうですが、何だったんだろう?
ところで、前々から気になってたんですがウズの村で何かあったんですか?。私の知らないストーリーがあるようなんですけど。
英雄戦争の時にウォートの館を訪ねたわけですが、その途中に立ち寄ったウズの村で何かあったようなんですよね。
CDドラマかなんかでしょうか。私はそういった音楽媒体には疎いんで、その辺で語られたサイドストーリーなんでしょうか。
ウズの村といえばゲームではトロールと戦ったし、漫画版「ファリスの聖女」では六英雄やフラウスが立ち寄ってましたね。
漫画では村人のサイドストーリーも挿入されてましたし、パーンとディードもラストでウズの村に立ち寄ってましたし。
ハイランドから南下してヴェノン領を通る事になる訳ですが、予想通りヴェノン兵に絡まれます。
大して強くはないんですが数だけは多いので、ホッブが軽く"フォース・イクスプロージョン"などを使いつつ逃げる事にしました。
そんな中でシーリスだけがはぐれてしまい、逃げるシーリスはレドリック王子と遭遇するのです。
レドリック 23歳
ファイター3、セージ3、ドラゴンテイマー6。ジェスターの息子のハイランドの王子です。この場ではレッドという偽名を名乗ります。
明るく奔放な性格をしていて、父親よりも叔父に当たるフロイとリーゼンに似ている気がします。金髪なので、イラストでは眉なしに見える(笑)
色々と問題はありそうですが、臣下には慕われているらしい。今回は巨人を倒す為の魔剣を求めていた所をシーリスと遭遇しました。
なお、ドラゴンテイマー技能は一般技能で竜騎士には必須の技能です。竜を駆る際にはこの技能を用います。
レドリックはヴェノンに追われているシーリスを茂みに引きずり込んでやり過ごします。流石は7レベル、シーリスを押さえ込むとは(笑)
シーリスの評価ではすれ違う女が10人中8人は振り返るらしい、結構カッコイイんですね。フロイとリーゼンも美青年でしたっけ。
ナシェルもそうでした。この家系は男前な家系なんですね。ジェスターはイラストがあまりないんで微妙。アニメではダンディーでしたが。
そういえばこの○人中○人は振り返るっていう表現、この頃の水野先生はよく使ってた気がしますね。フォースとか。
レドリックはシーリスを傭兵として雇おうとします。これから巨人殺しの魔剣を手に入れる為に、ヴェノンの砦に忍び込む為にです。
シーリスは冗談半分(以上)で報酬に財産の半分を要求しますが、それだとレドリックの場合国半分なんですよね。冗談ではなく本当に(苦笑)
シーリスはレドリックから手付けで高価な指輪を貰い、丁度彼に好感を抱きつつあったのでこの仕事を請けてしまいます。
相手が王子だと知らないシーリスは相棒にならないかと誘いますが、別にオルソンの事を忘れた訳じゃありませんよ。
レドリックも満更ではなさそうでしたが、立場上そんな事は無理だと分かっています。もっとも、ある意味相棒になるんですが……。
一方パーン達はディードが"メイズ・ウッズ"などを使いつつ無事に逃げ切っていました。やっぱり8レベルなんですね。
植物の精霊王エントの力を借りて、迷いの森を作り出す8レベル精霊魔法です。丸一日森から出られなくなります。哀れなヴェノン兵(苦笑)
それからパーン達はマールのレンジャー技能をフル活用しつつ、シーリスを探す事になります。パーンは仲間を放ってはおきません。
そしてヴェノンの兵士が大勢駐留している遺跡兼砦を発見し、そこでシーリス&レドリックと合流するのです。これで7人パーティー。
レドリックがパーンに対して斬りつけた時は流石にドキリとしましたが、それを受け止めるパーンはやっぱり強い。
レドリックの攻撃力は+1の魔剣を加えて10、対するパーンは装備込みで14。不意打ちで−4してもまだ分があります。
同じ数値の場合、防御側の方が若干有利なんです。まぁパーンは2レベルレンジャーでもあるんで《危険感知》ぐらい出来たんでしょう。
事情を話すとやっぱりパーンは協力したがりますが、シーリスがレドリックから貰った指輪を見たスレインは積極的に協力しようとします。
指輪にハイランドの紋章が入っていたから、大体の事を察したのです。ここで通りすがりの冒険者として助ける分には無問題。
ちなみにモスの諸国の紋章は、モス公国を表す竜と、それぞれの王国を表す竜の体の部位によって成り立っています。
ハイランドの場合、意匠化された竜と眼が区切られたような感じですね。ハーケーンだったら眼ではなく炎になるわけです。
この場では正体は伏せて、速やかに砦へ侵入する事になります。やはり盗賊のマールが大活躍します。
スルスルと城壁を登って閂を外し、遺跡の中に入っても慣れた感じで探索を進めます。明らかに経験ありますね。
もっとも、侵入したのには気づかれたので遺跡の外部はヴェノン兵が包囲しています。多分"トンネル"とかやっても見つかるぐらいに。
スレインが"アンロック"で巨人が通れそうな巨大な門を開け、続けて"ハード・ロック"で閉じてしまいます。これで門は鉄の硬度になります。
こうなった以上、スレインが合言葉を唱えるまで効果は永続します。鉄の硬度ですからね、破城槌だった壊せるかどうか。
いっそ周りの壁を崩した方が速いでしょうね。1日やそこらなら、時間稼ぎになるでしょう。
楽に開けようと思うならディスペルか"アンロック"でスレインの魔力を破ることですね。魔術師がいればですが。
ここからはロードス島戦記初?の遺跡探検になります。一直線に進むパーンだと罠にかかってそう、マールがいてよかった(苦笑)
このメンバーって戦闘慣れはしてるけど、こういった遺跡探検には慣れていないようなんですよね。
以前砂塵の塔とか石の王国とかにも潜りましたが、両方とも手付かずのカストゥールの遺跡とは少し違いますしね。
やっぱりマールが頼りです。大陸の冒険者としての経験を生かす時です。盗賊としての真価が問われますね。
この遺跡には例のファイア・ジャイアントが幽閉されていました。だから門や天井は巨人サイズの大きなものです。
英雄戦争の時、モスの参戦を阻む為にカーラが巨人をヴェノンに渡したのです。丁度アズモにエフリートの使役法を渡すように。
しかし対抗力を残しておくのがカーラのやり口です。この遺跡にはその巨人を倒す為の魔剣があるのです。
遺跡の入り口は魔法で封じられてましたからね。ヴェノンはここを守る必要があったのです。もっとも、スレインが開けちゃいましたけど。
一番奥の、巨人が繋がれていたと思しき場所まで来たところで、レドリックの正体が明かされて情報交換となります。
ちょっと驚きましたが、それでもやっぱり協力しようとするのはパーンのパーンたる由縁です。流石は"自由騎士"。
やっぱりシーリスが怒り出しました。国の半分だなんて、からかわれたと思ったんでしょうね。レドリックにはそんな気はないのに。
レドリック「その気はなかったのだが、気分を害したのなら謝る。すまなかった」
王族にありがちな傲慢さ0ですね。よく分からないけど、自分がシーリスに嫌な思いをさせたのは事実だから、それは謝ろうというのです。
やっぱりフロイやリーゼンの方に似ています。もっとも彼らはあまりにも一般人が無礼を働くとキレたりしますから、よりリベラルなのかも。
この場合だと大人気ないのはシーリスの方でしょうね。まぁそれがまたシーリスらしいんですけど(苦笑)
それから探索を続行する事になるのですが、シーリスは手近な扉を無造作に開けようとしてマールに止められていました。
マール「ここは、古代王国の遺跡なんだって。どんな仕掛けがあるかわかりゃしないんだから。これだから素人は困る」
と、玄人の方が仰ってます(笑)。一応5レベルシーフだし、やっぱり経験豊富なんですよ。冒険者として遺跡に潜った経験も多そう。
それからマールはその扉を丹念に調べて、頭上から酸?が降ってくる罠を見抜きます。そんなマールを好奇心一杯で覗くパーンが好き(笑)
マール「近寄ると危ないよ。毒矢が飛ぶかもしれないし、ガスが吹き出るかもしれないからね。最悪の場合は爆発ってこともある」
パーン「危険なのはマールも同じだろ。なら、いいさ」
マール「パーンって、本当に面白い人だねぇ」
面白い人というのは、まったく依存はないです。いや確かにマールだって危ないんですけど……そういう問題なのかな(苦笑)
解除が難しそうなので上に上って別ルートから行くことになります。このルートだとモンスターがちょっと出ますよ。
僅かに2種類、ガーゴイルとイミテーターです。まぁオーソドックスな組み合わせですね、共に寿命のない魔法生物です。
ガーゴイルは扉を開けたら飛び出てきました。その数は6体、だけどこのパーティーの敵ではないのですぐに殲滅します。
パーン、レドリック、シーリス、マールが1体ずつ、ホッブは神聖魔法を使いつつ2体を倒しました。マールが倒したのは最初パーンが斬った奴。
パーン達が通過してから背後から攻撃するとかの方が効果的だと思いますが、どうやらそういう風には仕込まれてなかったらしい。
イミテーターは階段の途中に潜んでいました。フロア・イミテーターとは微妙に違いますね、言うなればステア・イミテーター。
しかしこれはマールが火責めにしてあっさり焼却。そう、何もまともに戦ってやる必要はないのです。危険な目には合わないに越した事はない。
この時マールが使ったのは燃えやすく滑りやすい油。なんでも大陸の盗賊ギルド特性の油なんだそうです。ロードスにもあるかは謎。
そういえばクリスタニアにも似たようなアイテムがありますよ。燃える油と、滑りやすくする潤滑油の効果を併せ持つ特性油というのが。
行き止まりで困った時は、マールは遺跡内の構造を考えて隠し部屋の在り処を見つけ出しました。
こういうときの為にちゃんとマッピングしないと。このパーティーでマッパーをやるならやっぱり几帳面なスレインかな。
その部屋には、目的の魔剣の他にも様々な財宝がありました。結構な額になるでしょうね。
ここの挿絵のスレインはなんか怖いです。ちょっと目がイっちゃってるような。あとマールが「妖怪人間ベム」のベロに見えたり(Uの方の)
ここでスレインは5レベル古代語魔法"ブリザード"を覚えます。どうやらスレインは"ブリザード"を知らなかったようですね。
勿論"ブリザード"は遺失魔法ではありません。ロードスで遺失というわけでもないです。
賢者の学院は破壊の魔法にはかなり否定的で、単にスレインが教えてもらってなかっただけなんでしょう。
"テレポート"は使えるくせに"ブリザード"は使えない魔術師というのも珍しい。
魔剣を手に入れたのはいいものの、今現在ヴェノンの軍勢に包囲されているんですよね。今日は仕方なく寝ますけど。
寝る前のちょっとした会話で、レドリックとシーリスは仲直りが出来たようです。本当はそんなに怒るようなことでもないんですけどね。
レドリックは理由は分からないけど謝っていたわけですが、シーリスだって何でそんなに腹が立つのかよく分からなかったりします。
何となく好意の裏返しって気もしますけどね。相手が王子様で、次期太守になる運命を受け入れているのが悲しかった。しかも亡国の危機。
案外気は合うのかもしれませんけどね。妙に大味なところとか、オルソンとはまた違った関係が築けそうです。
翌日、スレインは門を開け、ヴェノンの軍勢を迎え撃つことになりますが、これは今までで一番ヤバいシチュエーションだったかも。
次々に押し寄せる圧倒的な数のヴェノン兵には、流石のパーンもきつそうでした。やはり数は脅威ですね。
この時ヴェノン兵は、大型の盾で身を隠しつつ隊列を組んで前進という戦法を取りました。先祖がカストゥール相手に使ったものらしい。
これってもしかしてファランクスですかね、重装歩兵密集方陣。こういう事されると消耗戦になりますからね、圧倒的に不利です。
今こそ"ライトニング"や"ファイア・ボール"という気がしますが、少し抵抗があるらしい。でも"スリープ・クラウド"じゃすぐ起きるから無駄。
幸いレドリックが竜を呼んだのでなんとかなりましたけどね。咆哮でも使えば雑魚は一気に士気が崩れますし。
竜騎士の持つ竜笛は竜を呼ぶ笛で、竜の骨から作られるそうです。なんでも金麟の竜王から教わったそうですが、それは変ですよね。
だって竜騎士も竜笛も、ハイランドとマイセンに親交が生まれる前から存在してますし。まぁこの時は設定が固まってなかったんでしょう。
実際は祖先である竜司祭の技術でしょう。大陸の竜司祭の部族であるブルム族にも似たような技術があるし。
★11〜14
ヴェノン兵を蹴散らしたことで、今度はこの砦をハイランドが使うことが出来るようになりました。
いよいよヴェノンはファイア・ジャイアントを連れて攻め込んできますよ。今度はその軍勢を迎え撃つ事になります。
竜騎士も先ほど出てきたラウドともう1人、計3騎が集まります。これで本国には1騎だけで随分手薄になりますが、今が正念場なんで。
やはりパーン達も協力しますよ、無報酬の成り行き上でここまでやるなんて、本当に人がいいんだから(苦笑)
ラウド「そこの女性は、おそらく殿下好みと拝見しましたが、いかがですかな。結婚でもなされば、約束を果たせることになりますぞ」
それが近い将来現実になるとは思いもよらず……、人の縁は分からないものです。
ホッブ「男と女の関係も、またひとつの戦い。そうはうまくはいかぬものだ」
なんか「リウイ」に通じる事を言いますね。「リウイ」での水野先生の恋愛観は最早一つの哲学ですよね……。
それにしても今回はファイア・ジャイアントですか。炎の魔神に火竜の古竜種ときて炎の巨人か、なんでこうも炎系のモンスターが続くんだ(苦笑)
ファイア・ジャイアントの全長はおよそ7m、ちょっとした腰布を巻いただけの蛮族のような格好です。
しかし実は、この巨人ってかつてカストゥール王国と戦った炎の巨人族の王なんですよね。五色の魔竜同様に呪いで服従させられてるのかも。
幽閉されていたのはカストゥールが滅びる前からですから、ざっと500年間。巨人ってそんなに生きるもんなんですか。
本来ならファイア・ジャイアントも十分強敵なんですけど、シューティングスターの後だとそれ程でもないですね。
パーンの場合は命中確率が83%、回避は75.6%。更に"フル・ポテンシャル"も使えば何とでもなりますね。
打撃点もシューティングスターと比べると何でもないし、1回攻撃だし。1ゾロでも振らない限り倒れないし。
ダメージも"フル・ポテンシャル"かかってるなら5以上振れば通ります。そして仲間達の援護、これなら勝てそうですよ。
でもパーンが倒しちゃ駄目ですよ、モスを統一する為には、レドリックが"巨人殺し"の名声を得る必要があるのです。
今回はパーン達も脇役です。レドリックが例の魔剣で巨人を倒さないといけません。しかしこの魔剣が曲者でした。
この剣は剣であって剣でない、実は巨人を倒す為のマジックアイテムなのです。使用すると凄まじい凍気が巨人を包むんですね。
そうと知らないレドリックは一度これで巨人に斬りかかりますが、あえなく失敗。本当の使い方を調べる為にスレイン、マールは遺跡に潜ります。
竜から巨人に飛び移るとは、なんて無謀なことをするんでしょうね。着地は考慮してなかったのかな(苦笑)
巨人なんですが、何かデカ過ぎませんかね?。全長7mと人間の4倍程度なんですが、もっとありそうに見えました。
レドリックは巨人に飛び移って剣を突き刺したわけですが、レドリックがかなり小さくなっていたように思えます。
自分が巨人になったと考えると、普通の人間がその1/4ですよ。犬ぐらい。肩に乗っかられたら結構嵩張るとおもうんですけどね。
成竜の全長は15m、幼竜だって10mはあるはずです。ウルトラマンが全長40mなんですが、それぐらいあるような……(苦笑)
巨人は岩を投げてこっちの城壁を破壊してきましたが、通常の打撃点(21)よりも威力がありそうでしたね。
人間が原型を止めないほど潰れるぐらいですからね、これは大分ヤバイですね。やっぱり21どころじゃないと思う。
必要筋力ピッタリのロックを投げてたと考えると、あまり変わらないはずですけどね。
モンスターの筋力の目安は「(打撃点−モンスター・レベル)×3」で、ファイア・ジャイアントの場合は筋力30です。
これで"ファイア・ウェポン"を使えば"メテオ・ストライク"に進化ですね。打撃力40で鎧も効くから、ちょっと弱いけど(笑)
ちなみにクリスタニアのファイア・ジャイアントは2D10+50点というとんでもない投石を行ってきます。
期待値は61点、これは食らったらタダじゃ済みません。実際9レベルのアロートが一撃で生死判定になって死に掛けましたし。
巨人は猛威を振るい、竜騎士のラウドとジェイスは竜と共に戦死してしまいます。最期まで立派でしたよ。
ディードがイルクを召喚しますが、倒すには至りません。タダでは済んでませんが、巨人は生命点豊富なんで。
レドリックとシーリスが巨人に踏み潰されそうになった所で、スレインが魔剣の真の使い方を見つけ出して戻ってきました。
魔剣を地面に突き刺すと正しく効果を発揮し、巨人は凄まじい冷気に巻かれて悶絶します。スレインの"ブリザード"も決まりました。
別にファイア・ジャイアントは「冷気に弱い」というわけではないんですけどね。あってもいいとは思うけど。
炎と対になるのは水と思われますが、氷も含めた五大精霊力で考えると氷になるはずです。エネルギーの正負という意味で対になる。
スレイン「あの巨人も利用されていただけにすぎませんからね。
昔は、自由な意志を持ち、わたしたちの先祖とともに古代王国の支配に対して戦ってきたのです。
もしかしたら、今、彼は魔法の呪縛から解き放たれたのかもしれません。
古代王国の強力な魔法は、死をもってしか逃れる術がなかったのでしょう」
真偽は分かりませんが、多分その通りなんでしょうね。五色の魔竜と同じように、利用されていただけなのかも。
ファイア・ジャイアントはフォレスト・ジャイアントと同じく凶暴な種族ですが、だからと言ってこんな風に扱っていいわけがない。
レドリック「ハイランドの勇者よ、巨人は死んだぞ。もはや、ヴェノンの兵など恐れることはない!」
これで戦いの勝敗は決まりました。巨人が死んで竜が生き残った、それはハイランドの勝利を告げているかのようです。
戦いが終わって数日後、パーン達は砦を去ってヴェノンへ向かう事になります。レドリックはパーンを竜騎士にと思っていたようですがね。
竜騎士になるには竜の心を掴む必要があるのですが、パーンなら出来そうな気がします。本来王族とそれに順ずる上級騎士だけの位ですがね。
スレインはパーンにはアラニア王になってもらわないと……と冗談めかして言うと、レドリックは真剣に受け取ったようでした。
もうパーンは王になるといったら冗談では済まない程になってるんですよ。超英雄キャラというのは、国の運命すら動かしうる存在なのです。
でもやっぱりパーンは王にはなりません。それでもレドリックはパーンをいつでも歓迎するでしょう。また一つコネが増えましたね(苦笑)
そしてパーン達5人は旅立ちました。シーリスはレドリックからプロポーズを受けたのです。
シーリス「あなたは嫌いじゃないけど、わたしは今は恋などできないわ。ついこの間、辛い恋をしちゃったからね」
オルソンの事は決して忘れてはいない。それでも彼女は今を生きているのだから、新しい生き方を選んでもいいはず。オルソンも許してくれますよ。
今は傭兵として止まるといいますが、きっと報酬は国の半分になるでしょう。今度は本当に、空約束ではなく。
この3年後にジェスターは死去しますが、新しく王になったレドリックはモス統一に乗り出します。
そして10年後の525年、ついにハイランドはヴェンンを打倒し、モス統一を成し遂げたのです。
10年間決して楽ではない戦いが続きますけど、レドリックの傍らには妻シーリスがいつも付き添っている事でしょう。
★1〜2
一行はモスでの争いを終えた後、ウズの村で休養をしてヴァリスの首都ロイドに到着しました。パーン、ディード、スレインは5年ぶりです。
5年も経っているけど、あまり変わりばえしませんよね。ディードはハイエルフだし、スレインは元々老け顔だし(苦笑)
パーンももう23ですがそんなに変わってませんよね。色々な事をしてきましたが、生き急いでいる感もあります。
パーンは一度ヒゲを生やそうとしたそうですが、濃くならないので断念したらしい。正解だと思う、そんなパーンやだ(笑)
そして今のヴァリスの王はあのエトです。随分偉くなったもんですね、あの時の6人の中では一番出世したかも。
しかし、形式主義が蔓延るヴァリスにおいて、伝統を覆す形で王位についたエトは色々大変だったようですけどね。
本来ならば聖騎士の中から王が選ばれるわけですが、主だった騎士は皆英雄戦争で死んでしまいました。
そこでジェナートの薦めもあって、フィアンナ姫と結婚する予定だったエトが王位についたのです。
でもやはり英雄戦争で大した手柄を立てていない司祭のエトが王になった事で、あちこちから不満が上がったようです。
それはもう姑のように、ちょっとした失態でもネチネチと皮肉ったりね。そこでエトも厳格な王を演じざるをえないようです。
パーンとの謁見の時も、本当は再会を喜び合いたいのを我慢して、王として冷淡に、そつなくこなしました。
その時にはパーンもかなりショックを受けたようですが、直ぐにプライベートに再会をし直して旧交を温めました。
正直最初の冷たいエトを見た時は心配になりましたが、それは一時のものでした。やっぱりエトはいつもの優しいエトでした。
これで逝ってしまったギムと、何処かにいるであろうウッドを除くあの時のメンバーが揃ったわけです。
実は、パーンを王にという意見もあったそうです。最近忘れがちだけど、パーンもこの国の騎士の家系ですからね。
英雄戦争を生き延びた数少ない(元)聖騎士であり、色々と武功を上げている。更にはパーンの家系からは王は出ていない(多分)。
世襲が避けられるヴァリスの王位ですが、よくよく考えてみるとパーンは十分適格者ですね。いつかヴァリスに戻ってくると思っている人も多い。
そういえば門番の兵士達もパーンを大喜びで迎えてくれたし、きっとそういう人はもっといますよ。パーンに憧れるような若い騎士とか。
でもパーンは何処の国にも仕えないつもりなんですよね。フレイムにもヴァリスにも仕えない、ましてアラニア王にもならない。
しかし、やはり乱世では民は英雄を求める。自分達を救ってくれる、強い戦士を求めます。カシューのようなね。
基本的にこのフォーセリアでは魔法使いは王にはなれません。アノスとか今のヴァリスは特例です。
一般人は魔法使い(特に魔術師)の力を褒めたりしますが、それ以上に恐れてもいるのです。カストゥールの影響でしょうかね。
世襲によって就いた王はあまり強くなくてもいいけど、乱世を収めて王になるならやはり戦士です。建国王も普通は戦士ですし。
今やロードス各地の民は争いに怯えていますからね。それこそカシューのような強力な戦士にこそ王になって欲しいんでしょう。
ファーンは偉大すぎましたからね。ほとんど現人神ですよ。"百年に一人の騎士"、何があっても国を守ってくれると誰もが信じてました。
そのファーンを失った事でヴァリスは不安に満ちています。エトはそんなヴァリスを持ち前の信仰心で治めていかないといけません。
正直まだ時期尚早に思えますが、エトは近々アダンの街を奪回するつもりです。英雄戦争以来占領され続けているヴァリス第二の街です。
カノン王国の各村落と同じく、街の人々はマーモの圧政に苦しんでいます。そして街を奪回しようとする聖騎士達の我慢も限界です。
ここで出兵を止めてしまうとエトに対する不満が高まります。エトとしては、そうなる事で国が分解するのだけは避けたいらしい。
しかしなかなか危険な賭けですね。負けたら致命的な打撃を受けかねない。下手すればマーモの勢力が更に強まります。
聖騎士達は若く経験が浅く、指揮権も把握してない上に神官戦士団との関係もよくない。更には義勇兵も募りにくい。本当に大丈夫かな?
勿論パーンはエトに協力するつもりです。騎士隊長でも問題はないけど、本人の希望で傭兵隊の隊長ということになります。
他のメンバーもこれで自動的に参加決定。マールあたり結構不満そうでした。そんな事言っても自分だけは生き残るくせに(笑)
★3〜4
マーモの占領下にあるアダンの街に、新しい領主がやってきました。そしてその領主に従うように、あのアシュラム様の姿も見えました。
やっぱり生きてたんですね。しばらく出番はないかと思ったら直ぐに出てきましたね。私としては本意なんですが。
アシュラム様は火竜山の火口に落下しましたが、マーモに帰ったグローダーの魔法によって救われたのです。
その魔法とは8レベル遺失魔法の"リマンド"です。目標を自分の所へ瞬間移動によって連れ戻す魔法です。
グローダーは7レベルなので本来は使えませんが、超英雄ポイントを使えば多少高レベルの魔法も使えるのです。
しかしグローダーは"魂の水晶球"を持って帰れなかった上に、アシュラム様を救った事でバグナードの怒りを買いました。
ラルカスがバグナードにしたように、バグナードはグローダーに魔法を禁止する"ギアス"をかけたのです。
グローダーは師に倣って"ギアス"の激痛に耐えながら魔法を使おうとしたが、挫折。今では完全に魔術は捨てました。
しかしグローダーはアシュラム様を救う事が自分やマーモの為になると思ったからそうしたのであって、後悔はしてないらしい。
彼にとって魔術は成り上がる為の手段でしたからね。魔術が使えなくても、彼には人並みはずれた頭脳がある(8レベルセージ)。
マーモでは失敗は償わねばならないのです。一度失敗したものは、二度三度とそれを重ねるという理由で信用を失います。
アシュラム様は評議会を除名され、騎士隊長に降格されました。しかもソウルクラッシュまで他人に譲ってしまいます。
そんな事よりも、アシュラム様がすっかり腑抜けてしまった事の方が問題ですがね。カシューに負け、パーンのせいで王錫を失い。
すっかりアシュラム様は駄目人間になってしまいました。以前のあの迫力は何処へ行ったのやら、まるで抜け殻です。
誰もが今のアシュラム様の腑抜けっぷりに驚いてましたよ。とても同じ人間とは思えないほどです。
ジアド 43歳
ファイター?。アシュラム様がソウルクラッシュを譲り、新しく将軍に就いた男で、アダンの街の新しい領主です。
"赤き鎧の将軍"とか言われていますが、怪力だけが自慢の男です。何よりも目先の金を優先するのが、なんとも俗物っぽい。
アシュラム様はこの男の副官をやっています。あらゆる意味で納得できませんね(苦笑)
アシュラム様に自分の荷物を運ばせたり、死体の処理をさせたり。いつか逆鱗に触れて殺されるんじゃないかと少し期待。
ジアドは史上類を見ないほどの酷い政治を行います。アダンの人々から根こそぎ蓄えを搾り取ろうというのです。
同じマーモの人間すら恐怖するほどですから、それはそれは酷いんでしょうね。「北斗の拳」とかに出てきそうだ(苦笑)
何しろ法律が「上の階級の者は、下の階級の者に対し、いかなることを要求してもかまわない」だし。
ここは胸に七つの傷を持つアシュラム様に懲らしめてもらいたい所です。剣ではなく拳で。ほら、中の人一緒だし(OVAでは神谷明さん)。
そんなジアドに若い騎士隊長は文句を言いに行きます。もうマーモの略奪の時代は終わり、今は支配の時代なのです。
マーモでは決してありえない豊かな土地、ここを上手く統治すればマーモ本島の暮らしも確実によくなる。
しかしジアドは「食料などいくらあっても、ひとりで食べきれるものではない」と言います。真顔で。
かなりイカれたこの答えに、この騎士隊長は侮蔑も露に笑いました。そしてジアドに絞め殺されてしまいます。
一体どれだけ筋力があるのか、筋力だけは結構ありそうですね。20は軽く超えるでしょう。
アシュラム様はこの哀れな騎士隊長の弔います。「マーモでは、生き残った者こそが勝利者なのだぞ……」と言葉をかけました。
弔いを済ませ部屋に戻ってみると、ジアドを除いてアシュラム様を立てようという騎士達が寄り合いを開いていたりします。
しかしアシュラム様にはその気はありません。もう自分は死んだも同然だと考えているからです。死者は敗者、それもまたマーモの掟です。
それにジアドを殺したりすると本国からダークエルフのアサシンが来るでしょうね。評議会の意向に背いた事になるし。
その騎士たちはアシュラム様に対して失望したようでした。もう昔のアシュラム様は帰ってこないのか。
「生者は勝者、死者は敗者」。読みようによっては「死なない限り負けじゃない、生きている限り勝者になりうる」にもなります。
アシュラム様の戦いはこんな所で終わってしまうのか。もしこれで終わってしまうと、グローダーがあまりにも哀れですね。
★5〜10
アダン奪回の先遣隊による初戦は痛み分けでした。途中まではヴァリスの方が有利でしたが、ダークエルフのせいで完勝にはなりませんでした。
ヴァリスの聖騎士はとにかくランスを構えてのチャージが強い。馬上槍試合ばかりしてるからでしょうね。ある意味騎士らしいかも。
しかしダークエルフが出現し、将軍の1人が殺された事で一気に混乱しました。ファンタジー界のテロリストの異名は伊達ではありませんね。
パーン率いる傭兵隊がいなかったらもっと大きな被害を被っていたでしょう。実戦慣れしてないのは本当だったんですね。
流石にパーンの名声は傭兵達の間にも轟いているのか、割とすんなり隊長として認めてくれましたね。
フレイムでのマーシュ達との出会いを思い出しますが、彼らほど個性の強い手練はいないらしい。
ヴァリスでは傭兵隊は遊撃隊として使われます。つまり好きにしろと戦場に放たれる訳です。あくまでも予備戦力なのです。
ヴァリスに限らす、普通傭兵というのはそういう風に使われます。あくまでも自国の騎士・兵士が主戦力だという考えなのですね。
ワールドガイドを見てみると、各国の軍隊の傭兵隊の数はやはり少数です。唯一の例外がフレイム、フレイムでは傭兵も多く登用しています。
傭兵達は確かにならず者一歩手前ですが、同時に優れた戦争屋でもあります。タイマンだと騎士よりも実戦に強い職種なのかもしれません。
さて、ダークエルフといえば透明になる事が有名ですが、SWルールではそれなりの制限を受けます。
"インビジビリティ"は「集中」の魔法なので、1ラウンドに3mしか移動できないんですよね。決して走ったりは出来ません。
1ラウンドは10秒、100m移動するのに5分半もかかってしまうのです。これだと戦場に接近するのは危険ですよね。
殺到する兵隊にぶつかることは目に見えていますし、最悪馬に撥ねられますね。貧弱なエルフでなくても大怪我します。
そうして集中が解けると透明化も解除されます。もう一度魔法をかけても大して移動できないから、逃げるのも難しいですね。
とはいえ、毒の刃を持った暗殺者が近くにいるかもしれないと思うと、やはり浮き足立ちますね。目に見えないものには脆いものです。
マール「ディードリットが、仲間のエルフを呼ぶとかできないの?」
ディード「それなら、大陸からあなたの仲間を連れてきてよ」
なるほど、それは無理ですね(苦笑)。相手がダークエルフならエルフは容赦しないでしょうが、わざわざ人間の戦争に参加してまではね。
それにグラスランナーばかりワラワラいても鬱陶しい。攻撃はあたらない、抵抗は破れない。相手を焦らすのにはいいかもしれないけど(笑)
パーンはダークエルフだけでも何とかしようと、スレインから知恵を借りてダークエルヴズを罠にかけようとします。
パーンと傭兵達はエト国王一行のフリをして、ダークエルフ達を誘き出して討とうというのです。かなり面白カッコイイ仮装行列ですが(苦笑)
パーンはエト、ディードはフィアンナ、ホッブはファリスの司祭、スレインは宮廷魔術師、マールは小姓です。割とハマってるかも。
ホッブ辺りは心中は複雑だったでしょうが、彼の中のマイリーは割と寛容らしいのでOKらしい。ファリスだと考えられませんね。
ただ、マイリーに限らず神様はわりと寛容です。以前エトも言っていましたが、行動ではなく心を見ていると思った方がいいのかも。
本当を言うと、光の神の司祭が暗黒魔法を使う事も不可能ではないのです。でもそれをやると信仰を見失いそうなのでやらないだけ。
それは意図的なものではなくて、無意識のレベルなんだそうです。Q&Aの98年11月分にありますよ。
ファリスの教えに人を欺くなかれというのがありますが、それだってこの場合は許されると思いますよ。悪意や私欲の為の偽りではないし。
折角変装したはいいものの、あまりにも面白い格好にしばし大爆笑。遠目ならなんとか見れるレベルですからねぇ。
でもダークエルフはかかりました。もっと相手を見ろ黒いエルフたち、近づけば何かがおかしいと気づくでしょうに(苦笑)
何となく接近を察し、スレインは根性の"ディスペル・マジック"でインビジを解除。多分範囲拡大ですね。
"ディスペル・マジック"は個人にかけた場合、その個人にかかっている魔法が消えます。範囲にかけた場合は範囲内の魔法全てが消えます。
"ウィンド・ストーム"を解除しようと空間にかけた場合、中にいる仲間の援護魔法まで消える事もありえるのです(達成値が足りてれば)。
ディスペルの範囲は半径5m、流石にダークエルフ10人を全員覆うのは無理でしょうね。スレインはかなり拡大したと思います。
仮に精神力を1点残して全部使い切るつもりで拡大したら、半径12.9mほどがすっぽり覆われます。これならこの場の全員を巻き込めそう。
殆どのダークエルフはパーン達に討たれ、1人だけパーンに毒の刃で傷を負わせて逃亡します。
即効性の毒だったらしいのでパーンはうっかり死に掛けます。しかもディードが"サイレンス"をかけたので解毒も出来ない。
ようやく"サイレンス"の接続時間(3分)が過ぎ、ホッブの"キュアー・ポイズン"でパーンは一命を取り留めます。正にデッド・オア・アライブ。
アダンに帰ったダークエルフはジアドにエトを殺したと報告します。そしてジアドはこれをまんまと信じ込んだのです。
しかし1人を殺す為に9人ものダークエルフが殺されてるんですよね。しかも当人が知らないけど無駄死に。
ダークエルフ達はルゼーブの命令でマーモの一員になっているわけですが、なんか利用されているように思えます。
ルゼーブはベルドに心酔して忠誠を誓い、またダークエルフ達も他の種族を利用しています。単純な被害者というわけではありませんけどね。
ただ仲間を失いながらも、命令を出したジアドにロクに労われもせず、何となく哀れだな、と思いましてね。
本物のエトが到着すると、スレインはヴァリス軍に喪章をつけさせることを提案します。マーモを油断させる為ですね。
そんなスレインの策士っぷりに、エトはスレインがフレイムの宮廷魔術師になる事を言い当てました。
今のフレイムにスレインが加わる、益々フレイムは強大な国になりますね。その矛先はマーモのみになる事を祈りますが。
今回の本戦では、なんとエトが10レベルのファリス特殊神聖魔法"ジハド"を使いました。
"聖戦"の名の通り、どうしても見逃せない巨悪(大義名分)を討つ為に、ファリス信者に強力な力を与えます。
エトはこの時点では8レベルのはずですが、やはり超英雄ポイントを使えば使用可能です。"リザレクション"の可能ですよ。
視界内の全てのファリス信者に効果があり、ファイターレベルを2上げます。全くの一般人でも2レベルファイターになります。
この魔法がかかると術者には絶対服従となりますが、10レベルものファリス信者が無体な事を要求する事はないでしょうから大丈夫。
ヴァリスの国民は皆と言っていい程ファリス信者です。極端な話、国民全てを戦力にする事も出来るのです。エトはやらないだろうけど。
ヴァリス軍の勢いは圧倒的で、対するマーモ軍はエトが死んだと思い込んでいた事で油断しきっていました。
戦いはもはやヴァリスの勝利です。しかし、その戦場の傍らでパーンはアシュラム様と再会していたのです。
アシュラム様はジアドの命令で戦いに出たわけですが、相変わらず気が抜けた感じでした。こんな調子だと簡単に殺されるかもしれない。
しかし、パーンを見つけるや目つきが変わります。目がキュピ〜ン!と光ったかのように、パーン目掛けてまっしぐらでした。
皮肉な形で昔のアシュラム様が帰ってきました。以前のような、冷たく、圧倒的な威圧感を放つアシュラム様です。
そしてパーンVSアシュラム様。流石にパーンには分が悪い戦いになりました。やっぱりアシュラム様は強い。
パーンの攻撃力は12、回避力は14です。対するアシュラム様は攻撃力15、回避力13です。やはりアシュラム様に分がありますね。
パーンの攻撃が当たる確率は33.9%、回避できる確率は44.5%。しかもソウルクラッシュを考えるとものの2発で死にますね。
アシュラム様は一見余裕そうでしたが、実はあまり余裕はなかったりしました。パーンは予想以上にやりますね。
この両雄の戦いに、周りの人達も思わず魅入ってしまうほどです。一方的に押されていたという訳でもないんですね。
パーンは例の突きをアシュラム様に見舞いますが、完全には入りませんでした。あの時は王錫を飛ばしたんですけどね。
アシュラム様が思っていたよりもパーンの突きは速く、下手すれば自分だけ致命傷を負うという程だったそうです。
アシュラム様にそうまで思わせれば大したものです。そして二人は転倒し、アシュラム様はパーンの首に短剣を押し当てました。
盾を持っていたパーンは遅れたようです。しかしパーンの命は取りません。この場では借りを返しただけです。
アシュラム様は完全に立ち直ってました。「生者は勝者、死者は敗者」、しかし次の戦いに負けなければいい。簡単な事でした。
見事復活したアシュラム様に、配下の騎士達は嬉しそうに従いました。既にアダンに敗走したジアドは蚊帳の外です。
この後、アシュラム様はカノンの太守になってパーンと剣を交えない戦いを続けるわけですが、それはまた別の機会に。
グローダーもアシュラム様の嬉しそうな顔を見ると、やはり嬉しそうな顔をします。こうしてグローダーは忠誠を誓い従う主人を得たのです。
アシュラム様がベルドに従うのと似たような関係ですね。魔術が使えなくなったのも無駄ではなくなった訳です。
ジアドは反乱が起こっているとも知らず、アダンの街に帰ってきました。ところが蜂起した民達に石を投げられる始末です。
ウダウダしている内に後ろから追ってきたヴァリス軍に挟まれ、最早命運は尽きました。デッド・オア・デッド(苦笑)
追い詰められたジアドはあの手この手で生き延びようとします。身代金を払おうとしたり、エトに決闘を申し込んだり。
決闘は結構いい線いってましたけどね。馬鹿正直な聖騎士としては、決闘を申し込まれたら受けなきゃ嘘でしょうからね。
しかしエトが受けませんでした。ファーンなら間違いなく成敗したんでしょうが、エトは武人ではないしファーンでもない。神に仕える者です。
エト「わたしは、ヴァリス王国を剣の力でもって、治めるつもりはない。
ファリス神の法と正義の心とがわたしが国を治めるための力だ。
ヴァリスは変わるのだ。それに異議がある者は、今すぐこの場から去るがよい」
こうまで言われて誰も去るわけがなく、ジアドの裁きはアダンの人々に委ねられました。これはやっぱり死んだんでしょうね。
神官王、剣ではなく信仰によって治める王です。剣の時代の常識に反してなお王であり続けられる、それこそがエトの強さの証なのかも。
どうもファリス信者って融通の利かない困ったチャンである事が多いですよね、だからファリス・バッシングもある。
では困ったチャンではないファリス信者とはどういう人物かと言えば、エトのような人物なのかもしれませんね。
他にもフラウスやジェナートなんかも敬虔なファリス信者でありながら、立派な人格の持ち主です。
ファリスは光の神の主神格で、その信仰の在り方は分かりにくいかもしれない。その答えをエトは示しているのかもしれませんね。
アダン奪回に沸くヴァリス軍ですが、パーンは1人敗北感に打ちのめされていました。
しかし次がある、生きている限り次がある。アシュラム様が示したように、生きて再び挑む限り完全な敗北ではない。
およそ5年間もの長い旅でしたが、次のカノンでパーンは答えを出す事になります。
★1
英雄戦争から早5年、"緑の王国"とも呼ばれるカノン王国は、依然マーモ帝国に占領されたままでした。
ベルド亡き後のマーモは評議会によって運営されていて、カノン各地の領主もやはり評議会から派遣されてきた者たちです。
その中には搾取をして私腹を肥やし、評議会への覚えをめでたくしようとする、およそ領主には相応しくない人間が多い。
更にはかつてのカノンの騎士や貴族の中にも、自らの保身の為にマーモに寝返った者もいます。そうして搾取する側に回ったのです。
カノンの人々はそんな生活に希望を失いつつあります。ただ一つ、出奔した第三王子レオナーの存在だけがほんの僅かな希望でした。
そんな希望も消えつつあるのが今のカノンです。そのカノンのとある山奥にあるナルカ村が今回の舞台となります。
この村もやはり莫大な納税に苦しめられています。畑を耕す人々からは、諦めの様子しか伝わってこないほどです。
一生懸命に働いてもほとんどが巻き上げられてしまうこの状況です、仕事に力が入らなくても無理はない。
そうと分かっていてもやっぱり働かないと飢えてしまうので、働かざるをえないという、何とも複雑な心境です。
カーソン 28歳
ファイター?、セージ?。ナリル村の元領主。カノンが滅びてからもこの地に止まって領民達も守ろうとしている男です。
かつては近衛騎士隊にいたそうですが、身辺警護をしていたレオナー王子が出奔してからは逃げるようにこの村に赴任します。
新しくマーモからやってきた領主のシャーナに色々な事を教える内に、愛が芽生えていきました。今ではすっかり秘密の恋仲です。
シャーナ 20歳
ファイター?。ナリル村の新領主。3年前にマーモから派遣されてきましたが、至って真面目に領主の務めを果たそうとしていました。
自分の経験不足を素直に認め、よい領主になろうと元領主のカーソンから教えを請うというマーモには珍しい熱意に満ちています。
そうして一緒に時を過ごす内に愛し合うようになりますが、立場上公には出来ない儚い関係でもあります。
今までは何とかなっていたこの村ですが、納税額が他の村より少ないという事で、税の増額を評議会から言い渡されました。
シャーナとしてはそんな馬鹿げた事に従う事は出来ず断ったら、新しい領主を送られる事になりました。つまり彼女はクビです。
その新しい領主はショーデル配下のファラリスの闇司祭、そんなのが村にきたら領民が更に酷い目に遭う事は目に見えています。
そこでシャーナはこの事を撤回してもらう為に、近隣に潜んでいるらしいカノン自由軍を討伐する事になりました。
自由軍と言いつつ、その実態はほとんど山賊です。マーモの兵士ばかりを襲い、物資を奪っていくのです。一見正義の味方ですね。
しかしそうして奪われた分は、やはりカノンの民から再搾取されるので、カーソンや領民達には迷惑なだけだったりします。
この連中を討つ事が出来れば、シャーナの罷免と増税は見送ってくれるらしい。カーソンとしても討伐には協力せざるをえません。
こんな状況でも、やはり二人は自分の中にある愛を無視できないのです。支配する側とされる側の恋、辛いですね。
★2〜3
パーン達はそのナリル村の近くにまで来ていたりします。今回のパーンの旅も、もうこのカノンで終わりです。あとはザクソンに帰るだけ。
ここまで来ても、やはり答えは変わらないようですがね。パーンは王にはならない。スレインには悪いと思いつつ、自分に嘘はつけないのです。
ディード「あたしのことを、気遣ってくれているんなら……」
パーン「確かに、君を王妃にはできないだろうな。でも、今まで、そんなこと考えてもみなかったよ」
別にディードの為というわけでもないらしい。この朴念仁め。まぁ、そんなだからディードも好きになれたのかもしれないけど。
このまま結婚とか恋人とか、そういう型に嵌らずに旅を続ける2人の方が似合っているのかもしれませんけどね。
パーン達は野営の準備をしていると、噂のカノン自由軍に遭遇しました。確かに一見山賊っぽいかも(苦笑)
マーモの兵士かと思ったので、マーモの傭兵志願を名乗ります。しかしそれでは逆効果、自分達は敵だと宣言したようなものでした。
マーモへの反抗勢力がある事を考慮しなかったのはマズかったですね。情報を仕入れる余裕すらなかっただけかもしれませんけど。
仕方なく戦闘になりますが、スレインの"スリープ・クラウド"やディードの"バインディング"が効果を発揮します。
しかしそんな魔法をものともせず、たちまちの内に接近してパーンの首に剣を押し当てる男がいました。明らかに只者ではありません。
スレインやディードの魔法に抵抗するだけでなく、パーンが対応できないような剣さばきを見せたのです。そんな山賊嫌ですね(苦笑)
ちょっとした戦闘にはなったけど、誤解も解けてパーン達は彼らのアジトに案内されます。話してみると、結構気のいい人達でした。
首領のギャリルが言うには、彼らは山賊だけどそう悪質な山賊でもないらしい。まっとうな山賊というと、ちょっと変ですけどね(苦笑)
人殺しや物取りなどをせずに、旅人から御礼を貰って護衛をしていたそうです。まぁ熊とか狼に襲われるよりはマシかもしれませんね。
言ってみれば護衛の押し売りな訳ですが、別に兵を派遣してまで討伐する必要もないので黙認されていたらしい。
しかしそんな彼らも、マーモがやってきてからは生活が一転。旅人なんて誰も来やしないから本業が成り立ちませんでした(当然ですが)。
惨めなカノンの人々を見て、ギャリル達はマーモに反抗する事を思い立ったわけです。そう言うと結構いい連中ですね。
でも、それでカノンの人々は搾取されるんですよね。以前の護衛の押し売りよりも、よっぽど迷惑かけているのはどういう訳か(苦笑)
そんな彼らの元に、ある日恐るべき剣の使い手が現れたのです。さっきパーンを倒したザップという男です。
レオナー 35歳
ファイター10、セージ3。ザップとは仮の名、その正体は噂のカノン第三王子レオナーだったりします。
卓越した剣の腕が原因で、皇太子の威光が霞む事を恐れて12年ほど前に出奔。世継ぎ問題にも気が回る、賢明な王子でした。
そのおかげでシャイニングヒル攻防戦では命は助かったものの、こうして今では山賊の一員になっています。今のところ祖国奪還の意思はない。
建国史によると、昔のカノンはただの都市国家でした。そのカノンの勢力を拡大したのは、建国王エゾールT世でした。
300年ほど前、ヴァリスのあった土地にはエルベク王国がありました。エルベクはカノンやモスの方にまで勢力を拡大しようとしていました。
そのエルベク王国に対抗する為に、カノンはアラニアと婚姻関係を結んだのです。アラニア王家とはこれ以来の長い付き合いです。
新王国暦229年、カノンの軍権を掌握し、後に領土を拡大したのがエゾールT世だったのです。ちなみにこの年が建国年になっています。
やがてエルベクは打倒され、ヴァリス建国。カノンも王国として立ちますが、内部で貴族同士の争いがあったのは、やはりカーラの仕業とか。
レオナーは、エゾールT世以来、長らく勇者の出なかったカノン王家にあって、ちょっと特殊だったようです。
レオナーは近衛騎士隊長だったウェイマー・ラカーサ伯爵(シーリスの父親)さえも歯が立たなかったそうです。
民は残酷なまでに正直です。王としての適正よりも、やはり強い戦士を王に頂きたく思うものです。レオナーはそれを恐れて出奔します。
もしも自分が皇太子よりも人気が出てしまうと要らない混乱を呼びますからね。レオナーが長男だったら問題なかったんでしょうが。
レオナーが出奔し、変わってフレイム王国が建国し、カシューが登場しました。これだと2人が同一人物か?と疑いたくもなります。
まぁレオナーの顔を知るカノンの人間が見ればすぐ分かる事ですけどね。ただ10レベル戦士なんて滅多にいないし、そう考えのも無理はない。
ちなみにレオナーはボーナスが上から4・3・3・3・2・3と英雄の素質が溢れて垂れ流さんばかりです。超英雄ポイントは持ってませんが。
二人が戦った場合は、やはり"ソリッドスラッシュ"でカシューが勝つんでしょうが、同じ条件で戦った場合はちょっとカシューの方が強いかな。
素だとカシューは攻撃力・回避力が共に14、レオナーは攻撃力14で回避力13です。確率的にはカシューの方が当たり目がある。
あとはダイス運やら装備の必要筋力やらの要素があるから、それだけだと分かりません。筋力と生命力はカシューの方が上ですけどね。
いや超英雄ポイント20点というカシューに一騎討ちで勝つのはまず無理なんですけどね(苦笑)
パーンはそんなレオナー(この時点では正体知らず)をカノン貴族だと考え、剣の教えを請う事にします。
カノンの剣術は力よりも技らしい。フェイントを多用する剣術は、多分エゾールT世から受け継がれているんでしょう。
レオナーの剣さばきは、シーリスに少し似ているそうですから、カノン貴族だと考えるのは当然ですね。実力は全然違ったとしても。
レオナーはシーリスの事に少し心当たりがあったりします。レオナーにとっては、彼女の父親のウェイマー伯爵は剣の師でしたから。
パーンはそういう風にレオナーと話す為に、マールに山賊達の相手をさせていたりします。娯楽が乏しいから吟遊詩人は大歓迎です。
そうなるとマールが可哀想ですけどね。ロクに金も貰えずに山賊達に歌ってやらないといけないし。
その時マールが歌っていた歌は、王国貴族の本質を揶揄する興味深いものでした。民から税を取る生活は山賊と一緒だとバカにしてる訳です。
流石はマール、山賊相手にはナイスな選曲です。同時にこの歌は、スレインやレオナーの会話を進める事にもなりました。
なおこの時レオナーが「天にあるは遊星。降りて下るは流星。地を砕くは隕石」と口ずさんだ伝承があります。
これはSWシナリオ集3巻の「四大魔術師の塔」に収録されている「流星落ちるとき」というシナリオに出てきます。
「ハドア・ゲラルクの魔法装置」という伝承です。ちなみに《伝承知識》で目標値20というレアなものです。
天にあるは遊星 降りて下るは流星 地を砕くは隕石これらが一つである事を ハドア・ゲラルクはつきとめし これらが一つである事を 彼が魔法装置が明らかにする
三つの魔晶石輝くとき 装置は遊星に呼びかける 遊星は応えて流星となり 流星は地に降り注いで隕石となる
力を恐れた王帝は ハドアを刑し 三つの魔晶石を天に封ず しかし ハドアは言い残す
暗黒の太陽を横切って 三つの星が落ちるとき 星は星を呼ばん 地上は 鉄槌に打ちひしがれん
こんな感じで続きます。このシナリオは"メテオ・ストライク"落とし放題の魔法装置を巡る、ド派手な冒険になります。
冒頭だけとはいえ、こんなレアなものを知っているとは、流石はレオナーです。セージは3レベルなんですけどね(苦笑)
ハドア・ゲラルクは召喚魔術師で、星界を研究していたそうです。あの"メテオ・ストライク"の呪文の創設者でもあります。
更にはその魔法装置も開発し、彼は召喚魔術の門主になり、魔法王の座を狙います。しかし政敵にその座を奪われ、処刑されたのです。
それ以来星界に関する研究は禁断視されてしまいました。もしこの事件がなければ、星界に対する理解はより深まっていたかもしれません。
星界はある意味魔界よりも謎の世界です。描写がない分混沌界よりも謎かもしれませんね。いつか星界に到達する人は現れるのか。
SWアドベンチャーでもそういう話がありましたね。成功はしなかったけど、なかなかに夢のある話ではありました。
話を戻します。
レオナーは既にカノン王国を再建しようとしてはいません、民が自治制度を興してくれる事を期待しています。ライデンのような。
しかしスレインはそれに異議を挟みました、ザクソンのように自治を行い、王国に服従せず、独立する。でもそれだけでは不十分なのです。
今はラスターもアモスンも内乱で忙しいから見逃しているけど、落ち着いたら確実にザクソンその他の自治区に軍が送られます。
言葉だけで自衛も出来ない独立では不十分なのです。象徴となる王が立ち上がり、新しくアラニアを治める力を集める事が必要です。
スレインだって、いつかは民が自分達を治める日が来る事を考えていますが、まだ早い。そういう民主的な考えはまだまだ普及してません。
ライデンも自治都市ではありますが、王や貴族が豪商に変わっただけです。剣ではなく、金の力で治めているだけ。それも崩壊しましたが。
王が国を治めるのは、このフォーセリアの常識ですからね。かといってそれから脱してしまうと、今度はフォーセリアらしくなくなりますが。
国の頭に君主を置く政体を君主制といい、絶対的な権力を持つ絶対君主制と、法に従う立憲君主制に分かれます。
また、君主を置かない政体を共和制といいますが、これは民主制と=ではありません。現在の欧州には君主国にして民主制の国もあります。
共和制として選出された国家元首により非民主的な政治が行われる事もあります。こういった政治形態はなかなか難しい問題です。
ライデンは君主制ではありませんね、やはり共和制。でも主権がほとんど議員である豪商にあるから民主制とも言い難いかも。
政体や主義がどうあっても、より多くの人が幸せに暮らせるならばその国はいい国だと思いますけどね。
もしも構造的な問題でそれが叶わないのならば、それは改めるべきでしょうね。実験国家なんて言っていられない、失敗国家ですから。
だからスレインはパーンにアラニア王になってもらいたいんですね。スレインが本当に独立運動を成功させるには、象徴となる人間がいるのです。
今のマーモは恐怖政治という力押しでなんとかやってるだけですからね。恐怖は一時的に人を服従させるには都合がいい。
けど、それが長い間鬱積すると、やがて恐怖は怒りへと変わります。オルソンの時に学んだように、怒りは勇気に通じます。
フレイムは問題ないし、ハイランドとヴァリスも大丈夫。あとはアラニアとカノンです。いずれマーモを倒す時に、王になる人が必要なのです。
救国の英雄が必要だと説くスレインに、レオナーは厳しい顔をして声を上げました。彼だって、今のままでいいとは思ってないんですよ。
ただマールが歌っていたように、民から税を取り上げる暮らしは嫌なんでしょう。貴族が民を支配する、彼はそれに対抗を感じているのです。
確かにそうかもしれないけど、それだけでもない。レオナーがそれに気づけば、間違いなくカノンを救う英雄になりますよ。
★4〜7
シャーナは部下を引き連れ、カーソンと共にカノン自由軍を討伐する為にアジトの近くにまでやって来ました。
それを察知した盗賊たちは早速迎え撃ちに行きます。レオナーとパーンも一緒なので、まず負けることはないでしょう。
実際2人の力は圧倒的でした。山賊の中に10レベルと8レベルの戦士がいるなんて異状ですからね、大陸にだってそんな手練そういないし。
カーソンはこちらに降伏を呼びかけてきました。為政者としては当然ですね。警察だって最初は威嚇や警告をしますし。
しかしマーモ兵が言うには「切って捨てればおしまい」なんだそうです。この連中の方がよっぽど山賊っぽいですね(苦笑)
カーソンはそんな言葉に反論する事を考えたんでしょうが、立場上黙るしかありませんでした。敗戦国の騎士というのは本当に肩身が狭い。
カーソンとシャーナはなかなか強いらしく、山賊では歯が立ちません。そうなると相手はパーンとレオナーにしか務まりません。
自然と組み合わせが決まって、パーンはシャーナと、レオナーはカーソンと剣を交える事になります。
どうやらパーンはナルディア以来女性と戦うのが苦手なんだそうです。パーンってそうでなくてもフェミニストっぽいしね。
パーンは適当に相手をして、走って逃げるように言ってシャーナを押し出しました。殺すわけにはいかない以上、こういう風にするしかない。
カーソンとレオナーですが、およそ12年ぶりの再会になるんですね。流石にお互いに相手の正体に気づいたのか、驚いていました。
こちらもやはり、レオナーはやはりカーソンを殺すわけにはいかないので、足蹴りで押して逃がします。
12年前という事は、レオナーは23歳でカーソンは16歳ですよね。16で近衛騎士ってのも凄いです。ウェイマー伯爵の推薦だとか。
そんな訳で自由軍討伐は失敗、とうとうファラリスの闇司祭が村にやってきてしまいました。
ログナー 38歳
ダークプリースト(ファラリス)?。一見上品そうに見えますが、史上最悪の部類に入る闇司祭です。
何よりも自分の欲に忠実で、その為なら他人をどう扱おうが気にしないらしい。これはこれで、ファラリスの教えに忠実です。
マンティコアのスクラングを可愛がっていて、まるでペットのように扱っています。こういう点もまた、自分に忠実なのです。
カーソンは仕方なく増税の免除をログナーに懇願しますが、ログナーは丁重にお断りします。口調だけは名門貴族っぽいのがまた怖い。
これで増税するという事は、村の作物を残らず差し出す事になります。そうなれば村人達は餓死してしまいます。
ログナー「地虫たちは土を食べて生きています。あなたがたも、そうすればいい」
カーソン「何を言う!我々は人間なんだぞ!」
ログナー「それでは、明日から地虫になってください」
これらの会話をログナーは笑顔でこなします。彼としては、村人がいなくなればシャイニングヒルに戻るだけらしい。見事に狂ってますね。
激昂したシャーナはログナーを切ろうとしますが、ログナーはすかさず暗黒魔法"ポイズン"でシャーナの体を麻痺させます。
"ポイズン"は3レベルの、割と基本的な暗黒魔法です。麻痺毒とダメージ毒の二種類が存在し、今回は前者を使用したのです。
もっとも、この魔法って接触する必要があるんですよね。本編だとログナーは手を突き出しただけで、どうもタッチしたようには見えない。
なお、毒は12時間ほど持続します。"キュアー・ポイズン"やディスペルで解除できるはずですが。
シャーナは牢屋に放り込まれます。そして決断を迫られます、マーモを取るか否か。
実は彼女とカーソンの仲はバレてるんですよね。しかも、スクラングがカーソンからレオナーがいる事を知ってしまいます。
だから、マーモを取るならカーソンとレオナーを討てとログナーは言いました。それが帝国に対する忠誠を示す手段なのです。
マーモに対する忠誠も、カーソンに対する愛も、彼女の中では決して偽りではありません。ある意味究極の選択です。
シャーナはマーモがカノンを統治する為に必要な事は、民の信頼を得る事だと気づいています。しかし、それに気づかない者が本当に多い。
本当なら、ロードスを征服しなくても、カノン一国だけでマーモの民が豊かになる事は可能なのです。
今のような恐怖政治を用いらずに、法によって無理なく治める事も可能なはずでした。
しかしマーモは、あくまでもマーモの法を、恐怖による支配をカノンの民にも強いたのです。
マーモでは強者が弱者をどうにでも出来る。だから剣なり魔法なりの力を欲します。そういった物を持つ人物だけが発言出来るのです。
彼女のような人物が多く評議会にいれば、この先のマーモの運命はかなり変わっていたでしょうね。
そして彼女は牢から出る事にしました。それはカーソンと戦う事になるんでしょうが、彼女は答えを示す為に牢から出たのです。
カーソンはというと、自分だけでは村人を救えないのでレオナーを頼る事にしました。
1人で自由軍のアジトにまでやって来て、全ての事情を語りました。当然パーンは怒りを覚えましたね。
ここでザップが実はレオナーだという事が明らかになります。カラー挿絵ではムサイけど、そう言われると確かに気品を感じるから不思議(苦笑)
レオナーってアニメだと縦巻きロールでしたよね、流石に驚きました。こっちの挿絵だと、いい感じに汚れてますね。
何となくアラゴルンに雰囲気が似てるかも。映画のアラゴルンも微妙に汚かったし。まぁ王の帰還という意味でも通じてますし(笑)
カーソンはマンティコアが喋れることを知らなかったので、レオナーがいる事とかが全部ログナーに筒抜けなんですよね。
多少知恵があるだけの獣だと思って、自分が外出する事を知られた上に、このアジトまで尾行されてたりします。
スクラングは飛んでログナーに報告に戻りますが、今こそスレインが"フライト"で空中戦を演じる時ですね。
"パラライズ"でもかけてやれば墜落死しますよ。移動速度は21、対する"フライト"は50なので楽勝ですね。
★8〜9
逃がしてしまったものは仕方ない。村人が心配なので、パーン達はカーソンに案内されて村に向かいます。
レオナーは準備があるので遅れて行きます。自由軍の皆も一緒に準備をする必要があるので、先行隊はパーン組+カーソンです。
村に着くとマールが偵察し、村人達が人質よろしく閉じ込められている事を知ります。そっちの解放にはマールとディードが向かいます。
そしてパーン、カーソン、ホッブ、スレインはマンティコアのスクラングと戦闘になりました。
マンティコアは6レベルの魔獣です。獅子の体と蝙蝠の羽に蠍の尻尾、顔は老人という気色の悪いモンスターです。
スフィンクスが正しき知識の守護者とするならば、マンティコアは邪悪な知識の守護者です。微妙に物知りなのです。
ファラリスの暗黒魔法を5レベルで使いこなし、尻尾には致死性の毒があります。抵抗に失敗すると1時間後に死亡という毒です。
やはり知能は高いので、カーソンの行動なんてまるっとお見通しです。スクラングはログナーの忠実なペットですがね。
ちなみに知名度は12、一般人でも36人に1人は知ってます。カーソンは達成値があまり高くなくて詳しく分からなかったんでしょう。
こいつとの戦闘は普通に勝利します。スレインが"ブレード・ネット"などを使いつつ、パーンの攻撃で傷ついて動かなくなりました。
"ブレード・ネット"は刃の網で相手を戒める7レベルの古代語魔法です。サイズとしては、マンティコア大がギリギリ。
スレインの魔力を考えると、抵抗できても14点ほどダメージがきます。行動するたびに、このダメージがくるのです。
マンティコアの場合は1回につき8点抜けますね。すると3ラウンドほどで倒れちゃいますね。パーンの攻撃もあったし、いくらも保ちません。
"スティール・ライフ"などを使ってパーンに多少の怪我を負わせたのですが、流石に8レベルファイターが相手ではねぇ……。
続いてログナー率いるファラリスの神官戦士団との戦闘になります。これは数の不利もあってかなり危なかった。下手すれば「ロードス島戦記」完。
ログナーはスクラングが殺された事を知ると、急に穏やかな雰囲気が消えて憤怒の形相になりました。大魔神かお前は(古いよ)。
あんな化け物では可愛い人には可愛いんですね。自分の大切なペットが殺されたら、頭にくるのは誰でも一緒ですから。
神官戦士との戦いは。とにかく数が多かった。武器戦闘ならパーンの方が強いけど、何度も攻撃魔法を使われるとやっぱり消耗します。
"ウーンズ"なら抵抗できれば効果消滅なんですが、"フォース"はそうはいきませんからね。
一方でスレインが"メズマライズ"でピヨピヨと誘き出されたりもしてました。6レベルの催眠術のような暗黒魔法ですね。
これはホッブの"バトルソング"で解除します。老竜の咆哮さえ無効にしますからね、この程度の闇司祭なら何とでもなる。
いよいよヤバくなり、ホッブが「喜びの野に……」とシャレにならない事を言い出した時、ようやくレオナー達が到着しました。
レオナーはカノンの国王として相応しい格好をしていました。自由軍の皆も、まるで近衛騎士のような格好です。
どこからこの衣装を調達したのか非常に気になりますね。戦いに間に合わせる為に、全員で必死に繕ってたりしたら笑えるかも(苦笑)
挿絵にもあるように、レオナーの盾には剣と麦を意匠化した、カノン王国の紋章も彫ってあります。本当によく準備できましたね(感心)
宝石を散りばめた剣の柄とか、人数分の揃いの鎧とか、そんな数時間で準備できるものかな……こっそりレオナーが揃えてたとか。
レオナーの号令で形勢は一気に逆転、ログナーは包囲され、神官戦士達も討ち取られていきます。
しかしログナーには人質がいます。この状況で誰が人質を殺すのか非常に疑問ですが、とにかく人質がいるんです。
しかしレオナーは構わずログナーを捉えようとします、抵抗すれば斬る。カーソンの必死の訴えも、レオナーがカーソンの任を解いて却下。
今この場でログナーを倒す事がカノンの国益で、その為なら村人の犠牲も仕方ないと言います。
かくしてログナーはレオナーに成敗されました。レオナーは王として振舞って見せたのです。
カーソンは民こそが国を支えているという事に気づいたと、レオナーに訴えました。パーンもこの決断を責めます。
ところが村人達はディードとマール、それにシャーナに連れられて姿を現しました。結果論ですが、村人を助かったのです。
シャーナは警戒してなかなか動こうとしない村人を説得してくれたらしい。とりあえず、得体の知れない妖精よりかは信頼されてたらしい。
カーソンとシャーナは歩み寄り、互いに騎士を辞めるという答えを出して抱き合いました。自由軍の野次が飛んでハッピームードです。
レオナーは、パーンに王としての言葉と態度を示して見せたのです。もちろんあんな言葉、本心ではありませんよ。
レオナー「しかし、口に出した言葉は、心とは切り離されているもの。本心であろうとなかろうと、それは全て真実となる。ましてや、王ならば」
例え本心でなくても、レオナーの言葉で村人が危機に晒されたのは紛れもない事実。王になるのなら、覚えておくべき事です。
王が民を守るのではなく、王は民に守られている。レオナーは、命令するのもされるのも嫌いという、王族には向かない性分だったのです。
王になった事で救えない民はいるかもしれない。でも救える民の方が多い。だから、レオナーはパーンが王になるようにと選別を送ったのです。
しかしレオナーにも誤算がありました。レオナーがカーソンや村人達に話しかけた事で、それは起こりました。
レオナーはカーソンに村人達を連れて国外へ逃げるように、最後の命令を出します。王によって救える人間がいる事を示したつもりで。
続いてやってきた村人たちは、レオナーがいる事を知って平伏します。そして、祖国を奪還してくれるように訴えてきたのです。
レオナーは命令する事で彼らを救おうとしました。彼らはこの土地に執着があって動こうとしない、でも自分が命令すれば避難してくれると。
そういう風に、彼らが盲目的に王に従うと思っていたのです。しかしそれは大きな間違いでした。村人は従う相手にレオナーを選んだのです。
命令に従う人間も、従う相手を選ぶのです。時に不本意な相手の命令に従う事もあるでしょうが、そういう時は心から従ったりはしません。
村人達の思いを知り、レオナーはカノンを再建すると、彼らがまたこの地で住めると約束しました。カノン王は帰還したのです。
パーンを舞台に上げるつもりが、自分が上がってしまったのです。民がレオナーを求めた時点で、避けられない運命だったのかも。
カーソンとシャーナは村人達を連れてフレイムに逃げました。火竜の狩猟場の開拓村に彼らを住まわせる為です。
そしてスレインも、フレイムの宮廷魔術師になる決意をしました。パーンともこれでお別れです。長い別れになるでしょう。
スレインは早く戦を終わらせる事を願っています。家族の為にも。スレイン、本当にいいヤツ。自分の見つけた星の為に、そんなになってまで。
結局パーンはアラニア王にはなりませんでした。カノンに残って、レオナーに力を貸していくつもりです。自由軍の一員として。
パーン「王となった人間が必ずしも善政を行うとは限らない。そんなとき、誰かが王を戒める役目にならねばならないと思うんだ」
だからパーンは王にはなりません。あくまでもパーンは、自分の心に従って剣を振るうのです。"自由騎士"として。それが彼の答えなのです。
今はまだカノン自由軍は小さな勢力です。しかしこの10年後に彼らはカノン奪回に成功します。その日までパーンはここで戦います。
その時は、各国の王が集うマーモとの決戦があり、同時に"灰色の魔女"との因縁に終止符を打つ戦いに望む事にもなるでしょう。
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||